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全部、自業自得


本番が近くなるとパニックになってくる。


全部自業自得だ。
自分で始めたことなんだから。
自分が好きなことなんだから。
やりたくてやってるんだから。
ネガティブなことなんて何も言ってはいけない。
らしい。
そうらしい。
嫌ならやめればいいのだから、何も文句を言ってはいけない。
好きでやっていることでパニックになるなんてそんな自業自得なことない。
わかってる。わかっている。

でもじゃあこのパニックを私はどうやって消化したらいいのだろう。
世の中の作り手たちは、どうやってこの恐怖と向き合っているのだろう。

脚本や演出や小道具や衣装や照明や曲などの作品のことと、本番が近くなるとそこにお客さんに楽しんでもらえるか、そもそもこれは面白いのか、これを言って傷つく人はいないかと作品を観てくれる人へのことも入ってきて更に、赤字はどれくらいか、深夜バイトいれないとかとか、どんどんどんどん息が出来なくなっていく。

息が出来なくなってたって、
「これは面白いです」
とだけは言わなきゃいけなくて、色んな人に宣伝しないといけなくて、どうせ観にこない知り合いに「好きなことできて幸せだね」って言われてヘラヘラ笑って、作品に出たいとは言ってくれるけど決して観に来てくれない不思議なあの人たちに「機会があればぜひ!」ってまたヘラヘラ笑って、出演者やスタッフさんのギャラ問題はよく言われるけど赤字を背負う主宰のことはみんな気にしないんだなとか、演劇の世界を嫌いになる隙が出来ないように、作品のこと考えてる。

でもどんなに演劇頑張っても、凄いって言われるのは映像作品の脚本で、どんなに演劇つくっても、演劇で賞をもらっても、主な経歴に載るのは映像作品の脚本だけで、舞台の連絡は全部無視してた知り合いがドラマ見たよって数年ぶりに連絡くれて、「舞台もよかったら」って連絡したらまた既読スルーだし、私の大事なものを大事にしてくれてないんだなってなる度に、私の中身がゴリゴリ削れて、私はスカスカになってく。

私は劇場で演劇したくて、演劇を頑張りたくて演劇以外のこと頑張ってるのに、どんどんどんどん、演劇で生活することから遠ざかってる気がしてしまう。
演劇のために頑張った時間と労力が、演劇をすることで報われなくなってる気がしてしまう。


私は、演劇で売れっ子になりたい。


前に、未だに演劇で食えないって呟いたら

「それはあなたに才能がないからです。才能があれば稼げているはずです。あなたのような人がいるから演劇はだめだと思われるんです。演劇をやめてください」

ってDMが来たことがあって、ああ、そうだよなって思った。
私に才能があったら、きっと今頃岸田國士賞とって、大きな劇場で公演やって、チケットも即完売になってるんだろうなって、そうだよなって思った。

周りの主宰の人たちは、エネルギーと自信がすごくて、「自分のものは面白い」「自分の作品には価値がある」と言える人たちばかりで、眩しい。私はいつもそういう呟きを見る度に、自分はなんて主宰に向いてないのだろうと思う。

私のようなネガティブ人間が主宰を、作演出をしていることを、許せない人もたくさんいるのだろう。私も思う。

どうして私はこんなに不器用なのだろう。
上手に人と付き合って、上手に演劇を作って、上手に世を渡って、上手に売れっ子になりたい。


でも無理だ。
無理よ。
無理である。
上手に生きれないから演劇やってるんだもの。
上手に生きれてたら普通に就職してSNSも何もやらずに結婚したり週末に遊んだり映画は年に1、2本しか観ないで演劇なんて観たことない人生送ってる。
(中学生の頃の人生設計では、5年前には結婚して子どもを産んでいた)

そういうことができないから、演劇やってるときが1番「生きてる!」って感じがするから、演劇だけをやってしまう。
演劇やってネガティブが治ったらどんなにいいか。(ネガティブを治す薬があったら借金してでも買う!)

演劇を作っている時点で私は嘘を作っているのに、SNSでも嘘をつかないといけないのだろうか。
ポジティブで自信満々に、観にこないのは悪みたいなこととか「観ないと損」とか言わないといけないのだろうか。

面白いが人の数だけあって、演劇観に来なくたって、お家であったかいココアを飲めば少し幸せになれて、演劇出てる役者さんよりも会いたいあの人がいたりだとか、行きたい場所があったりだとか、世界は演劇より大事なものばかりだし、なんか、なんか、価値を押し付けないで、どうにか観に来てもらえないのだろうか、といつもいつも思ってしまう。

私のつくる誠実で切実なものが取るに足らないものだと思う人がいるのもわかるし、でももしかしたら、私の思う誠実と切実がぴたっとはまる人もいるかもしれない。
そんなぴたっとの人には、SNSで嘘を呟いてたら、出会えないのではないかとも思う。

なるべくネガティブなことを言わないように、自信があるフリをしていこうとしていたけど、そういうのは、なるべくもうしたくない。なるべく絶対できればできたら。

主宰のくせにとか、自信ないならやめろとか、きっとこの先も誰かに思われるし言われると思う。

全部自業自得だ。

でも私は私のため、私とぴたっとはまる人たちに、作品を届けたい。もっとそんな人たちに会いたい。
どうせ全部自業自得なので、なるべく私は私のために生きたい。
と思った。

さて!!!!!
くによし組「世話山さんの恋人」が、もうすぐ、明後日から始まります。
12/8日から11日までです。
誠実に、切実につくりました。

タナカエミさんと黒澤風太さんと劇団員の永井一信さんの3人芝居です。
3人はとてつもなく真面目で、お客さんにどうしたら届くかとか、お客さんが傷つかないかとか、お芝居してるときでも、相手が傷つかないか、すごくすごく考えてくれます。
お芝居見てると大好きになってしまいます。好感度が高いです。
私のオファーの判断基準は、舞台上でお客さんに愛してもらえるかが1番なので、そこはとびきりです。(自信を持って言えることあった…!!!)
演劇が好きな方にはこの3人を見てほしいし、作り手の方たちはこの3人を見つけてほしいです。(できたら私のことも…!!!)

12/11まで、劇場でお待ちしています。
どうか、たくさんの人に見てもらえますように。




(ユトサトリ。祭❷参加作品)
くによし組
『世話山さんの恋人』

■あらすじ
世話焼きの世話山さんは、とても着痩せします。
裸のときとは別人なくらいに着痩せします。
恋は中々、実りません。
そんな世話山さんの、恋と、恋人のお話。

作・演出 國吉咲貴
出演者  
黒澤風太(guizillen)
タナカエミ
永井一信(くによし組)


【祭の詳細】
ユトサトリ。祭❷
「パパパパパーティー!パパパーティー!!」
2022年12/8(木)〜12/11(日) 
@キーノート・シアター(西日暮里)

一度の観劇で3団体、30分の短編作品が楽しめちゃう、ユトサトリ。今年最後のパーティ!

●参加団体
くによし組
ゼロコ
ユトサトリ。

●公演日程
12/8(木) 19:30〜
9(金) 14:00〜 / 19:00〜
10(土) 14:00〜 / 19:00〜
11(日) 13:00〜 / 17:00〜

●チケット
前売・当日 3,500円

●会場 キーノート・シアター
〒116-0013 
東京都 荒川区 西日暮里 1-1-1パレスいしかわ B1F
・京成本線 新三河島駅 徒歩2分
・東京メトロ千代田線 町屋駅 徒歩7分
・JR 山手線 西日暮里駅 徒歩13分
・JR 常磐線 三河島駅 徒歩6分

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