シナリオ【 初恋 】

成績優秀でスポーツ万能の先輩。ファーストキスの相手で意地悪な幼なじみ。ふたりの男子に揺れる女子高生15歳の春。

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●テニスコート（午後）

藤井和成（17）が練習している。ラリーが続く。

小野田萌（15）の声「あの人？」

高橋亜矢（15）の声「あの人」

萌の声「名前なんての？」

亜矢の声「まだわかんない」

藤井が華麗なプレイを決める。悲鳴のような女子たちの歓声が急に大きく聞こえ、

●高校・校舎２階のベランダ

亜矢と萌がギョッと横を見る。ふたりと同様にテニスコートを見ていた３人の女子が歓声のあと「ヤバいよね」「ヤバいよ藤井先輩」と大騒ぎ。

萌「（小声で）藤井先輩だって」

亜矢「うん」

萌「あれ２年？」

亜矢「うん」

亜矢の声「（ナレーション。以下同）ライバル多数」

●テニスコート

藤井が爽やかな笑顔で対戦相手と話している。

亜矢の声「リサーチの結果この人、先輩の名前は藤井和成。３年２組。テニス部のエースで」

●体育館

藤井が体育の授業でバスケットボールをしている。ドリブル。

亜矢の声「（直結で）ほかのスポーツも万能。成績も常に上位」

シュートを決める。ゴールにスポンとボールが入る。

●校舎・廊下

休み時間。藤井が男子３人と楽しそうに話している。女子が声をかけて行く。

亜矢の声「そしてイケメン。当然人気者らしい」

●１年２組のプレート

亜矢の声「もっと知るにはどうしたらいい？」

●教室内

授業中で女性教師が「わかりますか」と生徒たちを見まわす。

リアクションのない生徒たちの中に亜矢。悩んでいる顔がハッとする。

亜矢の声「そうだ忘れてた！」

教師「はい高橋さん」

亜矢「え（びっくりして見る）」

教師「わかったみたいね（黒板をさす）」

亜矢「いえ全然（きっぱり）」

生徒たちの笑い。

●スマートフォンの画面

ＬＩＮＥに文字が打たれる。

萌の声「思い出したってなに？」

●教室

休み時間。亜矢がスマートフォンを操作している。

亜矢「幼なじみ。この高校にいるの。同じ３年」

萌「へぇ。その人に聞く？」

亜矢「最近ご無沙汰だけど」

萌「でもなんかいいね、幼なじみって」

亜矢「そお？」

●３年３組の教室

休み時間。居眠りしている進藤新太（17）。スマートフォンの着信に気づいて画面を見るが、また寝る。

亜矢の声「人が思うほどいいもんじゃない。新太は性格悪くていじめっ子だし。昔はさんざん泣かされた。でも今は負けてない」

●コンビニ（夜）

亜矢の声「私んちの４軒隣りにあるコンビニのひとり息子だ」

５階建てマンションの１階がコンビニで営業中。亜矢が入っていく。

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