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スタートアップファイナンス

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スタートアップのファイナンスやIPOに関するnoteをまとめています。
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2023年7月の記事一覧

【YCC修正】今さら聞けない、金利と株価の関係、スタートアップへの影響(初学者向け)

7/28(金)、日銀がYCC(イールドカーブ・コントロール)の修正を決めました。YCCは、簡単にいうと金融緩和の一環で日銀が国債を買って、国債の金利が一定以上に上昇しないように操作することです(これがなければ、国債の価格と金利は市場原理で自由に決まります)。YCCは2016年に導入された金融政策ですが、日本国債の金利はインフレ目標を達成するためにYCCによって長らく0%近辺に抑えられていたところ、今回日銀の許容する金利の上限が押し上げられことで、今後金利が徐々に上がっていくの

週末企業分析【番外編】GENDAのIPOに寄せて~ミダスキャピタルグループの投資戦略~

はじめに 2023年7月28日、株式会社GENDA(以下、GENDA社)が東京証券取引所グロース市場に新規上場しました。GENDA社は株式会社ミダスキャピタル(以下、ミダスキャピタル)が運営するファンドが筆頭株主の投資先です。 GENDA社には創業時よりミダスファンドがマジョリティ出資を行い、幅広な後方支援を行ってきました。同社は設立5年で売上高461億円、営業利益42億円、連結従業員数4,164名の規模まで成長し、公募時価総額601億円は東証グロース市場へのIPO銘柄とし

3億円の資金調達の際にサイバーエージェント藤田社長に送った恥ずかしすぎるメール

こんにちは。タイミーの小川です。 前回の記事では、サービスローンチしてからの大きな壁にぶつかり、乗り越えてきた話をしました。 そして今日は予告通り、タイミーが一気に成長するきっかけとなった3億円の資金調達(シリーズA)の裏側と、その時に非常に影響を受けた、2人の大先輩起業家について触れたいと思います。 祖父の影響で起業家を目指し始めましたが、これまでにお世話になった起業家の方を挙げたらキリがありません。それぐらい多くの方から刺激をいただいて、今日までやってこれました。

4年で売上10倍以上、赤字から黒字転換でIPO。CFOから見たIPOまでの道のりと今後の成長について

スタートアップの成長と変化、そしてそれが上場企業へと成長するまでの道のりは決して平坦なものではありませんでした。私がCFOとしてアイデミーにジョインした4年前、当社はまだ小さなチームで、売上高も1.3億円で大幅な赤字企業でした。しかし、絶えず挑戦と努力を重ねることで、上場できる企業にまで成長しました。 今回は、私がCFOとして経験した資金調達、財務戦略、上場準備、そしてそれらを通じて得た学びや経験を書きたいと思います。これからもアイデミーは「先端技術を、経済実装する。」という

ICCやB Dash Campで3連覇!クアンド下岡が語る「勝つ」ピッチの極意

昨年(2022年)はお陰様で多くのピッチイベントで優勝することができました。「スタートアップがピッチに出るなんて時間の無駄。それより本業に時間を割くべき」と思っていた私も、ピッチイベントに出場し、優勝させて頂く体験を通して「アーリーフェーズのスタートアップには大きな効果がある」と考えを改めるようになりました。 そこで今回はピッチイベントを通して気づいた『勝つピッチのコツ』についてまとめたいと思います。まずは7分のピッチ動画をご覧ください。 そもそも、ピッチに出る意味ってあ

シリーズA資金調達記念でぶちまけるウェディング業界の課題とリクシィの展望

ご無沙汰しています。 「式場選びのパーソナルサポート」という言葉をとにかく広めたいリクシィ安藤正樹です。 シリーズAの資金調達をリリースしました。 BRIDGEさんが取り上げてくださいました。 コロナ禍に実績を重ねた「トキハナ」も結婚式場によっては「ゼクシィ」に次ぐ集客チャネルとなり、より高い期待をいただけるようになっています。その中で、我々が描くウェディングの未来に共感くださり、応援いただける投資家に出会えたことは本当に嬉しいです。 コロナショックが2020年4月、

資金調達PRを本気でやったら採用候補者14倍になって景色が変わった話

スカイディスクは4年間の紆余曲折を経て、2023年5月にシリーズCエクステンションラウンドとしてエクイティ/デット合わせて8億円の資金調達を行いました。 それに合わせて本気で資金調達PRをやったところ、資金調達前と比べて採用の候補者数(カジュ面させていただく方の数)が14倍に増えました。ということで前後で何をやってきたか書こうと思います(分母が少ないだけなのは秘密)。 資金調達の概要 資金調達までの紆余曲折についてはコチラをご覧ください。 CEO内村さんのターンアラウン

上場準備・審査フェーズにおける事業計画の策定について

はじめにnote株式会社は2022年12月に上場しました。その際に上場を目指す企業として様々な準備を実施し、証券会社や証券取引所の方々の審査を受け、晴れて東証グロース市場の1銘柄として上場を果たすことができました。 その中でも、私がCFO室/経営企画担当として特に注力して取り組んだのが「事業計画」の策定・審査プロセスでした。 事業計画、と聞くとなかなか馴染みがない方もいらっしゃるかもしれません。一企業に勤めている方であれば多かれ少なかれ予算や事業計画に関与する機会はあるか

CADDi シリーズC資金調達にあたって ~これまでとこれから~

キャディ株式会社にて取締役/コーポレート本部長をしております芳賀と申します。キャディは2017年11月に創業した設立6年目の、製造業サプライチェーンの変革に挑んでいる企業です。 この度、2023年7月5日に、シリーズCラウンドにおいて、総額118億円のエクイティ資金調達を実施したことを発表いたしました。今後も、グローバルの製造業領域において事業を展開し、調達領域を皮切りに、製造業サプライチェーンの変革に挑み、製造業のデジタル化におけるデファクト・スタンダードの構築を目指して

ストックオプションの会計処理~公認会計士協会・ASBJの見解を受けて~

⑴ はじめにスタートアップで財務責任者をやっています中辻です。 Twitter及びthreadsにてIPO・ファイナンス・スタートアップ・マーケットなどの情報を積極的に発信していますので、Twitterアカウント及びthreadsアカウントをフォロー頂けますと幸いです。 本記事は専門的な内容を含んでいるため、なかなか理解しずらい部分が多いです。ストックオプションの会計処理に関して理解しずらい部分はあるものの、IPO準備会社にとって大きな影響を及ぼす可能性があることから見過ご

累計21億円の資金調達をしてまで、つくりたい新しい出版社のかたち【クリエイター兼経営者の野望】

「日本にはもっと出版社が増えるべき」 僕は本気でそう思っています。 「なぜ今出版社?」「斜陽産業なのでは?」と思っている方もいるかもしれません。 しかし編集者も、クリエイターも、ビジネスマンも、イケている人たちはみんな、出版社をやった方がいい。 僕はそう思います。 その理由について、Tencent(腾讯)グループとの資本業務提携以降のtaskeyの沿革と共に、このnoteに書いていきたいと思います。 1. Tencent(腾讯)グループからの資金調達から、マンガ・W

6/30東証グロース市場に上場しました。上場までの道のりを感謝とともに振り返る

2023年6月30日、株式会社クラダシは東京証券取引所グロース市場へ上場しました。2014年7月に関藤が創業したクラダシをここまで育てていただいたステークホルダーの皆様、本当に有難うございました! 取締役執行役員CFOの髙杉です。 #上場記念アドベントカレンダー の一環としてこの大きな節目に何を書こうかと。 考えるまでもなくゼロからスタートさせたIPOプロジェクトを振り返らなければ!ということで、向き合いつづけてきたIPOプロジェクトとその周辺をなるべく要点をしぼって書いて