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数学はなんの役に立つなんか聞くんじゃねぇ ~数式は言葉編(1)~

はじめに結論

数学は大変抽象的な学問です。いや抽象的なものを扱う分野を多く含んでいます。大学の数学を独学し始めて結構立ちますが、現代数学はとても抽象的です。私には集合論、位相や群論は抽象的過ぎて何がしたいかもつかめないくらいでした。
小学生や中学生の間、つまり義務教育の間で習う算数、数学、ともすれば高校数学もかなり具体的なことをやります。なので大半の人が数学は難しい、けど抽象的だと思ったことはないと思います。
だから、多くの人が「数学ってなんの役に立つの?」と思うのでしょう。抽象度が高いため、結構いろんなものに応用できるので、何に役立つかは自分で考えるしかないです。言わずと知れた所では自然科学の法則は数式で表され、音楽の純正律は比で表現でき、絵画や写真では透視図法で射影幾何学に関係し、ギャンブルや市場の動向は確率・統計。
あまり知られていないところだと文化人類学の親族の基本構造という本の中でオーストラリアの部族の婚姻関係を群論で解き明かしてます。
私の勝手な持論ですが、数学のこの抽象性を生み出したのは、根本的な土台となる数学基礎論ではないかと思ってます。数学基礎論、そのなかでも数理論理学というのは数学の言葉といってもいいものです。
そして数理論理学の記号は所謂数式です。正確には違って論理式といいますが、まあこの記事で話す内容では数式といっても問題ないでしょう。小学生の時からなじみのある足し算のプラスの記号と掛け算のクロスの記号は数学基礎論で定義しなおされてます。
定義しなおされているということはまあ数学基礎論が生まれる前からあったということです。ではそもそもプラスやらクロスやイコールはなぜ生まれたのでしょうか?

数式で省略

そもそもプラス、マイナスの記号でさえ15世紀から使われ始めているそうです。エジプト文明、メソポタミア文明の遺跡の頃から数字や計算、測量をしていた記録はあります。メソポタミア文明の遺跡からは二次方程式を解いていたり、ピタゴラスの定理を使って長さを計算していた形跡があるそうです。人類の数学の歴史から歴史から見ると数式や数式の記号の歴史は浅いです。
では1+1=2のような所謂数式以前はどうしていたのでしょうか?それは普通に文章で書いていたのです。例えば「部屋には初めアリスが一人いました。しばらくするとボブが部屋に入ってきました。この時、部屋には二人いる」みたいな文章を長々と書いていました。日本だと塵劫記などを見るとわかりやすいです。算数の問題とその解法となる公式が文章でつらつら書かれています。単純な計算ならまだしも複雑になると文章がわちゃわちゃしてきて、何が何だかこんがらがってきます。そこで+や-等の記号を使い省略することでわかりやすくしたものが数式です。なんてことはありません、結局数式は元を正せば単なる文です。
なので義務教育時代学校の先生は教えてくれなかったと思いますが、数学の勉強とは数学の言葉を学習していくことでもあるのです。最終的に計算で間違えてテストの点数が悪くても文章問題の文から数式が立てられる、逆に数式から式の意味が具体的状況が作れる、または数式を使って文章をまとめなおすことができる、そういうことも数学の一側面です。なので、数学を勉強する際、本来教師は簡単に数学ができないとか生徒にレッテル張りしてはいけないし、そう思わせてもいけないと私は思います。
さて数式は数学の言葉でありますが、普通の言葉つまり自然言語とも近くなっていきます。まあ集合論の公理が数学を数に縛るので、数学は「数」学であり続けます。ただそこにある論理的で抽象的な思考やアルゴリズムは、かなり応用が利くので、数学は様々な場面で応用が利きます。ただ逆に抽象度が高いため、どのような場面で、どのように応用ができるかは応用しようとしない限りわからないです。ここでタイトルの「数学はなんの役に立つなんか聞くな」ということにつながってきます。数学は太古の昔は数えたり、大きさをはかるために使うという目的があったかもしれませんが、もはや論理学に近しい思考研究の側面のため、数学を使ってみようと常に思っていれば、数学の何かを何かに応用できることがいっぱいあります。そしてその思考を表現する数式(論理式)は言葉といっても差し支えないでしょう。

数式は言葉だ

ウィトゲンシュタインが論理哲学の研究で言語に注目したように、思考と表現は結びついてます。
数式(論理式)で書くのも、発想を広げるにはいい方法かもしれません。いつも自然言語(日本語や英語などの人工言語ではない言葉)ばかり使っていては思いつかなかったアイデアが思いつくかもしれません。ビジネスマンだろうと家事手伝いだろうとこれからの時代アイデア勝負になっていくので、より発想力をつけなければなりません。なので、数式を勉強してもいいのでは?以下の本はわかりやすいので、おすすめです。


今回は数式はことばというテーマで記事を書いたので、数理論理学を薦める動機みたいになりましたが、まず数式は言葉ということだけどでも伝われば幸いです。
数式が言葉であれば数学で立式する時、それは文章を書くようなものだと理解できるはずです。


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