ハラスメントセブン
「動くんじゃねえ! 銀行強盗だ!」
そう叫ぶと強盗の一人が発砲!
客はため息をついて彼らの命令に従う。
サカナシティではこの手の犯罪は日常茶飯事だった。
だが、強盗の指示に従わぬ者がいた。
仕立ての良いスーツを着た中年男性だ。
彼は自身に満ちた足取りで強盗たちに近づいていく。
「動かないでもらえるかな。私はヒーローだ」
中年男性はそう言うとスーツのネクタイを緩め始めた。
強盗たちは鼻を塞ごうとしたが、遅かった。
蒸れた中年男性の肉体が刺激臭を放つ!
「クッセ!!!!」
昏倒する強盗たち!
「一件落着、と。市民の皆さん。もう大丈夫ですよ」
しかし、彼に称賛や感謝の声をあげる者はいない。
市民も悪臭で悶絶していた!
「そんなに臭いか?」
中年男性は独言ると、自分がドアの前に陣取っていたことに気付き、市民たちのために道を開けた。
彼は「ハラスメントセブン」のリーダー、キャプテン・ワキガ。
犯罪都市に必要な仕事をしている、真の英雄だ。
メイクマネー、したいのさ。