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火星ナツミ
2022年4月4日 17:12
顔すら思い出せないのに音だけが耳から離れない絞め殺された黄昏の断末魔によく似たあの人の名澄んだ茶色の瞳は空間を切り裂く線香花火に囲われた晩夏の太陽いつも火薬の匂いがしてた偽りの記憶が立ち上げる見ず知らずの男手の甲にあるのはアルタイルわし座のかたちそのものでそこに流れる天の川にleap of faithしたかったできなかった心残りだけが宙に舞い
2022年3月23日 18:23
小蝿を疎ましく思わなくなったのは咽び鳴く蝉の声で目覚めたあの日から泳ぎ揺蕩う小蝿の群れは今は亡きあの人のかたちをしてた腕に塗りたての日焼け止め絡まり込む小蝿が愛おしい私はあの人を取り込むハエ取り紙表皮だから表面であり表層だけれどそれでも嬉しかったいつの間にか小蝿はほそびに変わり私の本質の一部になってしまった
2022年3月19日 11:25
曖昧なニュースに町並みは遠ざかる走馬灯巡る再会の日は一瞬で不確かな足場は忽ち崩れ去り復活の合図は偽りだったことを知る目を瞑ると見えるあの景色雨の日は晴れの日より躊躇いなく土筆をつめるそんな凡庸さが孵化する前にやらなければならないことがある
2022年3月15日 15:02
“美幸ちゃん“だったか“美雪ちゃん“だったか字は忘れてしまった空の彼方から雲雀の透き通る鳴き声が聴こえる顔をあげると彼女がいたいつも誰かが隣にいていつもみんなに愛されていたこぼれ落ちる木洩れ陽のトンネルですら彼女を祝福しているように見えた美しい笑い声が印象的な女の子神を信じ神に踏み躙られそれ故により一層神を信じていた私たちは同じ寮に住んで