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七七舎

国分寺の古書店「七七舎」はぼくにってサードプレイスのひとつだ。国分寺駅の南口には「早春書店」という古本屋もあって、その一帯はさながら国分寺モンパルナスと言っても過言ではない。いや、さすがに過言かもしれない。

サードプレイスとは

みすず書房の「サードプレイス」(レイ・オールデンバーグ著)なる本を少し参照すれば、第一の家、第二の職場とともに、個人を支える場所が、サードプレイスであるという。

たしかに家や職場(今はテレワークだが)は毎日いる場所あるいは行く場所だ。それに次ぐ場所となればなかなかの頻度で利用していることは間違いないだろう。

ちなみにぼくは週に1回~2回程度の来店頻度だが、いつも見かけるおじさんが2人くらいいる。

常連さんの存在

週1回~2回しか行かないぼくですら、ほぼ毎回見かけるのだから相当な頻度で行っているのだろう。

大抵、本のことや国分寺界隈に関する話を店員の若い子に語っている。それに聞き耳を立てているとなるほど、と思うことも多い。

店員さんの存在

店員さんはその話をうまく聞いている。ちゃんと耳を傾けてくれることも常連さんからしたら居心地がいい理由のひとつだろう。

社員の人もアルバイトの人もいるが、往々にして本の知識をそれなりに持ちつつ在庫把握もしている。

ボクもときどき「こんな本がほしいのですが…」と抽象的なお題を出す。それでも条件をうまく絞りながら「あ、こういうのが欲しかった」という本を棚から持ってきてくれる。

もちろん、こちら側がどういうことに興味を持っているかで、こんな本もあるとレコメンドしてくれたりもする。

店長もなかなか稀有な人生を歩んでこられたらしく、ときどき教えて頂く話がおもしろい。

リーズナブルな価格

古書の醍醐味と言えばもう新品で手に入らない絶版本に出会えることもあると思う。

ヤフオクや神保町で見かける割と有名な本なんかも、相場よりリーズナブルな印象だ。

神保町の古書店のように自社ビルじゃない(全てそうではない)のに、駅前の家賃を払いながらどれくらい利益が出るもんなんだろうと思う。

市場で仕入れたり個人から買い取りしているようなので原価率は抑えているのだろうか。ネットでの販売もやっているようなので商売としてはコロナ禍でも何とかやれているらしい。

商品

そして品揃えも豊富だと思う。スパン数を見るに思想哲学や芸術系の類が多い印象だ。

お店に行って棚を眺めているだけで新しい経験ができた気になってくる。まさに温故知新。

ちなみに何を商品ととらえるか。商品の定義を自分が価値と感じてお金を払うものとするならば、いわゆる本だけにお金を払っているわけじゃないだろう。

常連さんの存在、店員さんの存在、国分寺という街にあることなど、さまざまだ。

これらを含めてユニークな情報を手にしながら、少しでも自分が良いと思う人やお店にお金を支払える、個人店ならではの応援した先が見えることも商品に内包される。だからこそサードプレイスなのだ。

そういうお店が身近にあることで人生はずいぶんとご機嫌になる。

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