ファンと甦り|荒木優太さんが選ぶ「絶版本」
生きている作家に興味がない。存命中の小説家が書いたものを決して読まないわけではない。だから厳密にいいなおせば、ある小説を読むとき、その作家が生きていようが死んでいようがまるで関係ないかのようにしか読む方法を知らないのだと思う。作家なるものが目の前に現れても、それは文の羅列とは似ても似つかぬ、そこらへんにいるただの人間にすぎないし、彼が実際の著作者だろうが、はたまた盗作によって世を欺いた偽作者だったことが判明しようが、目の前にある文の組成が変わったりするわけではないのだから、