見出し画像

播磨陰陽師の独り言・第三百八十五話「烏帽子の中身」

 神職や陰陽師が頭にかぶる黒い帽子のようなものを〈烏帽子〉と言います。今の世の中でかぶるのは、かなり特殊な人々だと思います。しかし、その昔、男性は皆、烏帽子をかぶっていました。
——いったい、何のために烏帽子をかぶるんでしょうね?
 と思います。
 ところで、髪の毛の長い人は、どうしていると思いますか?
 実は烏帽子の中には髪の毛が入っています。頭にかぶっているので、髪の毛があるのは当然かも知れません。烏帽子をかぶっている人の絵を見ると、髪の毛は短い感じがします。結論から言えば、あれは頭の上で髪の毛を束ねているのです。
 平安時代くらいだと、誰でも長い髪をしていました。女の人ばかりではなく、男の人も同様です。髪の毛が長いと邪魔です。そのため、誰もが邪魔な髪の毛を束ねて、烏帽子の中に押し込む訳です。
 アニメに『ヒカルの碁』と呼ばれる作品があります。平安時代の囲碁の名人の霊が、主人公に囲碁を教えると言った内容ですが、あの囲碁の霊、少し妙なデザインでした。と言うのは、髪を伸ばして烏帽子をかぶっていたのです。そのデザインだと、白拍子……つまり女の人の踊る人の姿になります。
 囲碁と言えば、あのアニメ、K国でもハングル吹き替え版でやっていたそうです。囲碁の霊は平安時代と言うことで、白く塗られて登場していました。K国の歴史では、わが国の平安時代はなかったことにされています。理由は、K国の歴史に比べて、わが国の平安時代が華やかだったからだそうです。歴史とは真実を知るものではないのかなぁ、にわかに理解は出来ませんでした。
 アニメに登場する看板や文字はすべてハングルに書き換えて、登場人物もK国人の設定に変えられていました。しかし、日本版の途中で物語がC国に移動したり、K国の人々が登場してライバルになったすることがあるのです。当然、最初の設定がK国人だと矛盾が増えます。そのため、物語はグチャグチャになり、何だか分からない話になってしまうのです。
 それを聞いて、
——そんなんなら、何も無理してやらなくても……。
 と思いました。

*  *  *

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?