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紅絹の話

アンティーク着物にハマった時、長着の裏地の赤の鮮やかさに息を呑んだ。
やや光沢のある薄絹は、とても生き生きしてて艶かしかった。

アンティーク着物の裏地によく使われている赤い裏地は「紅絹」と書いて「もみ」と言うらしい。
ベニギヌでは無いのか?どうして「もみ」って言うのかな?と調べたらこう言う事らしい。

『紅絹(もみ)とは絹織物の一種。真赤に無地染めにした薄地の平絹のことをウコンで下染めしたものをいう。
ベニバナで上染めして仕上げる。花をもんで染めることから「もみ」と名がついた。』

なるほど、よく揉み込んで染めるから「もみ」なのか。
ベニバナで色を揉み込む作業はとても鮮やかなのだろうな。
紅絹の色は血液の様に躍動的だから。

あの様な艶めかしい紅を服の裏地に使うなんて昔の人の感覚は凄いな。

一度紅絹を血液を見立てて刺繍絵を作った事がある。
オスカー・ワイルドの「ナイチンゲールと薔薇の花」。
何とも救いようの無い話だが、ナイチンゲールの血で白い薔薇が赤に染まる様子は想像するだけで悲劇的で美しい。
紅く染まった薔薇を初めて紅絹で作ってみた。

その後、個展で気軽に作品を手に取ってもらえる様にと紅絹で作った薔薇のブローチを作った。
手のひらにちょこんと収まるサイズ。
ペタンとした薄いアップリケの様な薔薇ブローチはお洋服のワンポイントに使い易いので沢山購入いただいて有り難かった。

2023年はもう少しネット通販を頑張りたいなと思い、販売が上手な方に相談してみた。
私が刺繍の絵画も見て下さったからなのか「ブローチとしてでは無く薔薇として写真撮ってみたら?」とアドバイスいただいた。
布の薔薇をお花の薔薇として写す…?
どうすりゃいいかな?
どうすりゃ薔薇として扱ってみえるかな?と思っていたらやっと一枚の絵が浮かんだ。
一輪の薔薇を誰かに差し出す手。

シンプルで気に入ってる。
私は刺繍のコラージュ作品を作っているから、いろんな生地や色を重ねがちだ。それも楽しいけれど、シンプルな方がストレートに伝わり易いなと感じた。

2023年も始まってしまった。
これからどういう一年にできるかな?
一針一針前に進めたらと思う。

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