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「吹きガラス 妙なるかたち、技の妙」(サントリー美術館)

 洋の東西における吹きガラスの歴史的変遷を1000年単位で追っていく本展。大量生産が行われ、利用者の注文に応えることも多い工芸品は絵や彫刻などの美術作品に比べ匿名性が高いのが特徴といえると思います。

 個人的に惹かれたのは16-17世紀イタリアで制作されたレース模様の施されたガラス器。透明のガラスに無数の規則正しい、白い線形模様が施される、その様は幾何学的、あるいは初期コンピューターグラフィック的なところがあって、20世紀以降の抽象芸術につながる美的感覚というものは時代として既に備わっていたんじゃないかと感じました。ただし同時代のイタリアにはいかにも貴族っぽい船形の豪華な水差もあり、必ずしも一辺倒では無かったんだなとも思います。

 個人的にはガラス器にあまり詳しくない分、「具象vs抽象」というような美的感覚の対立の歴史として本展を眺めていました。その二つはなかなかきれいに混ざり合うことは無いんですが、21世紀に入った途端、ガラスを手にした現代芸術家たちがその二つを融合させようとしている(ように見えた)のが面白かったです。

 展示冒頭には、東京藝術大学のチームによる《藍色ちろり》の再現制作風景が映像で紹介(フルバージョンはYouTube、40分ありますが予習用にどうぞ)。単純には比較できないかと思いますが、オリジナルのガラスそのものの精度の高さを感じました。

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