見出し画像

【詩】fly

小蝿を疎ましく思わなくなったのは

咽び鳴く蝉の声で目覚めたあの日から


泳ぎ揺蕩う小蝿の群れは

今は亡きあの人のかたちをしてた


腕に塗りたての日焼け止め

絡まり込む小蝿が愛おしい


私はあの人を取り込むハエ取り紙


表皮だから

表面であり

表層だけれど

それでも嬉しかった


いつの間にか小蝿はほそびに変わり

私の本質の一部になってしまった

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?