頭木弘樹

文学紹介者。『絶望名人カフカの人生論』新潮文庫『絶望名人カフカ×希望名人ゲーテ』草思社…

頭木弘樹

文学紹介者。『絶望名人カフカの人生論』新潮文庫『絶望名人カフカ×希望名人ゲーテ』草思社文庫『絶望読書』河出文庫『食べることと出すこと』医学書院『うんこ文学』ちくま文庫『自分疲れ』創元社。NHKラジオ深夜便「絶望名言」出演中。https://linktr.ee/kashiragi

マガジン

  • ありがたい記事

    私の本について書いてくださっている記事を、ありがたく集めてみました。

  • 人生は「何をしなかったか」が大切

    また新しくエッセイの連載を始めてみたいと思います。 毎月、15日と30日の夜にアップする予定です。 アップできないときもあるかもしれませんが……。 どうぞよろしくお願いいたします!

  • WEBみすず「咬んだり刺したりするカフカの変身」連動企画

    WEBみすず(https://magazine.msz.co.jp/)で「咬んだり刺したりするカフカの『変身』」という連載をさせていただいています。カフカの『変身』を新訳しながら、超スローリーディングしています。それに連動した記事をこちらで投稿します。よかったら、ご覧ください。

  • 私の本たち

    私の本たちのご紹介です。   もしよかったら、見てやってください。

  • 何を見ても何かを思いだす

    ここで週1(金曜夜更新)でエッセイを書いていこうと思っています。 「何を見ても何かを思いだす」というのは、ヘミングウェイの短編のタイトルで、高見浩さんの訳です。このタイトルを見たとき、「ああ、自分が文学を好きな理由はこれだな」と思いました(中身を読んだら、ぜんぜんちがう話でした。なので、好きなのはタイトルだけです)。 自分が感じた「何を見ても何かを思い出す」を、ここで書いていけたらと思っています。

最近の記事

  • 固定された記事

最近の仕事

●新刊 ◉2月14日 『口の立つやつが勝つってことでいいのか』青土社  ついに発売になりました!!!  私の初めてのエッセイ集です!  エッセイ集を出すのがひとつの夢でした。感無量です(T.T)  これが売れてくれないと、最後のエッセイ集になってしまうので、どうかよろしくお願いいたします<(_ _)> 「本チャンネル」で取り上げていただきました! 内沼晋太郎さんとお話させていただいたのですが、高くご評価いただき、感激しました! ・YouTube ・Podcast

    • ダメージ人生の味わい

      人生の〝味わい〟  革製品は使いこむとだんだん飴色になって、風格が出てくる。  履きこんで傷だらけのブーツなどは、なんとも貫禄があり、ピカピカの新品では横に並ぶのが恥ずかしいほどだ。  陶磁器が割れてしまったときには、金継ぎという技法(漆で接着し、金粉で仕上げる)で修復することができ、割れる前よりかえって価値が上がることもある。  ジーンズにいたっては、わざとダメージ加工したりする。  私たちは「汚れ」「傷」「しわ」「しみ」「古さ」「割れ」「ダメージ」などの積み重

      • NHKラジオ深夜便『絶望名言』4夜連続放送の聴き逃し配信です!

        NHK「ラジオ深夜便」 『絶望名言』の 4夜連続放送が終わりました。 お聴きくださったみなさま、ありがとうございました<(_ _)> これから数日間、 聴き逃し配信でお聴きいただけます! ●「中原中也の絶望名言」 https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.html?p=0324_01_3959299 (4月9日(火)午前2:00配信終了) ●「ショパンの絶望名言」 https://www.nhk.or.jp/radio/pl

        • 「カフカの『変身』を新訳しながら、すごくゆっくり読む」第20回

          WEBみすずでの連載の4回目です。 連載全体としては20回目です。 カフカの『変身』を ・新訳しながら ・超スローリーディングする という内容です。 どうぞよろしくお願いいたします! 今回から第3部がスタートです! なお、これまでの連載分は、こちらをご覧ください。 また、今回新訳した範囲で、翻訳の解釈が分かれている箇所については、次の記事をご覧ください。 今回、カフカの『変身』を新訳した箇所の 「ドイツ語原文」「英訳」「邦訳」です。 新訳はWEBみすずの連載のほうを

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        最近の仕事

        マガジン

        • ありがたい記事
          45本
        • 人生は「何をしなかったか」が大切
          1本
        • WEBみすず「咬んだり刺したりするカフカの変身」連動企画
          17本
        • 私の本たち
          6本
        • 何を見ても何かを思いだす
          33本
        • 新刊『自分疲れ ココロとカラダのあいだ』の記事
          6本

        記事

          山田太一全作品インタビューを、スタジオジブリの小冊子『熱風』で連載します!

          6年間222回の全作品インタビュー  2017年6月28日から2023年9月20日まで、途中にコロナ禍による数カ月の中断をはさんで、約6年間、毎週1回ずつ、山田太一先生に全作品インタビューを行った。  お休みの週もあったので、取材回数は全部で222回となった。  テレビドラマはもちろん、小説、演劇、映画、エッセイ、アンソロジー、対談など、山田太一先生が書かれたものすべてについて、時代順に取材した。最後の作品となった『五年目のひとり』まで取材することができた。 スタジ

          山田太一全作品インタビューを、スタジオジブリの小冊子『熱風』で連載します!

          24時間、無料で全文お読みいただけます!

          24時間(3月17日 20:12まで)、 無料で全文お読みいただけます! 今朝の朝日新聞に、 『口の立つやつが勝つってことでいいのか』(青土社) の書評が載りました! 評者は長沢美津子(本社編集委員)さん。 とても素晴らしい内容ですので、 記事をプレゼントさせていただきます。

          24時間、無料で全文お読みいただけます!

          安部公房、映画に行く ──ルイス・ブニュエルの「忘れられた人々」

          (1)安部公房が生涯のベスト1と宣言している映画『カフカ、映画に行く』という本があります(H・ツィシュラー著・瀬川裕司訳・みすず書房刊)。  映画好きだったカフカが、どんな映画を見て、それがどういう内容だったか、丹念に調べた本です。 「カフカがどんな映画を見ていたって、そんなことはどうでもいいのでは?」と思われるかもしれませんが(私は思ってしまいましたが)、これがなかなか面白い本です。 「カフカの書くという行為に対して、いかなる程度であれ影響を与えたのはどのような映

          安部公房、映画に行く ──ルイス・ブニュエルの「忘れられた人々」

          「カフカの『変身』を新訳しながら、すごくゆっくり読む」第19回

          WEBみすずでの連載の3回目です。 連載全体としては19回目です。 カフカの『変身』を ・新訳しながら ・超スローリーディングする という内容です。 どうぞよろしくお願いいたします! 今回はいよいよ第2部の終わりまでです! なお、これまでの連載分は、こちらをご覧ください。 また、今回新訳した範囲で、翻訳の解釈が分かれている箇所については、次の記事をご覧ください。 今回、カフカの『変身』を新訳した箇所の 「ドイツ語原文」「英訳」「邦訳」です。 新訳はWEBみすずの連載

          「カフカの『変身』を新訳しながら、すごくゆっくり読む」第19回

          notoで連載したエッセイが本になります!

           notoで連載したエッセイが、本になります!  お読みくださった皆様のおかげです。  誠にありがとうございます! 『口の立つやつが勝つってことでいいのか』というタイトルで、  出版社は、青土社さんです。  notoで連載したエッセイの他に、  日経新聞のプロムナード欄で半年間連載させていただいたもの、  雑誌に単発で書かせていただいたもの、  そして、書き下ろしも入っています。  いずれも、加筆しました。  よろしかったら、ご予約をお願いいたします。  目次がこちら

          notoで連載したエッセイが本になります!

          年末年始に無料で、お読み、お聴きいただけるもの

          ●NHKラジオ深夜便「絶望名言」聴き逃し  川柳の絶望名言です。1月1日(月) 午前5:00までお聴きいただけます。 ●「読むらじる」 「絶望名言」のバックナンバーをお読みいただけます。  紫式部、遠藤周作、山頭火、坂本龍馬、お金、ボブ・ディラン、チャップリン、石川啄木、チャイコフスキーと、いろいろあります!  番組は本にもなっています。 https://amzn.to/47ieaSE ●連載『六人部屋の十三年間』  最新回がアップされました! 「第10回 思い出の

          年末年始に無料で、お読み、お聴きいただけるもの

          2023年の本

          ●2月 『うんこ文学』(ちくま文庫) アンソロジーです。 ●4月 『自分疲れ ──ココロとカラダのあいだ』(創元社 シリーズ あいだで考える) ●4月 『NHKラジオ深夜便 絶望名言』文庫版(飛鳥新社) ●8月 『訳者による海外文学ブックガイド2 BOOKMARK』(CCCメディアハウス)  31名のうちのひとりとして参加。 ●9月 『遠藤周作生誕100年記念文集 遠藤周作とのめぐりあい』(遠藤周作文学館)  多くの方々のひとりとして参加。 ●10月 『ふぞろいの林

          2023年の本

          「WEBみすず」での連載 「咬んだり刺したりするカフカの『変身』」 第18回

          これまで月刊『みすず』で連載させていただいていた、 「咬んだり刺したりするカフカの『変身』」が、 前回からは WEBみすず で連載されることになりました。 これまで通り、隔月連載です。 今回はWEB掲載の2回目です。 連載としては18回目ですが、 ここからでもお読みいただけるように書きました。 今回から読みはじめてくださる方もおられるといいなあと願っています。 カフカの『変身』を ・新訳しながら ・超スローリーディングする という内容です。 どうぞよろしくお願いいたします

          「WEBみすず」での連載 「咬んだり刺したりするカフカの『変身』」 第18回

          新しく「WEBみすず」で連載がスタートしました! 「咬んだり刺したりするカフカの『変身』」

          これまで月刊『みすず』で連載させていただいていた、 「咬んだり刺したりするカフカの『変身』」が、 今月からは WEBみすず で連載されることになりました。 これまで通り、隔月連載です。 今回はWEB掲載の初回です。 連載としては17回目ですが、 ここからでもお読みいただけるように書きました。 今回から読みはじめてくださる方もおられるといいなあと願っています。 カフカの『変身』を ・新訳しながら ・超スローリーディングする という内容です。 どうぞよろしくお願いいたします!

          新しく「WEBみすず」で連載がスタートしました! 「咬んだり刺したりするカフカの『変身』」

          「ベタをネタに」

          ティッシュがなくなっただけなのに…… まだ少し残っていると思っていたティッシュをとると、1枚だけでなく、もう1枚つられて出てきて、それが最後で、ティッシュボックスが空になってしまった。思いがけない、唐突な終わり方だ。  ああ、人生もこんなふうに終わってしまうのかなと、つい思ってしまう。まだもう少し残っていると思ったら、ふいに終わったりしてしまうのかなと。それはさびしいなと、胸がせつなくなる。  ティッシュボックスが空になっただけなのに、人生について考えて、胸に手をあててい

          「ベタをネタに」

          死んだ人からの意見

          その瞬間、本望ではないことに気づいた 海で死ぬなら、本望だと思っていた。  本気でそう思っていた。  とその人は言った。  ところが、海でサーフィンをしていて、転倒し、サーフボードが自分の顔に向かってきたとき、死にたくないと思った。顔をかばった手が大きく切れて、ずいぶん血が出たが、命に別状はなかった。死ななくてよかったと、心底思った。  あのとき──ボードが自分の顔に向かってきたとき、海で死ぬのは本望ではないと気がついた。  とその人は言った。  サーフィンをするために

          死んだ人からの意見

          とろ火の不幸

           強火で一気にみたいな不幸にはみんな同情してくれる。  しかし、とろ火でじっくりみたいな不幸には、人は冷たい。  たとえば、山で遭難して、何日も飲み食いしてなくて、よろよろしている人になら、誰でも飲み水や食べものを差し出すし、介抱してくれる。  しかし、自分の家で、もう何年もかつかつの食事しかできなくて、じわじわ弱っている人に対しては、苦しそうだとはわかっていても、まあ、何年もやってきているんだから、大丈夫だろうと思ってしまう。で、大丈夫ではなくて亡くなったりすると、びっく

          とろ火の不幸