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中小企業省力化投資補助金についてわかりやすく解説します!

 中小企業の経営者の皆さんが、設備投資を行いたいと考える理由はさまざまです。効率を高めたり、作業を自動化して省力化を図ったりすることで、業務をスムーズに進めたいとお考えでしょう。そうした投資を支援するために今年度から新たに、中小企業省力化投資補助金が始まりました。この補助金は、特に人手不足やコスト削減を目指す企業にとって有効な補助金です。   
 今回はこの補助金について、ポイントや他の補助金との違いを交えながら分かりやすく解説します。


中小企業省力化投資補助金とは?概要とポイント

公募要領より抜粋

 上記は、「中小企業省力化投資補助金」公募要領の目的の抜粋です。
 要するに、『登録された設備・製品等への設備投資を補助することによって、人手不足に悩む中小企業等の付加価値額や生産性向上に繋げる』ことが目的となります。

1.登録された設備・製品等

 通称カタログ補助金とも言われており、あらかじめ業務省力化や生産性向上の効果が認められた設備・製品リスト(カタログ)の中から、導入する設備を選択することになります。
 これによるメリット、デメリットは以下のとおりです。
<メリット>
・カタログ内の設備等は効果も価格もクリアになっているため、相見積もりや書類提出の負担が軽減される
・申請~交付決定の期間が1~2カ月と他の補助金と比べると短い
<デメリット>
・カタログにない設備等は補助対象外
・カテゴリーごとに対応する業種が決められていて、対象外のカテゴリー製品は申請不可。

カタログは以下のリンクからご確認ください。
product_catalog.pdf (smrj.go.jp)

2.人手不足の解消

 補助対象事業者の要件として「人手不足の状態であることが確認できること」とあります。「人手は十分だけど、設備だけ新しく導入したいな~」という場合は申請ができません。(申請時に確認する書類等の提出が必要)確認方法としては、以下の4つが挙げられています。
①直近の従業員の平均残業時間が30時間超
②整理解雇に依らない離職退職で従業員数が前年度比5%以上減少
③採用活動をするものの、採用に至っていない
④その他、省力化を推進する必要に迫られている
※④の場合、交付決定までの期間が延びる可能性あり

3.労働生産性の向上

 補助事業終了後3年間で、毎年労働生産性を年平均成長率3.0%以上向上(申請時比)させる事業計画を策定し、取り組む必要があります。3年間は毎年効果報告をすることになります。

4.販売事業者と共同で申請

 カタログに掲載された設備等から導入設備を決定したら、それを扱っている販売事業者に連絡します。販売事業者からアカウントを発行してもらうことで、初めて申請が可能になります。つまり、カタログに掲載されたもの同じ設備等でも、登録された販売事業者を間に挟まないと申請はできません。

5.補助対象経費、補助金額と補助率

①補助対象経費=A+B
 A:製品本体価格(単価50万円以上)
 B:Aの導入・設置費用(製品本体価格の20%上限)
②補助金額と補助率

( )内は、大幅な賃上げ達成時の補助金額 ※①と②の両方を満たした場合
①事業場内最低賃金 +45円以上UP
②給与支給総額 +6%以上UP

他の補助金との違い

 他にも中小企業向けの補助金や助成金は多く存在しますが、省力化投資補助金はあくまでも省力化に特化した設備投資であることが特徴です。

1.持続化補助金

 持続化補助金は、主に販路開拓に資する取り組み(市場開拓=客数の増加、客層の拡大)に対して支援されるため、例えば新規事業についても対象となります。一方、省力化補助金では、省力化支援が目的のため新規事業に必要な設備投資は対象外です。(持続化補助金では、業務効率化に対する事業も補助対象ですが、従属的な目的であり、業務効率化の取り組みだけでは対象外となります。)

2.ものづくり補助金

 ものづくり補助金は、主に新製品の開発や生産プロセスの改善を目的とした投資に対して支給されます。一方で省力化投資補助金は、既存の業務をより効率的に行うための投資が主な対象です。つまり、商品やサービスの質を向上させる「ものづくり補助金」に対して、現在の作業を効率化するための補助金と言えます。

3.IT導入補助金

 IT導入補助金は、主に業務のデジタル化を推進するための補助金であり、クラウドシステムや業務管理ソフトの導入が主な対象です。一方、省力化投資補助金は、物理的な機械や設備を導入して効率化を図る点が異なります。デジタル技術を活用した省力化も含まれることはありますが、IT導入補助金ほどその分野に特化しているわけではありません。

その他注意事項

1.保険加入

 補助額が500万円以上となる場合、事業計画期間終了までの間 、保険金額が補助額以上である保険又は共済への加入が必須(保険料は補助対象外)となります。実績報告時には保険等への加入証明ができる書類の提出が必要です。

2.効果報告(5年間)

 事業期間終了後、5年間にわたり毎年度初めに以下の事項について効果報告する必要があります。
①省力化製品の稼働状況
②事業計画の達成状況
・省力化の効果(従業員数と労働時間及び決算情報)
※①の省力化製品の稼働状況+業務改善効果
・賃上げの実績(給与支給総額及び事業場内最低賃金)
 
報告内容によっては、補助金の返還や収益納付が発生する場合があります。

3.実地検査

 実績報告の提出を受けてから効果報告期間が終了するまでの間に、補助金事務局等により、省力化製品が事業所に導入されていることの実地検査が行われます。実地検査において、申請時の事業計画と異なる実態であることが確認された場合は 、交付決定の取消しとなります。

まとめ

 中小企業における人手不足は大きな問題です。残念ながら、構造的な原因から抜本的な解決は期待できません。人手不足を嘆き、対策をとらずに機会を失い続けるか。個社レベルではどうすることもできない問題であると認識し、現状のマンパワーでやり繰りするための対策をとるのかで未来は大きく変わってきます。
 中小企業省力化投資補助金は、今後ますます重要性が高まると考えられます。人手不足やコスト増加の課題を抱える中小企業にとって、この補助金は業務の効率化や生産性向上の強力なサポートとなるでしょう。他の補助金との違いを理解し、自社の状況に合わせた最適な設備投資を検討することで、補助金の効果を最大限に引き出しましょう。
「中小企業省力化投資補助金」公式サイトはこちらより⇒中小企業省力化投資補助金 (smrj.go.jp)

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