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戦場ブライダルフェア前編

1月の3連休。
正月休み疲れで1日中ベットにいたい身体に鞭を打ち、私は夫婦でブライダルフェアに参加していた。
結婚式を挙げるには、結婚式場を決めなければいけない。
当たり前のことだが、その方法を私たちは知らなかった。

https://twitter.com/mayoiyoichi/status/1470747480211951617?s=21

困った私が思わずつぶやいた呟きに、「ブライダルフェアに行くのだ」とリプライをもらい、その通りに。
ゼクシィアプリをインストールし、載せられた美しい式場の写真や口コミを見て、フェアに参加しようと決めた式場が4件。

せっかくなので、式場見学から決定までを書き残しておきたい。

*私たちの結婚式希望条件*
希望日:冬の土曜日
予算:400万円
お色直し:ドレス2着、タキシード2着
イメージ:和気あいあい、自然光、開放感、自由な演出、など

1件目:交通の便良し設備良しのホテル挙式

駅直結のホテルはそれはそれは素敵な式場だった。
作られて新しいこの式場はどこもかしこも綺麗で最先端。

何より1番惹かれたのはホスピタリティだった。

個室の用意や男性プランナーの気持の良い接客、
めちゃくちゃ美味しいご飯(フェア1番の楽しみ!)に、
メッセージカードまで用意してくださっていた。
これは当日まで楽しく準備が出来そうだ。

しかしここは都心のホテル。
チャペルも披露宴会場もすべて屋内で、緑や外の空気感といったものは感じられない場所。
そこが、夫は少しネックそうだった。

「見積もりをご用意いたしますね」

見学を終えて個室の打合せ室にて、プランナーさんの言葉にキタ!と唾を飲む。
私たち夫婦は予習していたのだ。
ここで出される見積もり額は当てにならない、と。

「あ、あの、お見積りに含んでいただきたいのですが…色々お願いしてもいいですか…?」

「はい!もちろんです!」

心地よいプランナーさんの快諾に、iPhoneのメモ帳を開き、昨夜夫と決めた見積もりの条件を提示する。

「まずお色直しは夫婦ともしたいので2着ずついれてください。あ、衣装ランクは皆さんが選ぶ平均+1くらいのもので。お料理もランク上げて見積もってください。EDムービーも入れてください。あと、ビールサーバーもやりたいです。」

この時の私は自ジャンルを語るオタクのように早口だったと思う。年明け早々今年1年分話した。
その他にも金額アップしそうな項目はガシガシと追加していく。
プランナーさんはうんうんとメモを取っていた。

そして出してもらった金額は360万円!
金額を400万円に収めたい私たちは、希望金額を350万以内と伝えていたので、合わせてきたのかなあという印象。

「ありがとうございます。他3件と検討して、決定します。」

そう伝えて後にした会場。
車が見えなくなる最後の最後まで頭を下げているプランナーさんに、やはりあの人は最高だったねと彼と話した。

「でも決定打がないかな。どうしてもここがイイって一目ぼれはなかった。」

「予算的にも、他いいところがなかったら、ここでもいいかなって感じ。」

夫も私も感想は同じ。
まだ先は長いので、このホテル会場をひとつの基準に見学を進めてゆく…。

2件目:大人気のゲストハウス!

1件目のフェアでまるで王様みたいな扱いを受けていた私たちは、その接客が基準になっていたのだが、その思いは2件目で打ち砕かれる。

通された打合せルームに所狭しといる男女たち!1件目は個室が用意されており、待たされることなく対応してもらっただけにそのギャップに驚いた。
これが人気式場か(偏見)…。

そうここは、大阪で1番人気の会場(らしい)。
SNSでもバンバン出てくるし、無知な私でも名前を知っているほどだ。

出されたドリンクを飲みながら待つこと十数分、来たのは何か偉い人っぽいおじさん。
フェアへの来場お礼もそこそこに、
「今この会場はありがたいことに沢山予約してくださって…。予約が取れるのが1年半後になります。お希望のお日にちが空いているか分かりませんが、ご了承ください。」と、言って頭を下げすたすたと去っていった。
おじさんはそのまま近くのテーブルのご夫婦にも全く同じことを言い頭を下げていた。

「…。」

正直、ここで私たちの心は折れた。
心が折れたというよりも、この会場へのモチベーションが完全に萎えてしまった。

なるほど、ここは過剰接待しなくとも契約が取れるのか…。
確かにチャペルも披露宴会場もお料理も素敵だったが、1件目よりも良いかと言われればそうでもない。
萎えた状態で見学しているので、悪い方にフィルターが掛かっているのかもしれないが、特別強く惹かれるところはひとつもなかった。

それでもせっかく来たので一応見積もりは取ってもらうことにし、1件目と同じ条件を提示。

出された見積もり額はべらぼうに高い。
1件目よりも100万円以上高い。
希望金額を350万円と伝えているのに、480万円の見積書をポンと見せるのは素直にすごい。

「お客様、今確認しましたらたまたまご希望の日が空いており…ただすぐ埋まってしまいますので、本日のご契約をお勧めしております。」

この会場はこの金額でも当日契約が取れるのだなあ。
1年先の予定で、この後2件見学行くって伝えてるにも関わらず、この強気な接客。

「あ、持ち帰って検討します。」

きっとここでプランナーさんも、こいつら契約しないなと気付いたのだろう。見積もり交渉することも強引な契約を急かすこともなく、スッと私たちから気持ちが離れたのが目に見えて分かった。
ある意味賢い判断だと思う。私たちに割く力を他の夫婦の対応に回した方がコスパ良いもの。契約しない客にどう思われようが、関係ない。分かるで。

案内してくれたことにお礼は伝えたが、希望していた終了時間よりもオーバーしていることに焦りながら会場を後にする。

「ここは無しだね~。」
と、次の会場に車を走らせながら2人で意見のすり合わせを行う。
先ほどの決して好意的ではない接客に凹んでいる暇はない。
この足で、休みなく次の会場に向かわねばならない。

ところで夫は「話を聞くときに、うんうんうんうん煩く相槌を打つ人はあまり好きじゃない。柳原加奈子じゃん。」と別のところで不服そうにしていた。
じゃあなんて相槌を打つのがいいの?と聞くと、「普通、はい、だよ。顧客に対してはね。友達じゃないんだから。」と笑っていた。全然関係ないが、私はこの日からお客さんとの打ち合わせのときに、うんうん言うのを止めた。

後編へ続く


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