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ユーザーインタビューは設計が7割~理系的インタビューのすすめ~

タイトルから文系の極みみたいなインタビューにおいて理系的って何?と思われたかと思います。
インタビューにおいて設計がいかに重要か前回noteで記載させていただいた続編になります。
この設計の重要さを改めて説くのが今回の主旨になります

今回はインタビューの設計に大いに役立てられる実験の組み立て方について理解していただき、それをインタビューに活かす方法を考えていきたいと思います。
ちなみに理系的と書いてますが、正直文系の研究においても同様のことを行っている場合があるのであくまで一般的なイメージに寄せてるのはご了承ください

ポイント

・計画段階で仮説を評価する基準を作る


理系的=計画して試行錯誤のサイクルを回すこと

そもそも理系的って何?

理系と聞いて思い浮かぶものとして、数学の次に多いのが実験をやってるというものではないでしょうか?
私がいう理系的インタビューとはまさしく研究者が行うような実験の作り方行い方を応用しようというものになります。
研究における実験の組み立て方なのですが、おおよそ以下のイメージを持ってください。

  1. 研究テーマが決まる

  2. テーマの解明に向けて既知の情報と未知の情報を整理する

  3. 既知の情報から未知の情報の仮説を立てる

  4. 仮説を検証するための実験を計画する

  5. 実験する

  6. 結果から仮説を評価し得られた情報をもとに2に戻る

さて、このサイクルで重視される点はどこでしょうか?
あまりなじみのない人は5の実験で新しい発見が見つかるかどうかだと考えられるかもしれませんが、重視されるのは4の計画段階になります。
時間もお金も限られている中、なんかやってみたら面白いこと見つかるかもで手当たり次第に知らないことを知るために実験する研究者はまずいません。
実験で確かめたい仮説ができたなら、その仮説が正しいか評価できる手法を考え、その手法を実行するための計画を立て、どんな結果がでたら正しいといえるのか計画段階で定義します。実際の実験においてはその計画通りに作業するのが基本です。(実験で新しい発見がある場合というのは、その計画で想定されえた複数の結果のどれにもあてはあらない場合などにそれが何かのミスではない結果だと評価されて初めて意味を持ちます)

そして実験の結果、仮説があっていれば2に戻って新しい仮説を考え、仮説が間違っていた場合は可能性のある仮説が一つ消えたので他の仮説を考えるという風に、可能性を狭めていきながら次のサイクルへと移っていきます。

このように、実際の実験もさることながらいかに効率よく仮説をつぶしていくのかを計画することこそ理系的だと私は考えてます。

それをどうインタビューに活かすのか?

ここまでだと前回といってることは変わらないのですが、特にインタビューで活かしてほしい理系的なポイントとして
仮説が正しいか評価できる手法を計画時点で考える
を取り入れていただきたいと考えてます

具体的な事例で話します。あくまで私の意見になります。
とある機能改修でデザインを変更する際にユーザーの意見を聞くシーンを想定してください。この場合計画段階で何を決めればいいでしょうか?
多くの場合複数パターン作ったデザインを見てもらっていいと思った方を聞くために、複数のデザイン候補を決めるということがなされそうです。必要なことではありますが、一部のユーザーが多数決的に決めたデザインにして本当にいいといえるケースはレアではないかと思います。

この場合、まず押さえるべきはなぜその機能を改修する必要があるのか、どこに原因があるのかの既知の情報があっているのかの確認になると思います。その前提がずれているとあったらいいけど一番欲しいのはそうじゃないという話が出てくる原因になります。
その前提があった上で、計画段階では、「想定しているユースケースにおいて、インタビューできるユーザーのうち何人がこれだと不便だと意見がでたら、そのデザインは考慮しなおすべきか」が私の出す一つの答えです。
ユーザーそれぞれに好みがあることを、そして最終的なプロダクトの責任を取るのは作り手であることを考えると、これいいですねという話よりも、これだと不便だという意見を反映しないことを重視しました。

また評価の条件ですが、とても例外的な使い方をされたシーンで頻度も高くないのであればそのユースケースでは不便でも構わないでしょう。なので想定している主要なユースケースで問題がないかで評価します(もちろんインタビュー中に気づいていなかったケースも主要パターンになることが発覚することがままあるので注意はいります)
また一人でもそれは不便だといえば考慮しなおすのかといえばやはり好みもあるのでどのくらいの割合だと問題ありそうか事前に想定しておきたいところです(こちらも人数ではなくその意見の理由がするどい場合などもあるので一概に人数で決めれないと思います。ただそのような意見がもらえたらいいインタビューですよね)

このぐらい具体的にデザインを評価する軸があると、インタビューに臨む際も具体的に質問が用意しやすく聞き漏らしも減るでしょう。振り返ったときも評価がスピーディーに終えられます。

まとめ

なんとなく設計をしっかりするとうまくいく可能性が高まりそうだとおもっていただけたでしょうか?
次回はより具体的に仮説の立て方とか質問の作り方とか、インタビューに焦点を当てて話題を展開していきたいと思っております。

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