静嘉堂文庫「超・日本刀入門 revive」展を見て
静嘉堂文庫で8/25まで開催中の「超・日本刀入門 revive」展にようやく行ってきました。
今回の展示は重文、重美中心の名品揃いで(中には国宝も)、曜変天目以外は全て撮影可というのも嬉しいです。
太刀置きが多く刃文は目線をかなり落として70cm位の高さで見る必要があり30歳を越えた人は腰が痛くなるかもしれません。
ただライトが非常に綺麗に当たっているので腰さえ落とせば刃文などは見やすいです。
刀剣乱舞コラボということもあり平日の昼間でしたが結構混んでいました。(誰かしら刀展示の前にいるので1つ1つ見るのに少し時間を要しました。)
①気になった刀剣
流石に全ては紹介しきれないので気になった刀剣など少し紹介します。
・太刀 銘 了戒
実はあまり在銘を見ない了戒。若干区を送っているようにも見えるが山城伝という事もあり優美な姿に目を惹かれた。
了戒といえば白け風の映りなどと聞く事が多いような気がするが、この太刀には全体に低い乱れ映りのようなものがはっきりと立っており、了戒の太刀にもこのような映りのものがある事の分かる貴重な資料に感じた。
・太刀 銘 手掻包永
手掻派の祖とされる包永。
包永の在銘は生ぶが殆ど無く、その多くが銘の下でなぜかぷっつり切れているがこの太刀も同様。
保科家伝来の生ぶ太刀を見ると茎孔の上に銘を切っている事から、この太刀の銘のすぐ下にある茎孔は生ぶ孔かもしれない。
刃は二重刃が鮮明に出ており、非常に沸づいた刃も相まり覇気が凄まじい。
・短刀 新藤五国光
典型的な新藤五国光の精美な地鉄をしており、沸映りが立っている。
その地鉄に調和するように直刃調の締まった刃がすっと優しく入っている。
樋や刀身に対しての茎のバランスがとても良く、鎌倉期の美しさが見て取れた。
・短刀 銘 西蓮
西蓮というと大左(左文字)の祖父にあたる刀工で、実阿の父と考えられている刀工。
九州物の黒みを帯びた地鉄に肌立った地景が入るが、その地景が縦横無尽に刀身を駆け巡っている様子は大左が正宗十哲に数えられるように作風が似ていたというのも繋がりが感じられるような作をしている気がする。
西蓮の在銘作は殆ど見ないがこの短刀は在銘かつ生ぶな点も非常に貴重に思える。
②気になった拵
・後家兼光の拵
明治らしい美しい蒔絵が施された拵。
鐔は水車の図に亀甲紋が散って配さたデザインをしており、鉄地の雰囲気などが信家っぽく見える。というより恐らく信家だろう。
こういう贅沢な要望をしっかりした技術で応える事の出来た時代が明治という時代だったのかもしれない。
今これだけの蒔絵を出来る職人さんはいるのだろうか。
・滝川高綱の拵
滝川一益が織田信長より拝領したと伝わる太刀と拵で、金具には織田木瓜の家紋が入っている。
五三桐紋よりも格の高い「五七桐紋」の透かしが施された大きな甲冑師鐔が付いているが、こうした甲冑師鐔がどのような拵に付いていたか非常に勉強になる一資料。
革を巻き握りやすくしているのも戦国期らしさを感じとても良い。
③物販
入り口の手前には物販エリアがあり品揃えも充実していて見ていて面白かったです。
他にも静嘉堂は洋変天目でも有名なので茶器関係の本やグッズも多く見られました。
終わりに
展示品の数が意外に多く、そして名品が多いので意外に疲れましたが、これは見に行った方が良いレベルの展示会に思いました。
最後に拵ではないですが、刀装具で気になっていた乗真の十二支の三所物も見れました。
上三代の中でもダイナミックに大きく表現するのが乗真の印象がありますが、これもまた画枠いっぱいに使い躍動感たっぷりに表現している様は流石に格調が高くてうなりました。
高さも非常にあるので行かれた方は側面から見てみると良いかと思います。
特別重要刀装具クラスなのは間違いなさそうでこれも必見です。
静嘉堂の展示会は8/25までなので、まだの方は是非!
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それでは皆様良き刀ライフを!
↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)