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スタートアップファイナンス

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スタートアップのファイナンスやIPOに関するnoteをまとめています。
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#ビジネス

PeopleX、シードラウンド16.1億円の資金調達の裏側

この度、PeopleX社はシードラウンドにて16.1億円の資金調達を完了致しました。 創業間もなく、当然ながら売上0円段階である当社に対し、これから創る未来を信頼して頂いた事に心からの感謝と、重責を社会価値に転換していきたいと思います。 資金調達の裏側創業以前から、前職時代にお世話になったベンチャーキャピタル様にご挨拶も兼ねて、御食事の機会やお話の機会を頂きました。 自分自身、事業経験は長くとも、自ら起業してのファイナンス経験はないため、先輩方に素直に現状をお伝えし、ま

スタートアップがPEファンドを担いだファイナンスを実行した話

HRBrainでCFOをしている井出です。 先日プレスリリースでもご案内しましたが、欧州系のPEファンドであるEQTがHRBrainに資本参画することとなりました。日本の未上場スタートアップに外資系PEファンドが投資する事例は今までもありましたが、過半数まで取得するケースはかなりレア(もしかすると初めて?)であるという認識です。私たちは、今後5~10年スパンで成し遂げたいことから逆算して、従来の常識にとらわれない発想で考え尽くした結果、こういった座組となりました。 2021

【解説】10月スタート!新しいIPOプロセスが与えるスタートアップへのインパクト

来月(2023年10月)からIPOプロセスが新しくなることをご存じでしょうか。かなりテクニカルだし、正直あまり注目されていないと思いますので、知らない方も多いかもしれません。しかし、大きく日本のIPO、そして日本のスタートアップ・エコシステムをアップデートするキッカケになる可能性を秘めています。今日は、そんな「新しいIPOプロセス」について解説してみたいと思います。 事前に言っておくと、今回18,000文字を超える大作になっています。ただ、難しい話をできる限り簡単に書いたつ

臆病なIPO市場の夜明けはいつか?

2022年初から資本市場が急速に低迷し、ロシア・ウクライナ事情以降は急速なリスクオフモードに突入している。その後の利上げなど金融政策を含めた不透明感も相まって、日経平均だけ見ていると、株式市場は好調じゃないかと思いたくなるが、その実、最もリスクが高いとされるIPO市場、しかもテックセクターのIPO市場はいまだに臆病なままなのです。 2022年初に投稿した株式市場の調整、およびその後のスタートアップへの影響については、手前味噌ながらかなり適切なガイドラインだったかのように思う

ラクスル新社長の報酬から見る取締役報酬の現在地

本日2023年9月12日にCEO向けの大型報酬パッケージが公表された。といって、カルロスゴーンでも日産でも、孫さん・ニケシュやソフトバンクでも、イーロンマスクでもない。ポストIPOスタートアップの1社であるラクスル社である。全て条件が達成された時点での時価で10年総額"300億円”という金額だ。もちろんこれは今単年度報酬で支払われる額ではなく、あくまでも目標を達成した暁に初めて得られる報酬額の総額に過ぎません。 それでも、この金額はこれまでの日本株式会社の報酬水準からすると

クラダシ創業から丸9年。東京証券取引所グロース市場への上場に込める想い

株式会社クラダシ 代表取締役社長の関藤(せきとう)竜也です。 クラダシは、2023年6月30日に東京証券取引所グロース市場に上場しました! 2014年7月に創業し上場まで丸9年。2015年2月にサービスローンチして以来、今までピボットせず走り抜けることができたのも、クラダシに関わってくれた大勢の方に支えられたことに尽きます。本日、上場を迎えることができましたのも、皆さまのお陰であります。この場を借りて心より御礼申し上げます。 この度、当社ホームページに「成長可能性に関する説

【資金調達】初めてのエクイティファイナンスのためにしたこと

少し前に、当社初のエクイティファイナンスを実施しました。 お時間をいただいた投資家さん、そして投資家さんをご紹介いただいた方に御礼を申し上げます。 リリースを配信したPR TIMESでも旬速トレンド3位に掲載され、多くの方に認知いただくこともできました! 私自身、CVCとしての出資経験はあるのですが、出資いただく側としては初体験で体当たりなことも多く、「あぁしておけばなぁ」ということもありました。この経験が少しでも皆様の役に立てばと思い、 ・どういうスケジュール感で、

リセットのマインドシフト:テック業界の調達環境の現実 Daily Memo - 3/22/2023

今日のDaily Memoは今年から行われるアメリカのテック企業の調達問題について話したいと思います。こちらはOff Topic Clubメンバーシップ向けに最近試験的に投稿している「Daily Memo」ではありますが、長文だったため記事として書かせていただいてます。気になる方は是非Off Topic Clubに参加してみてください! はじめにThe Informationの記事によるとフィットネススタートアップのTonalが$200M〜$300Mの時価総額で調達すること

創業者のいなくなったスタートアップが、なぜ17.8億円を資金調達できたのか?

先日、うちの会社が総額17.8億円の資金調達を発表しました。 BLUEPRINTは、僕を含めた3人の創業メンバーで立ち上げた会社です。ですが、実は僕たちはすでに経営を退いていて、会社は新しい社長に任せています。 つまり、創業者が不在のスタートアップなのにも関わらず、大手のVCさんや事業会社さんが総額17.8億円ものお金を出してくれているんです。 ……これだけ聞くと「どういう状況?」となりますよね。笑 この記事では、その裏話となるBLUEPRINTのビジネスモデルや資金

ぼくらは日本の主観的ウェルビーイングを爆上げする

シリーズAの資金調達をしましたみなさんこんにちは。mento CEOの木村です。 2022年4月6日、わたしたち株式会社mento(旧社名:株式会社ウゴク)はシリーズAの資金調達を発表しました。2019年10月のシードラウンドでの資金調達から約2年半、まいた種に丁寧に水をやり芽吹いた事業はすくすくと成長し若木になりました。これからみなさんの力を借りて風雪にも耐える立派な大木へと育てていきます。 良い節目なのでmentoのこれまでとこれからについてすこしだけポエムを。 未

株式市場の調整がもたらすスタートアップへの影響

TAKA(@Murakami_Japan)です。米国の利上げによる長期金利動向を背景に、米国でハイテク株の株価調整が始まり、日本でも昨年11月以降新興企業の株価調整が一気に進みました。株式市場ですから、一定のボラティリティがあることは前提ですし、それ自体は長い目で見れば目新しいことではないでしょう。ただ、株式市場の動向がスタートアップへどのような影響をもたらすかはまた別問題です。単なるボラティリティに留まらない可能性があります。今日は2022年を占う意味でも、昨年末からの調整

ビジョナル、上場。1,400名の仲間と新しいスタートラインに立った上場日をレポート。

こんにちは、グループPR/コミュニケーション担当の北見です。 2021年4月22日、ビジョナル株式会社は東証マザーズ市場に上場いたしました。ビズリーチ創業から12年、これまで応援、サポートして下さった多くの方々のおかげで、この日を迎えることができました。改めて皆さまに感謝いたします。 4月22日の上場日は、まさに私たちが新しいスタートラインに立った日です。今回は、Visionalの仲間、そしてVisionalをいつも支えてくださっている社外の皆さまと共に迎えたこの1日につ

第10回 「SaaS KPIと開示について」

初めまして!プレイドfinanceチームの新井と申します! 上場直前にジョインし、主にAccountingとFinancial Planning & Analytics(FP&A)を中心に担当しております。 第10回は「SaaS KPIと開示について」というテーマでお送りさせて頂きます。ある種語り尽くされたテーマでもあり、スタートアップ新参者としては語るに恐縮な内容ではありますが、プレイドがSaaS企業として日頃大事に考えていることを日々数字と向き合うFP&A担当の立場から、

第9回 上場直後に何が起こる? IRについて / プレイドIPOの軌跡

はじめにこんにちは、2回目のnoteです。 株式会社プレイドFinanceチームの向江と申します。 前回はIPOプロセスにおける計画策定と予実について書かせていただきました。発信することで自分の思考も整理され、あらためてよい機会になったなと思っています。ありがとうございます。 さて、入社直後からIPO準備に明け暮れ、長きに渡るプロジェクトを終えて、向江が燃え尽き症候群になるのではないか、と少なからず心配してくれていた人たちがいたことも感じる中で、IPO直後からこんなにやる