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繰り返し読んじゃうエッセイ3作品

きっちゃんからおすすめエッセイのリクエストがありましたので書いてみます。
とにかく繰り返し読んだ3作です。


①村上春樹・安西水丸「村上朝日堂はいかにして鍛えられたか」

村上春樹のエッセイ集。
シリーズでいくつか出ていて、たぶん全て読んでいるんですが今の家にはこれしかなかったです。
みんな言うけど村上春樹が苦手な人でもエッセイはきっと楽しめるんじゃないかなと思います。
個人的に村上春樹の最大の魅力はその文体。
水のように流れる文章のリズムと、脳が気持ちよくなっちゃう例え(メタファー)の跳躍力、そして出来事との距離を常に保った絶妙のユーモア、これが楽しくて読んでるんですね。
おそらく村上春樹が苦手な人は小説に「書かれていること」が苦手で読めなくなってしまうのではないかと想像するのですが(すぐセックスの話が出てくる、とか主人公の生活がやたらにスノッブすぎる、とか)、エッセイは著者の身近な話題しか出てこないので純粋に「出来事の切り取り方・文体」にフォーカスして楽しめます。
安西水丸の挿絵もめちゃ線少ないのに雰囲気やら感情やら伝わってきて最高です。


②若林正恭「ナナメの夕暮れ」

お笑い芸人オードリー・若林正恭のエッセイ第3作。
なにを隠そうオードリー若林は僕が一番好きな人で、その魅力は筆力がついた時に記事を改めて書きたいもんだと思っているのですが、取り急ぎエッセイをおすすめします。
オードリー若林が書くエッセイの最大の魅力、それは「考え方が変わっていくこと」だと思っています。
芸人としてステージが上がるにつれ、年齢を重ねるにつれ、過去の自分の考えを否定して今の自分にしっくりくる考え方を表明していくんですね。
ともすれば軸がないとか無責任とか言われそうな性質なんですが、そんなことちっとも思わないのはどの時代の考え方にも壁にぶつかりながらなんとか思考したという実感がバチバチにこもっているから。
世の中をナナメに見ることに疲れたし飽きた、と冒頭で宣言した若林。
この「ナナメの夕暮れ」ではナナメを卒業した日々の楽しさと、それでも感じ続ける違和感と、憤りのエネルギーがなくなった人間がどうやって走っていくのかが書かれています。
社会人になって、ちゃんと折れて、逆になんかnoteとか友達と始めちゃえる精神状態となった我々にはこの3作目が今ピッタリくるんじゃないでしょうか。


③朝井リョウ「風とともにゆとりぬ」

直木賞作家・朝井リョウのエッセイ集。
とにかく笑えて面白い。
社会人バレーボールのクラブに入ったら自分が一番年上で一番下手だった、結婚式で「今夜はブギーバック」の替え歌をやって大スベリ、就活生との対談を受けたら誰も悩んでいなかった、とよくもこんなにいろんなことが起きるもんだなというエピソードの連続です。
全編通して「場違いな自分」というのが笑いのポイントになっているように思います。
朝井さんは明らかに陰と陽で言えば陰の人なのにとにかく別のコミュニティ(普段とは違う「場」)に飛び込んでいってしまうんですね。
そしてそのコミュニティと自分とのズレから起きるトラブルがめちゃくちゃ面白い。
やっぱり人間自分とは違う考えのコミュニティに飛び込んで、まごまごしてるときが一番笑えるよな、おれもどこか行ってみようかな、と自己啓発本とは全く異なるアプローチで行動する活力をくれる一冊です。
後半には著者の痔との戦いが長々書かれていますが、こちらはただ面白いだけです。


以上です。
なんか思想というか自分のいるコミュニティが出過ぎてる気がしてやや恥ずかしいんですが、ほんとに好きなので仕方ないですね。


いえもん引っ越したんだ!!
これは経緯と家選びの話は聞きたいですねー。
タイBL、広がり方からしてめちゃ「今」って感じでエキサイティングだったんですね。チェックしなきゃ!

サイトウでした。

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