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忘れられない先生

全て、実話だ。


まずは、小学校。
小学校3年の先生だったかな。

隣県から、2時間掛けて通勤していた女性の先生だったが、とても人望の「熱い」まさに熱血教師だった。

全力で怒る時は怒るし、褒める時は全力で褒めてくれる。
今なら、何か言われそうだが、苗字で呼ばず、下の名前で呼ばれていた。

熱い。9歳という、記憶が残り出すであろう年齢の、当時の記憶には、その印象が大きかったが、
私達の進級と同時に転勤になり、その際、先生が下さった一枚の書がある。

その書には、「心」と書かれており、当時の自分達には、何となく、大事な言葉だなぁ…としか思わなかったが、約30年経った今に見返すと、何だかジーンと来る物がある。


心。喜怒哀楽と共に動くもの。

これから、大人になって行く中で、先生は、たった9歳の子供達に、この漢字一文字をどうして残したのだろう。
進学、就職、結婚、妊娠、出産、失恋、死別、昇進…
嬉しいこと、悲しいこと、
生きていくタイミングに付いてくる「心」。
先生が、伝えたかったことを悟るには、少々難しいかも知れないが、お守りとして、持っておきたい思い出だ。

中学校。

テニス部の顧問をされていた先生で、担任ではなかったが、理科教科担当の先生だった。

あまり怒る事もなく、授業も、ごくごく普通だが、生徒からの信頼は、なぜか厚い。
その先生が、とあるテストを作った。

大問題には、「アサリの構造について」とあり、小問題いくつかは、どの部位がどの働きをするかなどを問う問題だったが、最後の小問題で、急に「全体像の絵を書きなさい」という問題が出題された。

だが、よく問題を見ると、アサリではなく、
「アリの全体像を書きなさい」という問題が、書かれていたのだ。

私は、見事にアサリを書いた。
間違えた。
これは一体…。

先生は、アサリの大問題の所に、アリを書く様に作ったテストを、作成ミスとは認めず、よく読みなさいという一点張りでクスッと笑っていた。

それまでの先生のキャラから、生徒達はクレームを出す事なく、やられた!という雰囲気で終わった。
定期テストで、何てことが起きるんだろう。
現在なら、写メを撮って、Twitterに上げれば、バズっていただろう。
中学3年間で、思い出に残った出来事だった。


最後に、高校。

物理の先生だ。
男性の50代くらいの先生だったが、突然、通勤途中に、子犬を拾ったとして、学校に持ち込む事があった。

友達や兄弟に教師がいる年齢になったが、今思うと、優しいのか変わっているのか、ギリギリのところだ。

そして、授業で目を離した隙に、子犬が迷子になってしまわないか心配だからと、他教師には内緒で、授業に、その子犬を持参したのだ。

その子犬は、教室中を駆け巡った。

私達は、授業に集中出来るはずがないが、子犬ゆえ、いかつい野球部の男子に子犬が駆け寄ると、何ともミスマッチした光景に、笑いが絶えなかった。

子犬は豆柴だったが、可愛くないわけがない。
段ボールに入れて、授業を一緒に聞いていたが、可愛くて、気になって仕方がない。

結局、授業が終わるまで一緒に過ごし、子犬は職員室に連れて行かれたが、その先生が、次に、また違うクラスに授業へ行く際は、他の先生がお世話をするハメになった。

翌日は、先生のご家族が、子犬を引き取られたらしいが、校長先生から、授業に連れて行かない様にと、注意を受けていたらしい。当たり前だ。
でも、今思うと、面白かった。

自分達も社会人になったが、当時の物理の先生は、社会人としてどうだったのか。
人としての優しさか、紙一重だ。


ごく普通の授業の日々に、インパクトの残る出来事を作ってくれた先生達。

今なら、教育委員会に、即刻クレームを出されそうな事もあったが、教科を教える以外に、思い出に残る楽しい日を作ってくれた先生に、感謝しかない。


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