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公務員にもマーケティングは必要ですか?(8) ~時間がない人のためのプチまとめ~

これまで(1)~(7)に渡って、公務員にとってもマーケティングは使えるよね!ということを伝えてきましたが、ここで一度まとめてみたいと思います。
過去記事を読む時間がない、手っ取り早く要点だけ知りたい、という人は、とりあえずこの記事に私が伝えたいマーケティングの基礎をまとめておきますので、読んでいただけたら幸いです。

誰のため、何のための施策・事業ですか?

そもそも私がマーケティングを行政にも活用したいと思った原点がこの問いです。
この問いに、具体的に回答するためにマーケティングを活用してシステム化(見える化)します。

ニーズはありますか?

3C分析にも繋がりますが、まず大前提としてその施策・事業が本当に多くの住民が求めていることなのかどうかを確認する必要があります。
世の中には、独りよがりの思い込みでニーズが欠けていた、という失敗事例が多く存在することを忘れてはなりません。

3Cから4P・4Cへ

3C
Customer(顧客):住民
Competitor(競合):他自治体、民間企業
Company(自社):自らが所属する自治体

まず上記の3Cをしっかり分析し把握することが重要です。
ひらめきや思いつきで4Pや4Cのいずれかが生まれることはよくあることですが、そこに3Cというバックボーンがなければ、すぐにメッキが剥がれてしまいます。

4P
Product(商品):施策、事業
Price(価格):予算、費用対効果
Place(流通チャネル):場所(施設、公園など)、協力者、関係者
Promotion(販売促進):広報

行政(作り手、売り手)側の視点である4Pを、住民(顧客)視点に変換したのが4Cです。

4C
Customer Value(顧客にとっての価値
Cost to Customer(顧客の負担顧客にかかるコスト)またはConsumer Cost
Convenience(入手の容易性顧客にとっての利便性
Communication(コミュニケーション

3Cから4P・4Cへ展開するツール

STP
S
egmentation(セグメンテーション):細分化
Targeting(ターゲティング):細分化した中からどこかに絞る
Positioning(ポジショニング):空白の市場を見つける

そのままS→T→Pの順番で設定していきます。
重要なのは価値観や考え方であり、「自分事」として共感してもらえるかどうかがカギです。
ポジショニングマップを作成して、ブルーオーシャンを見つける手掛かりにします。

USP(Unique Selling Proposition)
自社(の商品やサービス)のみが持つ独特の強み(ウリ)

3C分析をすることで、自分の強みや弱みが明らかになります。
その強みが何であるかによってUSPが見えてきますので、それをうまく活かした4Pや4Cにします

①どんな人に?(メインターゲット)
②どんなイイコトが起きるのか?(ベネフィット)
③他と何が違うのか?(差別化、ポジショニング)

STPやUSPを考える際に外してはならないポイントが上記の3つです。
3つの中でも一番ブレやすい「①どんな人に?(メインターゲット)」をより具体的かつ明確にするのがペルソナです。

ペルソナ
parsonの派生語で、ラテン語で「人格、仮面、登場人物」のこと
転じて、「理想の顧客像」となった
「ターゲット」よりももっと深く詳細な人物設定

以上、ここまでがプチまとめです。

3CをSTPやUSP、ペルソナなど(他にも一般的には、SWOT分析やPEST分析などがあります)を使ってしっかり分析することで、住民のニーズにマッチした、その自治体だからこそ実現可能な4Pや4Cを生むことができる、ということです。

ふるさと納税で考えてみる

これから年末にかけて話題になる「ふるさと納税」を例に挙げるとすれば、住民や職員も含め多くの自治体がまずは「返礼品」、しかも「高価な、あるいはお得な」ものは何か?とか、どのサイト(ふるさとチョイスやさとふる、楽天ふるさと納税など)から申し込むか?とか、金額はいくらにするか?などを考えてしまいがちですが、それは4P・4Cを先に考えているのと同じではないでしょうか?
マーケティングを適用するのであれば、自治体はまず3C分析をする必要があります。

顧客(利用者=寄付者)はどんな人なのか?

2008年の制度スタートから、一番利用者が多かった昨年(2017年)でさえ295万人であり、これは納税義務者数の5%程度です。
ふるさとチョイスを運営する(株)トラストバンクの調査によれば、利用者の90%以上がまた利用したいというリピーター傾向にあるそうです。
つまり、今後も利用者が減る可能性は低く、まだ利用していない95%の人が利用者になる可能性は十分あるということです。
そうであれば、既に利用したことのある5%の人がどんな人なのかを分析することで、利用者の人物像を深掘りしていくことは大きな意義がありそうです。

地元の魅力は何なのか?

都市部の自治体は特に、全国的に知名度の高い特産品や観光名所などが少ないことが多く、返礼品の開拓に頭を抱えることがあるかもしれません。
しかし、何もないと決めつけてしまう前に、もう一度地元の棚卸しをしてみると、地元では普通だったけど、実は地域外の人にとっては魅力的な資源があるかもしれません。

他自治体の状況把握も忘れずに

全国1724区市町村のうち、1400以上がふるさとチョイスを利用していることからも、もはやレッドオーシャンであることは間違いないでしょうが、その分事例はたくさんあるので、思いついたアイデアが他の自治体ではどうだったのか?を事前に調査しておくことも忘れずに行いたいところです。

深掘りすれば、これも面白いテーマになりそうですが、とりあえずここでは、3C分析をしっかりしないと地元ならではの強みを持った4P・4Cは生まれないよ、という説明に留めます。
次回は、3Cから4P・4Cへと展開して生まれた施策・事業を、どうやって住民に伝えるか?を考えてみたいと思います。

つづく

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