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口腔ケアについて考える

「口腔ケア」という言葉は、医療や介護現場ではすっかり耳慣れていますよね。でも、口腔ケアが持つ意味について広く深く知っている人、考えて実践している人って意外と少ないような気がしています。

虫歯にならないように歯磨きしたり、口の中をお掃除することでしょ?

……はい、そのとおり。間違ってはいません。でも、もっともっと奥深いんですよね、口腔ケアって。

口腔ケアは単なるお口のお掃除ではありません!

 お口の中には、膨大な数の細菌が住み着いていると言われています。普通に毎日歯を磨いていても何千個もの細菌が、ほとんど歯を磨かない人では1兆ほどの数になるそうです。目で見えないものほど恐ろしいものはないですね。。。

 この細菌を放っておくと虫歯や歯周病の原因となるわけです。そして、お口の中の細菌は「誤嚥性肺炎」の引き金になると言われています。

 人は一日に1Lほどの唾液を無意識のうちに飲み込んでいます。しかし、飲み込む力が低下している方、すなわち嚥下障害のある方にとって最も飲み込みにくいのは唾液なのです。

 細菌いっぱいの口の中にある唾液がしっかり飲み込めず、誤嚥してしまったら・・・。身体の抵抗力が弱った方は一発で肺炎を起こしてしまいます。

 この誤嚥性肺炎を予防する為の一手段が、口腔ケアなのです。お口のお掃除なのです。

 でも、口腔ケアってそれだけではないのですよね。口って何のためにあるのか?食事をおいしく食べるため、言葉を発するための大切な大切な体の一部なんですよね。それを考えると、口の中を掃除するだけでは口腔ケアとは言わないということがわかります。

口腔ケアの最終目標

 食べられる口、話せる口をつくることが口腔ケアの最終目標ではないでしょうか。すなわち、食べるや話すに関わるお口の機能を改善させること。唇や舌、頬、顎などの力を引き出していくこと。そして、これらの力が発揮されてこそ飲み込みにくいといわれている唾液もしっかり飲み込むことができる。

 口腔ケアは、清掃と機能的改善、この視点で取り組みたいものです。

口腔ケアによってもたらされるもの

 食べれる口、言葉を発することのできる口を備えた人の生活の質はかなり高いと言えるのではないでしょうか。

 好きなものが口から食べられるって、お腹が空いたとき大口開けて口いっぱいに頬張れるって、大好きな人に「好き」って言えるって。考えただけで幸せですよね。笑顔になりますよね。

 口腔ケアの本質はここにあり。口腔ケアの意味を問い直し、質の高いケアが提供できる人たちが増えることを願います。

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