科学技術と人をつなぐ『心』
科学技術と人って必ずどこかですれ違ってしまいます。
すれ違いを減らすカギは、『人の心』だと信じています。
私が科学技術と人間社会を考える時、必ず意識する言葉があります。
『荘子』の中で、機械を使い仕事をする者に説かれた言葉です。
「機械を使う者は必ず機械のための仕事(機事)が増える。
機械のために仕事をするうちに機械に頼る心(機心)が生まれる」
機心は本来の人間の営みを忘れさせてしまうから機械を使うのは良くないという主張です。
しかし、現代は機械なしでは生活できません。
どんな人でも生まれた時から「機械」があって、それを使って生きています。
みんなそれぞれ、機事と機心を持っているんです。
それでは、私たちはすでに機心で埋め尽くされて
「本来の人間らしさ」というものを失くしているのでしょうか…?
(皆さんはどう思いますか?)
私は、ちょうど中間にいるような気がします。
現代の人間らしさって『選べること』と『気持ちがあること』ではないでしょうか。
この二つのバランスが取れているなら、機事と機心もあっていいかなと思います。
『選べること』
便利で楽だからスマホで検索するのもいいけど、手間をかけてもいいから紙の辞書で調べたいとか、地図の経路検索で出てきた最短距離のルートから外れて、遠回りをしてみたいとか、
利便性の為にある機械をあえて使わないことを選択するとき
その『背景』には必ず心があるはずです。
『気持ちがあること』
機械と機事と機心、この間には必ず人が携わっています。だけど、なかなか意識して使うことって少ないです。
機械を使って、機械の向こう側に人がいる感覚を持つこと、
メッセージのやり取りなんかを通して人の心を与えられることが大切だなぁって思います。
以上のような、『選べること』、『気持ちがあること』を意識して
科学技術を使い、機事と機心のバランスをとることに
「科学技術と人間社会」の間にある問題解決のヒントや科学技術の発展の機会があるのではないでしょうか。
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