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負の感情から陰の感情へ

少し前に"負の感情"というタイトルの記事を書いた。そのときの私は、そのとき抱いていた感情を"負の感情"としか受け止められなかった。

"負の感情"の"負"は、勝ち負けの"負け"の意味ではなく、正と負(プラスとマイナス)の意味の"負"だ。だけれど、"負"という文字の持つ印象としては、"マイナス"よりも"負け"のイメージが強い気がする。そうすると、"負の感情"を抱くというと、何かに"負けた"ような気になってしまう。感情に勝ちも負けもないはずなのに。

そして、"マイナス"の意味で捉えた場合。マイナスとは、差し引くことであり、ゼロより小さい数のことである。でも、感情に差し引くも何もないし、ゼロより小さい感情なんてない。そう考えると、"負の感情"という表現自体に、違和感を覚えるようになってきた。

では、その感情を、なんと表せばいいのだろう。そう考えたとき、すぐに浮かんだのが"陰の感情"だ。万物は全て陰と陽の表裏一体で、どちらが良いも悪いもない。二つでひとつ。楽しい、嬉しい"陽の感情"があれば、苦しい、悲しい"陰の感情"もある。

"陽"は外に向かうことで、"陰"は内に向かうことでもある。そうすると、"陽の感情"は外に向けた(他者に向けた)感情であり、"陰の感情"は内に向けた(自分に向けた)感情ということにもなるのではないか。

私自身、楽しい、嬉しいと感じる"陽の感情"は、誰かと一緒に時間を過ごしたり、美しいものを見たりしたとき、つまりモノであれ人であれ、自分の外にある何かに対して生まれることが多い。
対して、苦しい、悲しいと感じる"陰の感情"は、自分の弱さやふがいなさに対して抱くことが多い。"陰の感情"を抱いているときは、自分自身と向き合っているときなのだ。

そして、陰(いん)と陽(よう)という言葉の響き。その音をアルファベットで書き表すと"in"と"you"となる。"in"には"I, 私"が、"you"にはそのまま"you, あなた"がいる。私とあなたは、ふたりでひとつ。
単なる言葉あそび、音あそびだけれど、そう気がついたことを、どうしても書き残しておきたかった。

そんな風に考えると、今まで"負の感情"と捉えていたその感情に対しての後ろめたさのようなものが、少し薄れるような気がする。薄れたからと言って、それが良いというものではないけれど、少なくとも、その感情を抱いている自分を、自然と受け止められるんじゃないだろうか。

負の感情から、陰の感情に変えてみると、今までとは違う何かが、生まれるかもしれない。

私の"In"から生まれたこの想い、あなたの"You"に届くといいな。