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少女とクマとの哲学的対話

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2018年9月の記事一覧

少女とクマとの哲学的対話「『人間以下ツイート規制』の是非」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
ツイッター民……ツイッターを常時利用する人。

ツイッター民「ツイッター社が、他人を人間以下扱いするツイートを取り締まると発表した。これじゃ言いたいことも言えやしない。そもそも、人間『以下』っていうのは何だ。これじゃ、人間も含んでるじゃないか。人間を、人間を超えたものとして、扱わなけりゃ

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少女とクマとの哲学的対話「現実とは生活することではない」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
現実主義者……理想を追うことなく現実に即した考え方をする人。

現実主義者「世の中、夢見がちな人が多すぎるよね。夢を見るのもいいけれど、現実に即して物を考えなくっちゃどうしようもないじゃないの。夢見がちな考えの中でも最も手に負えないのが哲学だ。昨今、哲学がブームらしいけど、あんなもん勉強

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少女とクマとの哲学的対話「個人を捨てた先の自由」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
個人主義者……個人の価値を重視する立場を取る人。

個人主義者「現在、既存の価値体系が崩壊の一途をたどり、世の中はますます混迷の度合いを深めています。このような時こそ、自ら考え自ら主張し、その言動の責任をしっかりと負うという、個人主義が求められているのです。きみも、高校生の今のうちから、

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少女とクマとの哲学的対話「青春時代と後悔について」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
中年男性……不惑を越えた男性。

中年男性「ああ、いったいわたしの人生というのは何なのだろうか。夢も希望もありはしない。ただ家と会社を往復して、家族を食わせるだけの人生なんて。こんなことなら、若い頃にもっとやりたいことをやっておけばよかった。過ぎ去りし青春時代よ。『時よ止まれ、お前は美し

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少女とクマとの哲学的対話「『時間=命』と仕事」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。
春日東風……noteを利用している物書き。

春日東風「以前に、【『時間=命』と作品の有料化】、というタイトルで、お話ししたことを覚えていますか?」
アイチ「そんな話したっけ?」
春日東風「…………」
クマ「ボクは覚えているよ」
春日東風「その話と関連があるのですが、今日は、『時間=命』

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少女とクマとの哲学的対話「語らずに想う、語らずに考える」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。

クマ「何読んでるの?」
アイチ「『蜻蛉日記《かげろうにっき》』だよ」
クマ「蜻蛉日記か。藤原道綱の母という平安時代の才女が、夫である藤原兼家との結婚生活を書いたものだね。面白い?」
アイチ「面白いよ。兼家さんが浮気ばっかりして、それを作者が嘆いているんだけど、平安時代の貴族だから、その

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少女とクマとの哲学的対話「別れるときは、笑って別れましょう」

〈登場人物〉
アイチ……高校2年生の女の子。
クマ……アイチが子どもの頃からそばにいる人語を解するヌイグルミ。

アイチ「ふうっ……」
クマ「どうしたの? ずいぶん気分が沈んでいるみたいだね?」
アイチ「友だちがお祖父ちゃんを亡くしたんだけど、それで、悲しんでいるのね。その子にかける言葉がなくてさ」
クマ「前に話に出た子のことだね?(→「いつまで生きるつもりですか?」)」
アイチ「うん、そのおじい

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