撮影前のかけ声と雰囲気の演出(初心者の映画制作講座)
撮影に入る時、終わる時のかけ声って考えたことありますか?
「アクション!」
「カット!」
これが基本でしょうね。
さて、あなたは初めて監督をすることになりました。
あなたは何て叫びますか?
「アァークション!!」
「カァーット!」
これが意外とね、恥ずかしい。
よくよく聞いていると、皆さん、いろいろアレンジしてるようです。
「はーい、行きまーす!よーい、スタート!」
「はい!オッケイ!」
こんな人もいました。
「よーい、ドン!」
「オッケイでーす!」
なんでもないようなかけ声ですが、
僕はものすごく重要視してるんです。
撮影現場の雰囲気づくりのために。
どういうことか。
僕のやり方を参考までに書きますね。
かけ声の瞬間を、少し細かく描写してみます。
僕「音、オッケイ?」
音声さん「はい!」
僕「照明は大丈夫?」
照明さん「OKです!」
この辺りの確認は、あえて大きな声を出します。
スタッフの皆さんも、大きな声で返してくれます。
彼らは、監督から離れた位置にいるスタッフたちなので、信じるしかありません。
このやり取りで、声の様子の確認ができるんですね。
少しでも気持ちが揺らいでいれば、声で分かります。
疑問があれば「何か気になる?」と、その場で解決します。
こうやって、じわじわ、現場が引き締まっていきます。
たいてい僕は、カメラマンの真横にいます。
スタッフの最後に、(個人的にたずねるくらいの声で)カメラマンに聞きます。
僕「カメラ、オッケイですか?」
カメラマン(ファインダーを見つめたまま、黙ってうなづく、もしくは手でOKを作ります)。
僕はモニターを見て、構図などをチェックします。
とは言え、屋外ロケなど、車や雲の動きなど、予断は許しません。
だからこれら一連の流れを、ほんの数十秒で行うわけです。
その一方で、ヘアメイクさんはモニターを見ながら、役者の髪を直したりします。
スタッフは準備完了のようです。
僕は役者には声をかけません。
彼らには、演技に集中してほしいからです。
スタッフに確認を取っていく過程は、当然役者の耳にも入っています。
スタッフと大声でやり取りすることで、役者の気持ちを引き締め、演技の準備をさせているのです。
「じゃ、行きまーす!よぉーい・・・」
ここで言葉を止め、役者の様子を見ます。
僕の「よぉーい」は、「行くぞ、行くぞ、準備はいいな!!」という感じで口にしてます。
演技を始めるのに集中できているか、確認します。
問題があるなら、ここで役者から「すみません!」という言葉が出ます。
「・・・スタート!」
これが僕の、撮影に入る直前のやり取りです。
さて、そのカットの演技が終わりました。
演技をじっと見つめます。
僕が止めない限り、役者は演技を続けます。
スタッフも誰ひとり動きません。
カメラも当然、回ったままです。
必要な演技が終わっても、すぐには止めません。
僕はこの時、頭の中で「編集モード」に入っています。
使うべきカットが終わって、少し余裕を持って撮影を止める。
こんなことを意識しています。
「カット!はい、オッケイです!」
撮影に入る時に、僕がスタッフの声を聞いて「自信」を確認しているように、
おそらく僕の「カット!」の声の調子で、役者は「よかった・やり直し」を感じていると思います。
満足そうに「オ・ッ・ケ・イ!!」だったり、
何かを考えながら「ォッヶィ・・・です・・・」だったり・・・
ちょっと細かすぎるハナシになってしまいました。
もちろんこれが正解、というわけではありません。
監督が撮影を始める時や終わる時、どんなことを考えているのか追体験してもらえたら、と思って書いてみました。
是非、自分なりのスタイルを確立してみてくださいね。
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