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『HOMIE KEI チカーノになった日本人』映画感想。


あらすじ
両親とほぼ触れ合うことがなく、親戚にたらい回しにされ育てられてきたケイ。

家族への憧れからか、擬似家族を形作るヤクザ組織に入るが、バブル期から家族よりビジネスへの比重が傾いていき、次第に人間間の繋がりが希薄になっていく。

覚醒剤密売の罪によりアメリカの刑務所に投獄させられたことをきっかけにチカーノたちと出会い、お互いがお互いを身を投げ出してでも守り合う“家族“という関係性の尊さに魅せられる。
チカーノたちに家族として受け入れられたことにより、出所後の方向性が決まる。

自らの出自を振り返り、同じような辛い立場の子供達を守る場を作るためNPO法人グッドファミリーを設立する。



印象に残ったこととしてはまず、昔のヤンチャ話のレベルが想像の100歩先を行っていて度肝を抜いた。

出刃包丁で待ち構えていただの、食事中にボスが撃たれてテーブルに脳みそがぶちまけられただの。。

時代が違うから?

住んでる場所が違うから?

ブレイキングバッドとかナルコスのような日常が日本にあったことに驚きを感じた。


そして、ケイさんの人となりが魅力的。
これは映像越しからも見えてくる。
落ち着いて素敵な紳士風のケイさんだけど、
言葉や行動の端々に家族や母親という存在に対する切望が滲み出ていて、ものすごく強い人なはずなのに、何だか助けたくなる。

これが天性のモテ男というものか。

本当に漫画から抜き出てきたような人だなー


そして、1番衝撃を受けたのがケイさんの実母へのインタビュー。
正直映画の内容よりもインパクトが強かった。


牛嶋くんに出てきそうなキャラの濃い人で、
水森亜土のイラストの女の子のような白いキャスケット、オレンジ髪にパーマ、アップルグリーンで“lovely “と
ロゴが書かれたロンT姿。
時の流れを拒否し、必死に過去に縋ろうとする様子が佇まい、言動からダイレクトに伝わってくる。
負い目を隠すために息子へ慈悲を乞う様子と今にもひび割れて中身が飛び出してきそうな厚化粧の悲哀とが相まって、彼女に憐れみを感じる一方、自分とこの人を隔てるものは薄紙程度でしかないという現実も見えてきて背筋が寒くなる。

私も選択を誤ったら…というか秩序を完全に無視した生き方をしていたらああなっていたかもしれない。
ビビリで枠から出れないから、枠の外にさらっと出られる人が羨ましいと思うこともあるけれど、自分の中に揺らがない規律がある人間でなければ絶対身を持ち崩す。 

生放送でのニュースインタビューを見ている時、たまに放映側が見せるつもりのない社会の闇がヌソッと顔を表す時があるけれど、それに近い衝撃だった。
現代怪奇譚。

事実は小説より奇なり。


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