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【要検証?】日本人が知らないアニメの歴史『アメリカで日本のアニメは、どう見られてきたか?』感想

アメリカはなんて傲慢な国なんだ

本書によるとキャラクターの名前の変更は当たり前。時には編集してストーリーも変えちゃう。初期の日本のアニメはアメリカに輸出してもそのまま放送されることがなかったようだ。
話は少しそれるが、ハリウッド版ゴジラの一作目がコケて二作目以降がウケたかの分析は簡単で初代ゴジラが戦争もので、空爆や原爆の恐怖を象徴化した抽象的な作品だと理解してなかったからだろう。二作目以降は怪獣バトルものになったゴジラを下敷きにしているからハリウッドのいつものお得意のアクションと融和性があり、うまくいったのだろう。
海外の方にとって日本語の学習が難しいのは日本文化が海外まで知られてないからではないかということを他の記事でも書いたが、本書を読む限りでは日本文化はアニメからは伝わってなかったようだ。

アニメの輸出の歴史ははるか遠く

本書の構成は日本のアニメのアメリカでの放送、販売などのビジネス的な側面の戦後から2000年代初頭までの歴史をどんなアニメを輸出して日本側の制作者、販売?者のインタビューや著作などの資料とアメリカ現地の売り手のインタビューや著作といった資料を織り交ぜ描いていく構成になっている。正直アニメの海外進出ってネットで知名度が上がったと思っている層も出てきている現代には、1960年代の白黒アニメの頃からアニメ輸出はあってアメリカの企業と共同でアニメを作ることがあったというのは想像できないだろう。

日本は鎖国期と開国期を繰り返す

話はとんで、奈良時代の日本は国際色が強かった。中国は漢か唐の時代でシルクロードで西の最果ては東か西か分裂前かは知らないがローマ帝国でその間のペルシャやギリシャやらと繋がっていた。拝火教、つまりゾロアスター教や景教、つまりキリスト教のネストリウス派などが伝わっていたらしい。
防人制度ができるくらい外国の情報を仕入れていた時の王権や貴族が異国情緒あふれる文化を享受していた。
それが、平安の中頃になるとガラッと変わる。遣唐使は廃止して、それまであった異国風味が国内の文化に変わっていく。女流文学もこの頃生まれた。
東大の教授が日本は常に三つの状態を繰り返すと言ったらしいが、わたしはその教授より細かい分析はできないので、二つの状態があると思っている。開国期と鎖国期だ。奈良の頃のように異国のものを積極的に受け入れる時期と異国のものを排除したかのように国内の文化が隆盛する時期。
そんな日本の歴史を体現するように日本のアニメは60〜70年代までアメリカと蜜月だったのに80年代にガラッと変わる。
80年代からアメリカで日本のアニメは暴力表現や性描写の問題で放送をやめるように声が上がったそうだ。

日本アニメの輸出の暗黒期

本書によると80年代日本アニメはアメリカで受け入れられなくなったらしい。暴力や性描写で批判的な声が上がったらしい。
ちょうど日本車不買運動とかあった時期なので、ちょっと勘繰ってしまう。
が、この頃前節で言ったが鎖国期は国内の独特な文化が発展していくのが日本で、妖獣都市やらうろつき童子やら過激な表現が含まれていて、触手などの日本独特なポルノ表現が生まれた。

本書7章は必見(中学生並み感想)

日本独特な過激な表現はアメリカでは衝撃的だったらしい。日本では触手自体は浮世絵にもあるくらい古い文化なのだが、アメリカでは驚愕で怪物ものにエロさを取り入れるということがこれで生まれたらしい。
つまり、アメリカのホラーやらスプラッタものにエロスがご都合主義的に入るきっかけは日本なのである。
その後ポケモンやらドラゴンボールやセーラームーンなどでまた開国期が始まっていく。
そして宮崎駿の千と千尋のアカデミー受賞で本書は大体終わる。

今はまた開国期?

本書の後の動きだが、わたしが今見ている限りでは、最近ではアメリカに限らず、諸外国で日本のアニメ、マンガの文化が好まれているみたいだ。
ナルトやワンピースのコスプレをしたり、コミケのようなイベントが行われたり、すごい盛況だ。
これがいつまで続くのかわからないけど、長い時間をかけて輸出産業として成立していて、そこにはいろんな人の尽力があるものなので、できるだけ長くブームが続いてほしいと思うばかりだ。

なぜ要検証?

アニメに関する本は世にたくさんあるけど、こういう歴史や資料系の本は少ない。
普通はアニメ見る時ストーリーを見るものだから、アニメ史やアニメのビジネスについての本は需要がないのかもしれない。でも昨今深夜アニメの本数がとてつもないことになっている。
もはやオタクでもあっていけないレベルである。
なら、見るアニメを選ぶ指針を決めないといけない。
そこで、歴史やビジネスという側面があってもいいのではと思った次第で、本記事を書いた。
しかし、本書だけでは傍証や別視点がないため、できれば本書以外にも当たることをお勧めする。

あとがき

感想記事にあとがきもと思うが、今回はなんかうまくまとまらないのが納得いかず、文章をいじっていたが、あまり変わらないので、このままで行くことにした。
アニメのビジネスという珍しい視点からの歴史を見ることができて本書を読めたことが嬉しいと思う。


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