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2023年を振り返る・その1・エッセイ出版の裏ばなし(メイキング)

改めて、あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年のモットーも昨年から引き続き「来た波には全部のる!」のボサノヴァシンガー、Karen Tokitaです。

2023年はコラボライブも多く、ギターの弦メーカー・LA BELLAの国内とアメリカの公式サイトに使用アーティストとして載るという大変光栄なこともあったりと、とても充実しました。そして節目の、エッセイ出版とボサノヴァシンガーデビュー20周年記念。
たくさんの応援をありがとうございました!

2023年はデビュー20周年&エッセイ出版の年


河出書房さんからエッセイ出版のお話をいただいたのが、2021年の夏の終わりごろ。(経緯はこちら)

2022年の頭から本格的に執筆がスタート。ひたすら書いて直して……最初のうちは、2つ3つお話し書いたら寝込んじゃってました。

2023年はエッセイの作業と同時に、デビュー20周年&出版記念のライブや、書店での出版記念トークイベントの企画準備が同時進行。トラウマを掘り起こして書いた自分の心のケアも必要でしたし、なにしろ初めてのチャレンジだったから余裕もなくって。

細かいことがもう思い出せないくらい、飛ぶように過ぎましたが、たくさんの方々のご協力や応援で駆け抜けることができました。


出版後の心境の変化はまた、追って書くとして……。
ここからは、ずっと書けていなかった、エッセイ制作の裏話を。これ、書きたかったんだー!
自分の好きな本を、改めて隅々まで読みたくなるかも。

エッセイ制作の裏ばなし! メイキング

2月に原稿がいよいよ締め切りに。
それでも実は、伸ばしてもらっていました(本当は2022年の12月末)もう直せなくなるのが不安で不安で。泣く泣く提出しましたよ。ああぁ。

3月は表紙など、メインビジュアルの撮影。
冬の間に撮ろうと話していたのですが、フォトグラファー・平野敬子さんの「冬は光が硬いから、柔らかい雰囲気で撮りたいならせめて3月」というアドバイスのもと、時期を待ちました。

時間割は下記の投稿にありますが……。めっちゃ早朝、まだ寒い。
必要なものはそう、気合いです。

海の撮影は風との戦いになることが多いの。でもこの時は風がなさすぎるくらいで。髪や服をもうちょっとなびかせたいのに、なびかないものだから……こう。

写り込んじゃダメなやつ。笑

ヘアメイクのかおりさんが髪を、アシスタントのひらりんが裾を、シャッターを切るタイミングでバサァッと!! もはや隠し芸のテーブルクロス引くあれにしか見えない。(室内なら、ドライヤーなどを使ったりします)

砂浜をキャッキャウフフ(ゼェゼェ)してみたり。そうして撮れたものが表紙になったのであります。

砂浜ダッシュきついー!
4回くらい往復して、全速力じゃなくてもいいことに気づく。(photo: Kei Hirano)


メイクの香織さんが髪や服を直してくれて、敬子さんが撮って、パソコンに反映される写真を河出書房・河出さんがチェック、しているのをアシスタントの平田くんが撮っています。
海岸の使用許可も取ってバッチリ。


エッセイの中のスナップ写真は、同じ3月の別日に撮影しました。ご協力くださった湘南のお店のみなさま、お忙しいなか本当にありがとうございました!

コラボでアクセサリーを作ったり、店内でライブをさせていただいたりとお世話になっている、鎌倉・御成通りにあるブラジル雑貨&アクセサリーショップの「コロリーダス」さん。お店を朝から貸してくださいました。

店内お借りしてヘアメイク。
オーナーのYasuさんと!(photo: Kei Hirano)


由比ヶ浜のレストランOcean Harvest Cocomoさんでも撮影させていただきつつ、ランチタイム。初めて伺ったのは20年近く前なのです。相変わらずの素敵なロケーションと美味しいごはん。

ヘアメイクの香織さんをお友達役にして肩越しに撮ったり。
ランチタイム。フォトグラファーのケイさんに、なにやら熱弁しているアシスタントのひらりん


この2店舗での写真はエッセイの58ページにあります。鎌倉にお越しの際はぜひ訪れてみてね!

エッセイを書く前も書き終わった今も、とってもお世話になっている天狼院書店「湘南天狼院」さんでも撮影しました。

衣装やヘアをチェンジしながら、鎌倉ー由比ヶ浜ー片瀬江ノ島を移動しての撮影。
撮影しつつ、打ち合わせや休憩しつつ、おやつ食べつつ。


天狼院さんでは出版記念トークライブもさせてもらったの。お店のスタッフの皆さんも完成を喜んでくださって、嬉しかったな。


・たくさんの方々の協力を得て続く制作(寄稿、校正)

たくさんの方々の協力を得ながら、制作が続きました。
コラムは、共演の多い気心しれたミュージシャン仲間が寄稿してくれました。

燃える背景(笑)今井亮太郎さんと。

ラジオのパーソナリティを3年半ご一緒した、ブラジル音楽ピアニスト&プロデューサーの今井亮太郎さん。フルーティストの満島貴子さん川満直哉さん。楽しいコラムをありがとう!

たくさんの先輩方、仲間たち。ライブ時にしか会わなくても、人生の時間を少しずつ分け合ってきた大切なみんな。笑い合って語り合って、演奏して。ぶつかったりの時間だっていつでも宝物です。わたしがこうして今も演奏できるのは、共演する素晴らしいミュージシャン、お店のオーナーさんやスタッフの方々、お仕事をくださる関係者の皆さん、そして聞きにきてくださる皆さんのおかげ。


原稿は校正段階になり、編集補佐に宮野真有さんが加わって下さいました。
「校正前に会いますか?」と河出さんが聞いてくださったのだけれど、何も知らない方がチェックするのには良いかも、ということでご対面は完成後のお楽しみに。お互いを知らないからこそできる、客観的な細かな構成が心強かったです。
校正は毎回、頭から湯気がでそうになりました……。

一冊の本を二回校正しました。大変な作業。
もっと長い作品だったらと思うと……すごいことです。


原稿のデータに書かれる宮野さんからの校正、提案やアドバイスは、完成が近づくにつれて「本当にこれで大丈夫だろうか」と不安度が増してゆくわたしに最後の大きな力をくださいました。「よくこの経験を文章にされましたね、どの年代の女性にも刺さると思います。関われて嬉しいです」とメモをいただいた時は、涙が出るほどホッとしたのを覚えています。

発売時の宮野さんのコメント。今でも胸がいっぱいになっちゃいます。


・タイトルを考えるのが苦手!

そう、各お話のタイトル。「もうちょっと捻りましょう、綺麗すぎるから」ということで、だいぶ変わったの。つい歌詞を書く時の感覚で、真面目にしようとしちゃう。例えば、こんな具合です。

前「ハプニングも宝物に」→修正後「ハプニング上等!」
「ギターが運ぶ縁」→「それは何の楽器?」
「小さな声をかき消される前に」→「この声の居場所」
「ほんとうに欲しいもの」→「バツ2、独身、わたしの幸せ」

半分くらい変えたかな。「手に取ったら目次を見るでしょう? どんな内容かなって想像を掻き立てるものじゃないと」。実はわたし、歌詞を書くときもタイトルをつけるのがもッッのすごく苦手です。なかなか出てこなくて、河出さんのアイディアにかなり助けていただきました。ううう。訓練、訓練だ……。

約1000枚の写真の中から、表紙の候補は2つに。タイトルになった「歌って、恋して、生きてやる」は最初は帯のコピー候補だったの。

どっちの写真がいいんだろう‥‥‥??

悩んでいると、河出さんから「こうして並べてみると全然違いますね」と写真が届きます。

いろいろな本の中に混ぜてみる

そんなわけで、表紙は動きの大きな方に決定!

お話をいただいた時の企画書では「波のように 風のように」というタイトルになっていました。エッセイはどのお話から読んでもいいのが魅力だけれど、どう並べたらいいだろう。ただ並べただけでは、なんだかぼんやりしている……。波のように……うーん。

そんなとき、「本のタイトルは、帯の《歌って、恋して、生きてやる》がいいんじゃないか。その方がKarenさんにより合ってる。生きてやる、の《やる》ね、意地のある感じ」と河出さんと宮野さんから意見が出ました。(そんなに意地、あるかなぁ?)と思いつつ、なにしろわたしはタイトル付けが苦手ですから。もちろん異論なし! 自分のことは自分ではわからないものですね。

このタイトル、女性の方々に「タイトルがすごくいい」「タイトルだけで泣ける」と、とりわけ大好評でした。すみません、たくさん「Karenさんがつけたの?」って聞かれたのですが、そんなこんなでして。

サブタイトルも「ボサノヴァシンガーのひとりごと」から「あるボサノヴァシンガーの告白」へ。オビのマイナス100からプラス1になれるまで、という言葉は、わたしが語った気持ちを採用してくださいました。

タイトルや帯コピー、章を分けたり、お話の順番を決めたり。
少しずつ方向性が定まってゆきました。


このタイトルになってから、一気に形が見えてきました。「告白」「歌って」「恋して」「生きてやる」という4章立てになって世界観がまとまり、パズルのピースがバチッとハマりました。
「これだ〜!!」
霧が晴れたような瞬間に、思わず河出さんと拍手!!! 

5月は最終チェックの頃。
本を開けた時の白いチェック柄の紙。あれを「見返し」というのだそうです。可愛い紙でしょう? とっても気に入っています。 白ってな、200色あんねん(突然のアンミカ様)。青みがかっていたり、黄味がかっていたり‥。大好きなブルーにするか、いやいや紺もカッコいい。それはもう、たくさんの色から質感から模様から……。楽しみながら悩んで、選ばせていただきました。紙って大好き!

開いた時の見返しの紙は、表紙にくっついている本が多いのですが、このエッセイは開きやすいように接着していないのです。「読むときに、手に馴染むものを」そんな細かな工夫、紙の厚さや色味、表紙の硬さなど、河出さんの繊細なセレクトの賜物。関わる全員がアーティストだと感じる瞬間です。

河出さんの出版時のFacebookお知らせ。
天然というところには意義を唱えたい。笑


本ってこんなに細かな作業の積み重ねでできているんだと知って、書店へ足を踏み入れた時のワクワクがプレッシャーに変わりました。こんなに大変な作業を経た作品たちが、こんなにたくさんあるんだ…‥。わたしの本も手に取ってもらえるのかしら、って。

・デザインも決まり、ようやく入稿に。

製本されたものを手にできたのが、記念ライブの二週間前でした。無事に間に合う! ほっ! なにしろ本付きの入場料になっていたから。


渋谷のジャズクラブ『Jz Brat sound of Tokyo』でようやく迎えた記念ライブには、たくさんの方が駆けつけてくだいました。

本を手にしているのはデザイナーの高野さん。表紙だけではありません、フォント(ページの数字も!)、余白、もくじ、写真の配置など、本のデザインはとっても細かい作業。柔らかな風が伝わるような、優しいデザインをしてくださいました。

そして一番右は校正・編集補佐の宮野さん。女性らしい感性で、まだお会いできてない時から寄り添ってくださってると感じていたので、すでに大好き♡
お二人には、この日やっと初めましてのご挨拶ができました。

そしてこちらは撮影チーム。左から、ヘアメイク藤原香織さん、フォトグラファー平野敬子さん、わたしの隣はアシスタントしてくれた平田勇二さん、河出書房・河出さん、ライブ時に販売手伝いをしてくださった河出さんのご子息の亮さん。

他にもまだまだ、関わってくださった方がたくさんいらっしゃいます。お会いできていない方も。世の中の様々なものはみんなの手に届くまで、いったい何人の手を通るのだろう。そしてその人たちにもそれぞれ家族がいる……。数えきれないほどの繋がりが、1つの物の奥にあって。幼い頃、えんぴつを見ながら「これもそうやってココにあるんだな、すごいことだなあ」と感じた、あの気持ちがよみがえりました。

音楽もそうですが、なにか作るたびに、そんな原点を感じられるのは大きな幸せです。ありがとうの心はそうやって、たくさんたくさん、縁を通して広がっていくんだよね。

そして、最後はあなたの手に。
この本が、あなたの気持ちをちょっとだけでも楽にしてくれたら、いいな。

引き続きご感想、待っていますね。
(Amazonレビューも書いてくれたら超嬉しい!)


長くなりましたが、駆け足で追いかけてみました。
関わってくださった皆さまそれぞれに、わたしが見ていない作業がたくさんあったことと思います。ありがとうの言葉では言い尽くせない、そんな気持ちです。

大変だったけれど楽しすぎた約2年間の制作。終わってしまったのが寂しくて仕方ありません。おかわりしたい!


今年はトークライブも、もうちょっとやりたいなあ。実は喋るのはとっても苦手なんですが、頑張ってみたいと思います。

取扱店舗、いきさつなどは上記ページへ…

webサイトはこちらから(現在は演奏のライブがほとんどです)

お会いできますのを楽しみにしています!

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