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【ネタバレ注意】エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス【映画感想】【アカデミー賞】

どうも、てっさいです。

エブエブが心に刺さったので少し長めに書いていきます。

さてエブ・エブの知ってた方が良い予備知識をまずは書いていこうと思います。

主人公のエヴリン・ワン(ミシェル・ヨー)はアメリカに移民した中国人でコインランドリーを経営しています。
夫のウェイモンド・ワン(キー・ホイ・クァン)は優しいが頼りがなく、娘のジョイ・ワン(ステファニー・スー)はレズビアンで白人の彼女がいます。
また中国在住のエヴリンの父ゴンゴン(ジェームズ・ホン)がちょうど遊びに来て、エヴリンは国税局に税金の申請をするところから物語は始まるのです。

この予備知識を持っていれば物語の初めはすんなりと入り込めると思います。と言うかこの映画は序盤に情報量が多いので、何も知らずに観るとやや混乱しました。

さて以降はネタバレも含めた感想を書いていきたいと思います。



出だし
エヴリンは大忙しでクリーニング店の税金の処理、父が遊びに来る準備、父の誕生日のお祝いの準備でてんてこ舞いしているところから始まります。
この段階で父とはあまり通じ合っておらず、娘も大学を中退して女性と付き合っているため気に入らず、また夫は離婚を考えているほど夫婦仲が冷えている情報が入ってきます。

序盤
国税局で夫の人格が変わって急に世界に危険が迫っていると言います。マルチバースが物語に関わってきます。
そして、クリーニング屋なのになぜカラオケの機器を経費で申請しているのだと国税局員に突っ込まれます。
この世界観のギャップが面白い。
この税金申請での場面、エヴリンが一番おかしな主張をしていて、夫は何とか丸く収めようと努力していますし、国税局の人も特に厳しいことは言っていない。エヴリンのやや難がある性格が見えるやり取りです。

経費を突っ込まれる

ここら辺りでマルチバースの設定がわかってきます。
無限に広がる隣の世界があり、その世界の自分がいる。
社会的に成功した自分もいれば失敗している自分もいる。
そしてハチャメチャで馬鹿なことをすれば他のマルチバースの自分の技能を習得できる設定になっています。
この設定によってコメディとアクションを融合した作品になっています。
ここが馬鹿馬鹿しくて面白い。
ちなみに馬鹿なことの例(靴を逆に履く、手を紙で4回切る、お尻にトロフィーを突っ込む、などなど)
また戦う武器も面白くポシェットや犬などを振り回して戦うシーンなどあります。

中盤
マルチバースを壊そうとしている者はすべての世界を体験してしまったエヴリンの娘であることがわかります。娘はマルチバースのすべてを体験したことで精神が壊れすべてが無意味だと悟っています。
ギャグなのか意味があるのかわからないのですがベーグルに世の中のものをすべてを載せた、世界の真理を司る黒いブラックホールベーグルが出てきます。敵はその黒いベーグルを信仰している者たちなのです。

破壊神と化した娘

 さて物語の流れはここまでで感想を書いていきたいと思います。

このイブイブはアクションとコメディでエンターテイメント映画として面白いです。馬鹿馬鹿しくて笑えるシーンがてんこ盛りです。また他の映画のパロディが多くあります。(レミーのおいしいレストラン、2001年宇宙の旅など)

無限に広がるマルチバースなのにそこで焦点になるのは家族と自分の人生なのです。大きな世界を小さな家族の枠に押し込める。おかげで感情移入がしやすくとても良かったですね。
この映画を観ていると、自分などは失敗の積み重ねの人生なので心が揺さぶられるものがありました。
自分は人生の選択を間違ってしまったのか?
しかし、間違っていても得られるものはあったし、失ったものもあった。
そんな事が頭をめぐりました。
また途中でエヴリンたちは石になります。
崖の上の石に。
その時が一番、心が穏やかになっているのですね。
生物として生きている以上、競争は起こり、心は動揺します。
生きることに疲れてしまった。
生物として存在するのも辛い。
自分も石になりたいと少し思いました。
エヴリンと娘のジョイはすべてを体験したために神のような力を得ます。
娘はそこで人生は無意味だという結論を導き出し暴走します。
しかし、エヴリンはおそらく無意味だと思ってもその無意味の中に価値があると思ったのではないでしょうか。
無に行きついてから生を知る。
エヴリンは悟りの極致にたどり着き第三の目が開き、人々を導く存在となるのです。
エヴリンと娘が出した結論の違いは、夫からの愛と子供への愛があったからではないでしょうか。
(これを書いている時に夫役のキー・ホイ・クァンがアカデミー賞の助演男優賞を受賞したニュースが飛び込んできました。
弱い夫、強い夫、優しい夫、すべてが感じられる名演技でした。)

すべての人に親切に。そして愛が大事。

アジア人の方が密着した家族を築きます。親と子の絆は西洋人とはまたちょっと種類が違うものを感じます。
西洋は子供のころから一人の人として扱いますが、アジアでは子供は成人するまでは自分の子と言う意識がある気がします。
自立の促し方の違いや、子離れの時期に違いがあるような気がします。
その点で言うと、この物語の家族愛はアメリカで創られたとはいえ、アジア人の密着した家族愛が感じられた気がしました。監督が中国系2世のアメリカ人ですしね。

アカデミー賞を7つも取った作品!!
マルチバースと言う広大な世界で普遍的なものを見せてくれた。
イブイブはそう言った名作映画でした。

ちなみにパンフレットには映画で高速に変わっていく84種類のエヴリンが見れますのでお買い得かも知れません。


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よければ読んでやってください。

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