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怖い話のウラ話・第9話「困った神々」

 貧乏神・厄病神・死神……嫌な名前の神様ですねぇ。しかし、これらの神様は、人がとっても大好きです。

 貧乏神は貧乏を司る神です。こちらに来る時は、夢の中で挨拶してから憑依とりつきます。かなり丁寧ていねいな言葉使いであるそうです。帰る時も、やはり挨拶します。いつ帰るのかは分かりません。居心地が良ければ、しばらく逗留とうりゅうすることでしょう。はやく帰って欲しいものです。

 厄病神は四百四病や災難を司る神です。こちらに来る時は大人の姿で現れます。しかも、生まれたばかりのような姿です。怪我などの跡もなく、生まれたばかりの赤ちゃんのような皮膚だとも言います。そして、目的……どこかに憑依とりつくまで、見知らぬ人に頼み込んで、しばらく人間界をうろつきます。
 憑依とりつかれた人は、何度も災難を繰り返し、あるいはひどい病になります。突然、誰かを殺したくなり、犯行に及ぶこともあります。
 厄病神がこちらの世界に来た時は、犬を怖がります。噛まれると、怪我をしたり、死ぬこともあるからです。何人かにお願いして、目的地まで連れて行ってもらいます。その時、協力してくれた人には恩返しするとも言います。律儀な神なのでありがたいです。

 死神は死を司る神です。しかし、人を殺す神ではありません。人に死をもたらすのは、外国の死神です。外国の〈死神〉のイメージは、骸骨の顔に鋭い鎌を担いでいます。怖いですねぇ。でも、安心してください。これは迫力があるだけで実在ではありません。虚仮こけ脅しって言うやつです。
 本物の死神は、人が亡くなる時に恐怖を和らげに来て、死後の世界にいざなってくれます。死神にはたくさんの部下がいます。多くは部下が働くので、死神そのものが来ることはありません。たまに死神が現れると、幼い女の子の姿をしていると言います。
 世の中には様々な心霊写真があります。化け物も亡霊も写されています。しかし、これらの困った神々は、なぜか写されていません。

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