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今年読んだ本で面白かったやつ

クリスマスが終わり、大晦日ももう目前に迫りました。今日は一年で印象に残った本を抜粋して振り返っていく。

今年のことは今年中に。張り切っていくぞ。

『他人事』平山夢明

知らない人間の邪悪な暴力の本。こう言うと近隣の住民の…、アパートの隣人が…とかトリハダめいたものを想像してしまうけど、火星で囚人が殺戮マシーンにグチャミソにされる話や異能の少女が出てきてヤクザを殺す話などがあるので楽しい。タイトルも素敵で『倅解体』や『定年忌』など不穏の塊ですね。
あとがきはHUNTER×HUNTERの冨樫先生が寄稿していてびっくりした。


『あむんぜん』平山夢明

あほとゴアが交互に殴りかかってくる短編集だ。表題作の「あむんぜん」がとにかくオモシロイ。タイトルから想像つくわけないよ!こんな話!!


『衛府の七忍』山口貴由

最近漫画を積極的に読んでなかったんですが、もー面白くて面白くて全巻買っちまいました。天才。エンタメの塊。ページめくるたびに「そうきたかァ〜〜!」って膝を打ちまくっていました。圧政に潰される「まつろわぬ者たち」の鬼神の如き活躍が熱い。


『最高殊勲夫人』源氏鶏太

鎌倉を旅行した時に、ふと手にとって買ったのがこの本。昭和のラブコメの傑作だ。杏子と三郎がめちゃくちゃに可愛く、脇を固めるキャラの愛らしさも大好きだ。他の作品も読んでみたい。


『忍法剣士伝』山田風太郎

今年に入って読んだ甲賀忍法帖が面白すぎてぶっ飛んだので、古本市で買った。とにかくあらすじが好き。
兄弟子である七郎太の幻術により、北畠具教が娘、旗姫は男を狂わせる体になってしまう!!伊賀忍者、木造京馬は姫を求める12人の剣豪たちの魔の手から逃れながら旅をする……。
面白くないわけがない。七億点。


『不夜城』馳星周

ハードボイルド小説を初めてしっかり読んだ。金も力もないやつがギリッギリのハッタリをかましながら生き抜く話。頭が別に良いわけでもない主人公が一本橋をぐらぐら渡ってくみたいなスリルが良いですね。
出てくるやつ出てくるやつが闇社会の悪人なので全く信用できない。


『髑髏検校』横溝正史

冒頭から鯨の腹のなかから手紙が見つかりテンションが上がる。伝奇ものの『忍法剣士伝』に比べると淡々と物語は進んでいくけど、髑髏検校の不気味さが色濃く出てて良い。3つの笛を巡るもう一つの短編、『神変稲妻車』もめちゃくちゃ面白い。凧に乗りながら剣で戦ったりする。あなたが好きなやつだ。


『サマー/タイム/トラベラー(1)(2)』新城十馬

最高。夏に読んで良かった。友達のお母さんがやってる古書が積まれた喫茶店で過ごす時間、タイムリープの原因を調べるために暑い中漕ぐ自転車……物語の夏休み描写五億点。大好き。


『黒い仏』殊能将之

ミステリーの気持ちで読んだらぶっ飛んだ。多くを語らず早く読んでくれって思う本。
アントニオがとにかくカッコいい。寝てる間に私も化け物を追い払う役やりたい。


『ステーシーズ』大槻ケンヂ

友達に貸してもらったんですが本当に良かった。
少女は人肉を食うゾンビ、「ステーシー」になる前に好きな男に自分を殺す権利を渡す。究極の愛の形だ。


『ヒト夜の永い夢』柴田勝家

南方熊楠が明治の才能を結集して粘菌コンピュータ「天皇機関」を作る話。快活な男たちがはしゃいでオーバーテクノロジーを作ってく様が最高。個人的に好きなシーンが南方熊楠とアイツとの便所問答の場面。
今敏のパプリカが好きなやつは多分これも気に入りそう。


『デストロ246ハンマーレイジ』藤原恒介

高橋慶太郎先生の漫画『デストロ246』が元々大好きだったのでノベル化に狂喜乱舞した。原作の女子高生が出て男が死ぬ構造は変わらず、馬鹿でかハンマーで殴殺する女子高生が暴れ回る話になってる。冗長な部分もなくサクっと読めるのが良い。

『IQ』『IQ2』ジョー・イデ


アフリカ系アメリカ人のアイゼイアと相棒のドッドソンが織りなす探偵小説。
1ではドッドソンが面倒事を起こす困ったギャングだったのが、2では嫁さんをもらってチキンを焼いて生計を立てる良い旦那になってるのがすき。続編で見られるこう言う変化っていいよね。


『コルトM1851残月』月村了衛

江戸を舞台にしたノワール小説だ。
冒頭から残月の郎次がコルトを敵にぶっ放すシーンから始まる。コルトは一瞬で相手が死んで無敵に見えるが、弾丸に制限があるのと、手入れに時間がかかるところで上手くバランスを取ってるのが上手いなあと思った。


『吉原御免状』隆慶一郎

宮本武蔵に育てられた剣士松永誠一郎が柳生の刺客と戦う。それだけでも面白い。そこに吉原の謎や徳川家康影武者説が混ざり、最高の時代小説と相成っている。
誠一郎が吉原で人と関わっていく中で真の男になっていくのが良い。


『ファミリーランド』澤村伊智

同作者の『ぼぎわんが、来る』が大好きで読んだ。SFホラー短編集だ。
冒頭の「コンピュータお義母さん」が邪悪。テクノロジーを持ったババアを舐めてはいけない。
「今夜宇宙船の見える丘に」も好き。低所得者が親を「介護しやすい形」に施術するキットが出てきてきつかった。
「愛を語るより左記のとおり執り行おう」はタイトルだけで賞をあげたい。テクノロジーで死から遠ざかった未来に、現代の葬式スタイルを蘇らせたらどうなるのか?


やっぱり好きな本が見つかると書きたい気持ちももりもり増えますね。今年も面白い本が読めて良かった。
(おしまい)

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