つながりと善意だけで飲食業は救えるのか

私の答えはNOである。

では筆者はどうするか。その行動は後半書く。その前に、現状の食産業の様子を詳しく見てみたい。
外食産業は、特に居酒屋形態は壊滅的である。夜を中心に営業していると、自粛要請に従って営業ができないので当然である。

居酒屋はどのくらいの売り上げがあるのか。私はかつて1店舗を預かる形をしていたが、大阪のあびこという駅から徒歩5分、一人で切り盛りができてランチと夜の営業を22時まで行うお店で、良くて一日3万円くらいである。客席は12名だが、一人で切り盛りしてもらっているので10人の対応は難しい。8名くらいまでであった。もちろん、こんなお店なので常に常連のおっちゃん5,6名くらいの相手のお店なのだが。そんなものなので、給料が私の分まで出るわけでもなく、いつもやや赤字。他の事業と併せて何とか続けていたようなものだった。それでも20万円ほどは給料を出すことができていた。
ある程度の規模(客席30人くらい)になると、人件費が最低3名分、家賃は小さくても100㎡(30坪)くらいになる。このくらいの店だと、売り上げが15万円はないと困る。よくある話で、人件費率とか家賃の比率とかがあるが、お店の形態によってかなりブレがある。だいたい、15万円は欲しいところだと思う。今回のコロナ騒動では、これをケータリングなどでカバーしようとしている(しかし、どこのお店もそうだがこれは儲からない。何とか仕事を少しでもし続けて、材料代だけでも出そうというくらいである。)。あるいは、以前も話題にしたが、「さきめし」などの、支援サービス、クラウドファンディングなど「つながりを基本とする支援」で対応しようとしているのが飲食店取り組みである。

飲食店は基本的にそれほどキャッシュが持てていない。むしろ、初期投資が大きいので、借金を返していく経営状態である方が大きい。なので、経費の圧縮も大切だが、キャッシュフローを大切にしている。クラウドファンディングや「先払い」タイプの支援は、期間中のキャッシュを保証するが、その後のサービスで返さなければならない。その返す期間はいつ来るか分からない。客数がやっと回復途上にしかない状態、さらにこの「つながりによる支援」がキャッシュフローを圧迫するという逆効果になることがある。

先に述べたように、キャッシュが入らなければ飲食店はやっていけない。クレジットカードなどを対応したがらないお店が多いのもこれが理由である。手数料ばかりか、いくつかのカードはお店への入金が遅い。なので、現金払いが一番ありがたい。クラウドファンディングのよるサービス、先払いのクーポンなどは、有効期限があれど基本的にいつ使われるか分からない。つまり、そのクーポンなどのお客様は、お金は出ていくけれどもお金は入らない。

ここから先は

1,499字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?