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キャリア女子目線で「シン・サラリーマン」を読んでみた~令和的・出世と起業の考え方ついて~

人気YouTuber サラタメさんの著書。
「サラリーマンのタメになる」をテーマに、本をただ要約するだけでなく、サラリーマンとして実践に落とし込む方法も伝えてくれる動画が好きで、初期の配信からファンだ。「YouTube大学」の中田あっちゃんも、コンペティターとしてサラタメさんの名前を出した事がある。
そんなサラタメさんがR25に転職し、さらに本も出すという、最近の活躍ぶりには目を見張るものがある。

ご自身の著書を要約して解説し、そして普段は20分前後のところ、こちらは30分もあるという熱量。

これからのサラリーマンに必要なこと

さすが300冊以上本を読みアウトプットしているサラタメさんは、様々な悩みを歴史的著書の知見を持って解決してくれている。
「大抵の悩みは過去の先人たちが解決法を見出してくれている」という事で、マズロー欲求・人間関係のマトリックス・エッセンシャル思考・イシューなど、定番のビジネス本からの知識について、サラリーマンとしての活用方法をおさらいしている。業務を効率化したり、ホワイト企業に転職をして、収入と労働時間を安定させ、その上で副業として自分の事業をしていく事を推奨。時にはその稼ぎを狙った詐欺やトラップから身を守る必要があると、そのノウハウも紹介してくれている。

「イシューという言葉を使うと意識高い系に思われるから、テーマ、くらいにしておきましょう」というフレーズには笑った。

絶望から見出した活路

このサラタメさんの、サラリーマンをしながら個人の事業を育てていくという考え方については私も大いに賛同である。

かく言う私も6〜7年前までは、完全に出世至上主義だった。女性が自立して生きていくためには、出世がゴールだと思っていた。今は辛いけど、出世したら時間にもお金にも余裕ができるものだと思っていたため、全プライベートを犠牲にして自分の時間を100%会社にコミットする事が当然だと思っていた。
毎日終電orタクシー帰り、土日も仕事優先の生活になるため、友達付き合いも最低限。どんなに深夜にメールしても即レスが返ってくる営業マンと言われ、女性最年少で課長になり、前職でのあだ名は「鉄の女」だった。

しかし、その働き方は20代はなんとかなったが、30代になると体調を崩すことも多くなり、それを挽回するようにもっと無理して働き、遂には熱が一週間ほど下がらないという事態になった。薬も効かなくなってきたので病院を変えたら、いきなりレントゲンを撮られ、「このまま即入院をして下さい」と言われた。「仕事があるから入院できない」と言ったら、「このままだと死にます」と言われ、着の身着のまま大病院にタクシーで向かった。肺炎だった。咳は出ていなかった。最初はただの風邪だったのかもしれないが、無理して仕事を続けていたら悪化してしまったのだ。病院では車椅子を使わないといけないほど弱ってしまい、結局2週間も入院することになったのだ。

大人になってから初めての入院経験。年齢とともに、体は確実に衰えていた。

晴れて退院日に、担当医に言われたことは、「肺は一旦は治ったが、生活習慣を変えないと胃や十二指腸など、別の場所に炎症が起こり再入院する人が多い。食べるものと働き方を変えること」とのことだった。
とはいえ、出世には責任が伴う。営業しかできない自分が残業が無い形態にするには「平社員に戻る」「時短勤務」「時給派遣」しか思いつかない。そしてそうなると給料も大幅に減ってしまう。自立したいのにできなくなるのでは・・と、毎日絶望に打ちひしがれていた。

そんな時に必死に情報を集め、気づいたことがある。

  • 会社はもし自分が働けなくなった状況になっても人生を保証をしてくれないということ

  • どんなに働きたくても、体調不良などの要因でキャリアは簡単に失う事があるということ

  • 出世をしても仕事は楽にならず、むしろ責任が増えるので、タスクは倍増していくということ

このようなことは、令和になった今では多くの人が知っていることだろうが、私はこの入院をきっかけに身をもって知ることになる。2016年というのは、西野亮廣さんがオンラインサロンを開設し、翌年に中田あっちゃんはアパレルブランドを立ち上げる。ビジネス芸能人たちも自分で稼ぐ必要性を感じ始めた時期でもあるのだ。
入院後、私は関わる人を変え、情報を得る先を変え、マインドを変えていった。

ひと昔前は、起業をするなら会社を辞めて背水の陣で頑張る、というイメージだったが、今の時代は大手企業を中心に副業が解禁され、会社員を続けながらスモールビジネスで事業を始めることができる。今や私の周りでは副業をしていない人を探すほうが難しい。
また、サラタメさんも言っているが、税金の面からも、売り上げが少なくても事業をするメリットは大きい。これは会社員しかしていなかったら全く知らなかった事実だ。

人生100年時代

人生100年時代、会社員で定年まで働いたとしても約30年、定年後に100歳まで生きた場合も約30年。働ける30年と働けない30年がある中で、出世したとしてもゴールではなく、また残りの30年はリセットされた状態でスタートしなくてはならない。そうなると、出世のために人生をささげるよりも、自分の事業に尽力した方が、長期的に考えると合理的だ。

また、サラタメさん曰く、心からやりたい仕事は会社の枠組みで実現することは困難(会社は企業のミッションが優先)。これは本当にその通りで、若い頃は「自分が会社を変えていくのだ!」と意気込んでいたが、結局は会社はオーナーのもの。自分が会社に口を出すには投資家になるしかない。基本的に会社員は、会社の事業方針に沿って売り上げを上げるためにはどうしたらいいかを考えて適切に貢献する、という仕事なのだ。

女性としてのキャリアプラン

この副業解禁となった時代の傾向は、特に自立したい女性にとっては追い風だ。
そもそも会社というのは、もともとの仕組みは男性に最適化されている。子供を産んで育児をしながら復帰するという制度は後付けで作られたものだ。
その中で、過去の私は男性に負けじと同じ土俵で無理をしてきたが、やはり現状は、女性の方がより出産・子育てや介護の問題、体力的な問に直面し、キャリアを中断もしくはペースダウンせざるを得ない事態になる確率が高い。
しかし、女性には女性にしかできないこともあり、女性だからこそ活躍できることもある。
ホワイト起業で働きながら得意なことで少しずつ社会貢献ができることを探していくことは、出世を目指して男性と対等に頑張るよりも、女性にとっては効率的で幸福度が高いと思う。

最後に

この本で一番好きなフレーズが、「副業をすると、会社の仕事が好きになる」だ。会社に依存しなくて良くなるから、むしろ主体的に動くようになる。
「鉄の女」と言われてた時の自分は、自分が我慢して仕事をしているので、周囲にも同じようにストイックに働くことを求め、文句ばかりを言っていた気がする。
文句=過剰に求めている=依存だったのだなと思う。
今はフラットに物事を見れるようになったからか、プロジェクトがうまくいく事と、一緒に働く人の人生がよくなることのバランスを取って考えられるようになったし、大抵のことで怒ることは無くなった。

今、数年前の自分のように、会社で頑張っているのに満たされない方は、ぜひ一度この本を取って読んでみてほしい。

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