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逆噴射小説大賞2021で奨励賞をいただきました+ライナーノーツ

 こんにちは。電楽サロンです。

とりました。すごい。

 この記事は発表翌日に書いています。全然実感が湧かないや。
 Twitterではお祝いの言葉をたくさんいただきました。本当にありがとうございます🙇‍♂️

 私は第一回から参加していて、自分が賞を頂けるとは思わなかったです。いや、思ってた時もあるけれど。いざ現実を目の前にすると「おお……」としか声が出なくなりました。
 思えば初めて第一回逆噴射小説大賞で二次選考を通ったときは、嬉しすぎてT.M.Revolutionの『魔弾』を寮の部屋で熱唱していました。夜中の二時です。ちゃんと下の階から怒られました。
 それを思うと、容量を超えた喜びは声すら殺すのかもしれません。

 さて。せっかく奨励賞をいただいたこのタイミング。やはりライナーノーツを書くしかありません。選考に落ちたものも大好きなお話たちなので、つらつら書いていこうと思います。


Sewcidal Boyz

 ひとつ目。
 自粛期間中、ぬいぐるみ達と向き合う時間が多くなりました。
 私はよくぬいぐるみ達はこんな性格だろうな、こんなこと考えてそう、と想像して喋らせます。けれど、それは全部私が考えてるだけでぬいぐるみ達は「そんな性格じゃないよ!」と不満を溜めているかもなぁと思い、書けました。
 社会では自分がやりづらい役を演じることもあります。どうしてもストレスが溜まります。だったら、ぬいぐるみでも同じことは起こりそうだと思いました。「言わされ罪」というワードはこのような経緯で生まれました。ぬいぐるみ達に感謝。

 タイトルの話。もともとこのお話は『ガガビビ殺殺殺(ガガビビシャッシャッシャッ)』と言う名前でした。意味がわからなくて好きだったけれど、少し置いてアイデアをねってみました。そして、私の大好きな漫画『スーサイドガール』からアイデアを拝借して、ぬいぐるみが出ると分かるよう『Sewcidal Boyz』となりました。

 逆噴射の発表順で言うと、最初にこれを書けたから残り二つも良いものになったと思います。
 周りからの反応やピックアップで自分が面白いものを書ける自信がつきました。本当にありがとうございます。
 「コンテストに出す」というより、「もっと面白いもの書いちゃおう」と頭を切り替えられました。

 決まりきったことだけれど、ぬいぐるみは可愛いです。人より可愛いまであります。人に可愛がられるために生まれ、それを全うする。出自から可愛さの純度が人間より高いと思います。私たちは幸いにもぬいぐるみを可愛がっているだけで済んでいます。けれど、その可愛さを使って人を操ろうとするぬいぐるみも現れないとは限りません。


虚面狩り

 ふたつ目。
 このお話は能面の展覧会のパンフレットと犯罪結社のノンフィクションの2冊から生まれました。能面のパンフレットでは面裏が写真で載っており、それが虚面のアイデアにつながりました。能面の裏側は真っ黒で怖いんです。何か呪術的な魅力があるのではと感じさせます。
 そこに加わったのがブラックハンドのノンフィクションです。犯罪組織を追う警官ジョー・ペトロシーノは実在の人物であり、書籍で捜査中に亡くなったと知りました。
 もし、彼が不思議な能面を手に入れ、成し得なかった悪を排するために生き返ったとしたらきっと手に汗握る話になるでしょう。

 余談ですが、はじめは『風姿花伝』をエピグラフで使おうと思っていました。すごく好きなアイデアでしたが、800字しか書けない大会で流石に不利かなと思いボツになりました。でも、エピグラフはいつかやってみたいです。

 お面の持つミステリアスさ、被ったことで別の何かになれる感覚は魅力的です。私は第二回逆噴射小説大賞でも肉仮面を被った男の話を書きました。これからもお面に関するお話は生み出していけたらなと思います。

タイトル候補たち。推敲とタイトル決めで二週間ほどかかりました


Groovy!!にさよならを。

 みっつ目。
 私は第一回逆噴射小説大賞からずっとダンスのお話を続けています。だからこれは絶対に書きたかった。
 毎年出しているダンスパルプは、「ダンス+何か」で書いていました。私は新しいテーマだ!となるけれど、考えてみればダンス要素で新規性は獲得できているため、付け足す必要はあまりありませんでした。800字で2要素を書くのも難しいですしね。そもそもみんながダンスを知っているわけではないですからね。これに気づくまでに4年かかりました。

 そんな背景で要素を絞って本作は完成しました。高校でダンス部をやってた頃を思い出しながら、こんなことあればいいのに……と書いていて一番ノスタルジックな雰囲気があります。三作品のなかでは殺伐さが皆無だけれど、いつか恋愛小説にも挑戦したいぞという気概があって大好きです。もう少し鍛錬を積んだら続きを書いてみたいものです。


 そんなわけで、ライナーノーツは終了です。最後に逆噴射小説大賞に出るまでにやっていて良かった〜ということをいくつか話してお別れとします。自分の備忘録としても書いておこうと思います。
 話半分に聞いてください……。

デカめの話を書き上げる

 昨年の七月、ずっと書いていた小説『THE ASAXAS CHAIN SAW MASSACRE』を書き上げ、バールさん主催の絶叫杯に出しました。
 初めての五万字の中編でプロットもガッツリ組んで書き上げました。この頃はずっと書き続けていて、そこで文章の持久力が少しついたのかなと思います。あとは、長く読んでもらうために突飛な表現は抑えて中身で驚けるようにする訓練にもなりました。
 浅草チェーンソーは自分の中で一番面白いものという確信があって書いていました。なので、自分が書いてきた小説の中で一番スキをもらえたのはとても嬉しかったです。「自分でも面白いものが書けるんだ」という大きな自信につながりました。当時、感想やファンアートをかいてくださった皆さんには本当に感謝しかないです。ありがとうございます。


評価されてみる

 浅草チェーンソーを書いている間に、ダイハードテイルズで行われた逆噴射ワークショップに『宇宙OLと残虐ゴリラ』というお話で参加しました。これは冒頭だけでなくまとまったお話を提出してどこが課題点かをダイハードテイルズの方々にお聞きする企画でした。
 ここで私は逆噴射先生にめちゃくちゃに叱られました。これは本当に今見るとナメた文章してしまったので反省しかないです。多分、みんなうっすら思っていたことだったのだと思う。それをまともに受け止めて直すのはメンタル的にきつかったけれど、私は書くことが上手くなりたかったので結局続けました。自分の本当の姿を確認するのは大事。

 良いこともありました。7月にへびふくろう座さんで行われた「第二回へびふくろう座文学賞」で白熊賞をいただきました。これは文章を矯正しようと頑張っていた頃だったので自分の取り組みが上手くいっている指標となりました。


書く以外の軸を作る

 書くだけが全てだと、評価された時に心が死んでしまうので残機をたくさん持っておくといいと思います。
 私は他にDTMと地雷メイクをするのが好きです。自分ができることが増えるとひとつがダメかも……となっても他の自分が好きでいられます。進捗が芳しくない時に可愛くなれるのは良い気晴らしになっています。


 以上です。最後は自語りになってしまいましたが、私のnoteなのでよしとします。
 これからもお話は書いていきます。800字じゃ足りないのでもっと長いお話が作れたらいいな。その時はまたよろしくお願いします。

 PRACTICE EVERYDAY……。

【了】

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