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形而上エッセイ「分かる人にしか分からない話」

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2021年3月の記事一覧

なぜ書くか

毎日毎日愚にもつかないことを書いているけれど、お前はなぜ書くのかと問われれば、定まったしっかりとした答えを返すことはできないかもしれない。公式の答えはある。わたしの言葉を欲する一人のためにというのがそれだが、どうもそれは正確ではないような気がする。では、正確にはどういうことか。正確には、書く以外にすることが無いからである。登山家になぜ登るのかと問えば、「そこに山があるからだ」というのは実はかっこつ

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交わりはただ始まってただ終わる

別れについて以前書いた(気がする)。もう一度同じようなことを書く(ことになるかもしれない)けれど、いったん交わりを結んでも、もしもなんか違うなと思ったら、交わりを断って構わない。そうして、新しい交わりを探しに行く。それは不実なナンパヤローの振る舞いのような気がするかもしれないが、そうではなく、ただ、その交わりが短命だっただけのことである。「あの人を見誤っていた、あんな人と付き合わなければよかった!

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日に三回じゃ足りない反省

曾子《そうし》という昔の偉い人の言葉に、「われ日にわが身を三省す」というものがある。自分がつまらないことをしてないかどうか、一日に自身を三回省みるというのである。こういう日めくりのカレンダーに書かれているような眠たげな言葉には、実は、人の目を開かせる力があって、先日、つくづくとこの格言について思い知ることがあった。

詳細は省くが、わたしはここでちょくちょく勢いのあることをぶち上げているにも関わら

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わたしが矛盾していたら、それは世界のせいだ

同じようなことばかり書いているような気がする……という枕詞を以前に使ったことがあったようななかったような、多分あったような気がするが、そのときは、なにやら同じようなことばかり書くことに関して言い訳したかもしれないが、面倒なので、もう言い訳はやめる。同じようなことばかり書いているのは、同じようなことしか考えないのと、あとは、前に書いたことをはっきりと覚えていないからである。

同じようなことならまだ

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美人の条件 ~日常に美を求めること~

只見線という鉄道路線が人気である。只見線は、福島県会津若松市の会津若松駅から新潟県魚沼市の小出駅までをつないでいるものである。絶景の秘境路線ということで海外にまで知られるようになっているらしい。せっかく福島に住んでいるので、そのうち乗ってみようかと思っているのだけれど、なかなか機会を得ないでいる。

ただ、いざ乗るとなれば、できるだけ人がいないときに乗りたいものである。人気路線だから、人がいないと

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生き方は決して間違えることができない

自分の生き方が間違っているんじゃないかと、たいていの人が考えたことがあるのではないか。ああもできた、こうもすべきだったと過去を後悔し、このままでいいのかいけないのかと未来を悩む。ハウツー本を読んでも何となく納得できず、宗教に従おうとしても信仰心が起こらない。

なに、そんなに悩むことは無い。間違いというのは、基準ありきの話だ。何か一つの基準があって、それに適合すれば正解、不適合だったら間違いになる

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