見出し画像

赤ずきん 1978

音楽 伊藤辰雄
アニメーション 渡辺知代実
監督 演出 髙橋克雄
企画 協力 NHK

デジタル化にご協力いただきたく、百円で公開しています。ご家庭や教育、保育、福祉など幅広くご活用くださいませ。

『赤ずきん』(1978)は、NHK『番組のおしらせ』のタイトルバック映像として放送されていた『メルヘンシリーズ』の第2号作品です。第1号の『おやゆびひめ』に続き、『赤ずきん』が放送されると、NHKに問い合わせが殺到し、セラミック・ドールのアニメーションとして話題となりました。1分間でお話がわかるように「絵コンテ」を作り、カットごとに撮影するのですが、まだフィルム・アニメーションの時代なので、人形がいい動きをしていても、背景の木が倒れた!とか、ライトが球切れ!など現像後にわかってNGになることも。今やスマホで簡単にアニメが撮れる時代ですから、『現像って何?』と仰る方も多いと思います。フィルムの時代は撮影中、カットごとに現像に出して現像後のラッシュを観て監督から『OK!』が出なければまたカット頭から全部撮り直し…この『メルヘンシリーズ』の撮影も、当初はフィルムでの撮影でしのたで、いつも「リテイクの恐怖」と隣り合わせ。たった1分の短い作品を製作するのに3ヶ月もかかる大変な撮影が続きました。

 ’83年からビデオ・アニメーションに切り替わり、「リテイクの恐怖」から解放されました。現場で録画、再生できる現像不要の「見えるアニメーション」の嬉しい衝撃は未だに忘れられませんが、フィルム時代の作品にはやはりビデオとは違う奥行きのある深い味わいがあるように感じます。

 この『赤ずきん』は、後にNHKの加賀美幸子さんの素晴らしいナレーションがついて、『メルヘンシリーズ』の進化版、『メルヘンシアター』の中に収録されました。メルヘン初期のお人形のデザインとアニメーションは、父が『かぐやひめ』で「鬼才」と称した造形作家の渡辺知代実さんによるものです。渡辺さんのお人形の魅力は一言では語れませんが、動物でも人間でも本当に可愛らしくユニーク!『赤ずきん』の中の小さなウサギや怖いオオカミなどの表情や細やかな動きもお見逃しなく…!
 
 お人形だけでなく、舞台セット、小道具など全て手づくりなので美術製作にもとても時間がかかりました。 父の作品の人形は、『メルヘンシリーズ』の一つ前の作品『野ばら』からセラミック・ドールになり、窯でお人形の顔、手、足などがたくさん焼かれて、着色なども全て手作業。優秀な美術部スタッフの皆様にも感謝!

音楽はNHKではお馴染みの作曲家、伊藤辰雄先生の力作。『おとぎの部屋』の放送まで入れると9年半のロングランとなりました。この『赤ずきん』のように『メルヘンシリーズ』の作品には、ナレーションがありません。自由にセリフを考えたり、お話したり…お子様の情緒、想像力、語学力の育成などに役立つ作品として、どうぞ楽しみください!
解説 髙橋佳里子@髙橋克雄著作権事務所

映像はこちらのサイトでご覧いただけます!
↓↓↓ 

ここから先は

43字
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

レトロな「教育映画」や万博映画などの映画や映像を上映&トークしています。「レオニード・モギー賞」や「国際赤十字賞」など国際映画祭や芸術祭受賞作『野ばら』をはじめ、貴重な映像のフィルムのデジタル化にぜひご協力くださいませ。