株価軟調の要因を探る… カバー株式会社(5253)の2024/1Q決算を分析 ―ライブ/イベント分野編―
はじめに
当記事内に記載している内容は必ずご自身で正確性・信憑性をご精査ください。
また、当記事の内容によりいかなる不利益を被ったとしても一切の責任を負いません。投資をする際は必ず自己責任でお願いします。
本記事の概要
本記事ではカバー株式会社(5253)2024/1Q決算分析のうち、ライブ/イベント分野について深掘りをしていきます。
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ライブ/イベント分野の定義・内訳
収益項目:オフライン、オンラインでのチケット販売収益、イベントに際した物販収益及びイベントの様子を収録した映像ソフトウエアの販売収益等
コスト項目:イベント制作費及び演者出演費等
※有価証券報告書(第7期)より引用
2024/1Q ライブ/イベント分野 実績売上高
実績売上高 :376百万円(YoY +94.0%)
ライブ/イベント分野の各項目を分析
1.分析方法について
2024/1Q(2023年4月~6月)に開催・販売された主なライブ・イベント関連事業を抽出。そのうち、各事業の個別売上高を可能な限り予想し算出。
※各事業の個別売上高は筆者の予想のため実際の数字と乖離している可能性が高くなっています。あくまで参考程度にご覧ください。
売上高のPL計上タイミングについて、ライブチケット代等はイベント開催日基準、オンライン販売のイベント関連グッズ等は商品発送日基準とする。
なお、パブリッシャー等(他社販売サイト)を通じて販売している商品については発売日からPL計上にラグが生じるものと想定し、仮に6月販売の商品では7月(2024/2Q)の売上高へ計上されると仮定する。
2.開催・販売された主なライブ・イベント関連事業
Ⅰ.沙花叉クロヱ in マクセル アクアパーク品川
開催時期 :4/8~23のうち6日間
開催形式 :現地
想定総参加者数 :約7,266人(各日約1,211人)
通常チケット :¥4,950(税込)
想定参加者数 :約5,466人(各日約911人)
プレミアムチケット:¥9,350(税込)
想定参加者数 :約1,800人(各日約300人)
想定グッズ販売価格:¥8,000(税込)
想定グッズ販売数 :3,600本
想定売上高:¥65,418,030(消費税除く)
Ⅱ.Hoshimachi Suisei 2nd Solo Live "Shout in Crisis" ライブグッズ
商品発送時期 :3月~6月(3月発送分は2023/4QへPL計上)
想定平均販売価格:¥11,000(税込)
想定販売数 :5,000本
想定売上高:¥49,500,000(消費税除く)
Ⅲ.『hololive 5th Generation Live "Twinkle 4 You"』 ライブグッズ(先行分)
商品発送時期 :6月
想定平均販売価格:¥9,800(税込)
想定販売数 :12,000本
想定売上高:¥105,840,000(消費税除く)
Ⅳ.『hololive English 1st Concert -Connect the World-』 ライブグッズ
商品発送時期 :6月
想定平均販売価格:¥14,800(税込)
想定販売数 :10,000本
想定売上高:¥133,200,000(消費税除く)
Ⅴ.hololive SUPER EXPO 2023 & hololive 4th fes. イベントグッズ(先行分) 商品発送時期 :6月
想定平均販売価格:¥5,500(税込)
想定販売数 :3,000本
想定売上高:¥14,850,000(消費税除く)
3.各事業の予測売上高合計
「2.開催・販売された主なライブ・イベント関連事業」で予測した想定売上高を合算する。
Ⅰ.¥65,418,030
Ⅱ.¥49,500,000
Ⅲ.¥105,840,000
Ⅳ.¥133,200,000
Ⅴ.¥14,850,000
計.¥368,808,030(実績売上高:¥376,137,000)
筆者事前予想との乖離について
1.2024/1Q 実績売上高について
決算短信より、2024/1Qのライブ/イベント分野売上高は¥376,137,000(YoY+94.0%)であった。
2.2024/1Q 筆者事前予想売上高
2024/1Qの筆者事前予想売上高は¥367,000,000
実績売上高との乖離は約+9百万円程度と概ね合致していたものの、事前予想では算出方法を雑に実施していたため偶然の産物である。
まとめ
本記事では「ライブ/イベント分野」の内訳を予想。
決算前の事前予想売上高と実績売上高の乖離幅は小さかったものの、あくまでそれは運良く近しい数字になっただけであった。(事前予想記事は以下のリンクより)
今回は2024/1Q期間のライブ・イベント関連事業を可能な限り抽出し、全体の実績売上高をベースとして各事業の個別売上高を予測。
この予測した数字がどこまで実際の数字と近しいかは全くの不明であるが、長期的に分析を実施し極力乖離の小さい数字を求められるよう努めたい。
また、事前予想記事では6月28日発売の「猫又おかゆ ソロライブ Blu-ray」を2024/1Qへ売上高計上予測したものの、本製品はパブリッシャー等(他社販売サイト)を通じての販売がメインであるため、実際のPL計上は2024/2Qになることが予想される。
そのため、本分析記事では当該商品の売上高は含んでいない。
8月9日の決算発表後、株価は決算日前日終値と比較し最大で20%程度下落したことは記憶に新しい。全体の相場に巻き込まれた影響もあるだろうが、一説には通期進捗率を嫌気したとの意見もある。
本分野について、YoYは+94.0%と大幅に成長を遂げているものの、QoQは-82.8%と数字だけを見れば大幅に鈍化しているとも受け取れる。他の分野におけるQoQは概ね同水準~やや減であることから、通期進捗率においては本分野が足を引っ張ったとの見方もできるだろう。
一方、本分野はいわゆる"季節性"を受けやすいセグメントである。2023/4Qは大型イベントが開催されたものの、2024/1Qでは大きなイベントが開催されていない。このことから、単純な数字だけの比較はすべきではない、と窺い知れるだろう。
2024/2Qでは、7月4日に開催された「hololive English 1st」、8月26-27日に開催された「ホロライブ・サマー2023(注1)」、9月13日開催予定の「Blue Journey 1st Live」など、各種大型イベントが予定されている。
各ライブ・イベントの開催状況を注視し、より精度の高い分析に努めたい。
筆者の業界分析への考え方についてコラムに纏めています。
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Twitter:@karuta_54
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