【サスペンス小説】その男はサイコパス 第16話
四ツ井法律事務所がある広い道と、駅のある大通りは平行に離れて並んでいる。その間に、平行に通る歩道がもう一本ある。大通りより道幅は狭い。車は一方通行でしか入れないくらいだ。
ビジネス関係のビルの他に、いくつか飲食店が並ぶ。土曜の昼、人通りはそこそこ多い。知也はふと思いついて近くのラーメン屋に入る。カウンター席しかない狭い店内は満席だ。
「今は入り口でお待ちいただきますよ」
カウンターの中から中年女性が言った。隣に若い男と壮年の男がいる。家族でやっているのかと思った。