大泉洋×宮藤官九郎、山田太一『終りに見た街』3度目のテレビドラマ化!
山田太一ドラマを、大泉洋主演で、宮藤官九郎がリメイク!
素晴らしいニュースが飛び込んできた!
山田太一の『終りに見た街』を、宮藤官九郎がテレビドラマ化するというのだ!
主演は大泉洋!
これは嬉しいし、期待大!
リメイクすることに意味がある作品!
山田太一の『終りに見た街』は、
まず1981年に小説として書かれ、
その翌年、山田太一自身によってテレビドラマ化され、
さらに23年後の2005年に山田太一自身によってテレビドラマとしてリメイクされた。
山田太一は基本的にリメイクはしない。
リメイクしたテレビドラマは『終りに見た街』のみだ。
なぜこの作品だけ?
それには理由がある。
戦争を昔話にしないために
戦争の話はどうしたって昔話になる。もう戦後79年だ。
そして、どうしたって他人事になる。戦後生まれの人たちにとっては、自分たちは体験していないのだから。
山田太一はこの「昔話になってしまう」「他人事でしかない」ということを、なんとかしたいと思った。
そうして考え出したのが、〝現代人が戦時中にタイムスリップする〟という物語だ。
今でこそ、この設定はありふれている。
しかし、山田太一が『終りに見た街』を書いた1981年の時点は、とても斬新なものだった。テレビドラマ化するときにも、
という困難があったほどだ。
なぜ山田太一は例外的にリメイクしたのか?
リメイクをしない山田太一が、なぜこの『終りに見た街』だけはリメイクしたのか?
その答えはもうあきらかだろう。
このドラマは〝現代人が戦時中にタイムスリップする〟ということが肝心だからだ。
だから、もし山田太一がまだ存命であれば、三度目の自身によるリメイクもありえたのではないかと思う。
山田太一×宮藤官九郎
山田太一自身によるリメイクという願いはもうかなわないわけだが、ここで宮藤官九郎が登場してくれた!
そして『終りに見た街』をリメイクしてくれた!
なんと嬉しいことだろう!
この作品をリメイクするというところで、いかに宮藤官九郎が山田太一ドラマを深く理解しているかがよくわかる。
山田太一も、宮藤官九郎のことを「他の人がやらないことをしている」と評価していた(山田太一にとって「他の人がやらないことをしている」というのは、とても重要な評価基準だ)。
どんなドラマになるか、期待せずにはいられない!
きっと〝今〟の『終りに見た街』になっていることだろう。
この本で読める!
大泉洋×宮藤官九郎の『終りに見た街』の放送は9月とのことなので、それまでにぜひ、山田太一の『終りに見た街』を読んでみていただきたい。
今読んでも、きっとびっくりされると思う。
小説は小学館文庫で読むことができる。
電子書籍もある。
最初のテレビドラマ化のシナリオは、この本で読むことができる。
残念ながら紙の本は現在、古書のみだが、電子書籍がもうじき配信される予定だ。
そして、2005年のリメイク版のシナリオは、もうじき刊行される、この本で読むことができる!
この本は私が編者だ。
8月の終戦記念日の前に、『山田太一戦争シナリオ集』を出したいと思い、欠かせない作品として『終りに見た街』の2005年版も収録した。まだ活字化されたことがなかったからだ。今回が初となる。
このリメイク版は、中井貴一主演で、柳沢慎吾や佐々木すみ江など、『ふぞろいの林檎たち』のメンバーも出演している。
柳沢慎吾は当時のことをこう語っている。
なお、映像は、残念ながら1982年版も2005年版もソフト化されておらず、配信もない。少なくとも2005年版は映像が残っているはずなので、この機会に再放送、配信されるといいのだが。
ぜひ山田太一版も!
山田太一版を読んでおいたほうが、宮藤官九郎がどうリメイクしたのかも楽しめると思う。
私も9月の放送が待ち遠しくて、わくわくする!
追記
NHK「ラジオ深夜便」の『絶望名言』のコーナーで、
8月25日(日)の深夜28時(月曜朝4時)に、
「山田太一」の名言をご紹介させていただきます!
よろしかったら、お聴きください。
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