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小川航基がカッコいい

先に謝っておくと昨日の試合は見に行けませんでした。
冠婚葬祭の出席用事があったものでDAZN観戦すらできず…。さーせん。

横浜FCを応援してはいますが、その中で誰か特定の選手を特別に推しているという意識があまり無い自分ではあります。
それでも今回は彼についての僅かばかりな個人的な思い入れをダラダラ語らせてください。


自分のサッカー観戦歴から考えた時、その名前を知ったのは結構早い方だったと思う。
2018年。ロシアW杯をキッカケにサッカーを観る楽しさに目覚めていた筆者。
とは言っても当時はまだJリーグまで辿り着いておらず、しばらくの間は海外サッカーと日本代表ばかり追っていた。
(余談だが、そこの詳しい経緯は筆者が別サイトで寄稿した以下のページにて語っていたり。)

上記のサイト内でも語っているが、筆者がサッカーを観ることに興味を持った要因はW杯とサッカーゲームのウイニングイレブン。
中古で買ったウイイレをそれはそれはもう気が狂ったようにお家でやりまくっていた。当時は大学生でした。

当時のウイイレのお楽しみ要素の一つとして、選手を作成したり能力値を弄ったり、人様が作った選手やチームなどのデータをそのまま自分のウイイレ内に落として使うと言ったことが出来た。
また、マスターリーグと言って自分が特定のクラブのオーナーになったという設定でシーズンを通してプレーするというモードも楽しかった。

この2つを組み合わせるのが非常に沼だった。
未来の日本代表を妄想して各若手選手の未来予想図(と言うかほぼ願望)を能力値に反映させて弄り、勝手に設定を弄って有名なクラブに加入させて日本代表を強くした状態でマスターリーグをプレーするという遊びにどハマりしていた。
ウイイレに元々入っている選手は能力を弄って勝手に強いクラブに移籍させ、権利関係の都合で入っていないような選手は自作するか人様のデータを落とし込んで能力弄って(以下略)。

「未来の日本代表スカッド妄想しよ。」のノリを思いついた時、当時の自分はまだ無知だったのでネットで各ポジションの未来のスター候補生について紹介しているサイトを見た。
CF紹介編に載っていたのが小川航基の名前であった。
身長が高い東京五輪代表候補の万能型ストライカー。紹介を読んだところ、そんな書き方をしていた。
とりあえず彼のデータは収録されていなかったので人様の貰ったか作ったかだった。能力値も弄って確かドイツのレバークーゼン辺りに適当に加入させた。

そしてその年の12月。ふとテレビを付けた。NHKだかBSだか忘れたけどJリーグの入れ替え戦をやっていた。J1のジュビロ磐田対J2の東京ヴェルディ。
まだJリーグに興味を持つ前とは言え、自分の地元は最近ジュビロのホームタウンに認定された静岡県浜松市。
親父はかつてジュビロのコアサポだったため、何回か試合や練習見学に連れられた記憶もある。昔の黄金期のメンバーも少しは覚えていた。
そんな縁もあり、ジュビロという名前にはどこか他人事になれない自分がいたため、何となく惰性でそのままテレビを観ることにした。

試合は0-0の展開でジュビロがPKを獲得。PKキッカーとして小川が出てきた。
あれ、小川やん。そっか、ジュビロだもんね。
そんなことを思った直後、彼は淡々とPKを決めた。ジュビロ先制。
結局試合はジュビロが勝ち、入れ替え無かったんやなあ、ってかJリーグ見てないしよく分からんなあと思いながらテレビを消した。
本当それっきりだった。

それ以降は相変わらず海外サッカーと日本代表しか見ない日々。
ただ、その最中で何となく気になることはあった。
小川って人、何か期待されてた感あった割に全然代表入りしてこなくない?と。

たまに状況を知りたくてネットで彼の名前を調べたりしていたと思う。
何となく察するものがあった。彼、壁にぶつかって苦戦してるんやなあと。
2019年はJ2の水戸にレンタル移籍していた。

2020年。筆者の社会人一年目かつコロナが流行り出した年。そして筆者がJリーグもとい横浜FCの沼にハマり出した年。
キッカケは友人からの布教。こちらも詳しくは下記にて。

気付いたら何となく横浜FCを追い、金と時間がある時は三ツ沢に通うという生活が始まった。
降格無しレギュレーションではあるものの、下位3クラブ入りを辛うじて避けて期待の若手をたくさん見出した2020年。
最下位をひた走り、夏場に多くの助っ人外国人選手を補強したものの願い叶わずJ2に降格した2021年。
何だかんだ2年間は惰性的な部分もありつつ横浜FCをまったりと追っていた。

そして2021年末から2022年頭にかけてのこと。
瀬古樹や松尾佑介といった若手の主力を次々と上位クラブに持っていかれる反面、多くの新加入もあった。
横浜FCのクラブ的な立ち位置から考えたら、なかなかに良い塩梅の新加入選手がたくさん来たなという印象を多くの人が抱いたであろうことは記憶に新しい。
そしてその新加入選手の中に彼の名前もあった。小川航基がジュビロ磐田より完全移籍にて加入。

2020年、横浜FCと入れ替わるようにJ2へ落ちていたジュビロはその年にまたもや横浜FCと入れ替わりでJ2からJ1へ昇格を果たしていた。
つまり、もの凄い悪い言い方をするならば小川はジュビロにJ2へ置いていかれた形。
(実際はジュビロ側も慰留していた等の背景があるかもしれないため、一概にジュビロが捨てたかのような言い方はしてはいけないが。)

更に2021年と言えば延期になっていた東京五輪が開催された年。
東京五輪が近づくにつれてCFの代表候補として名前が上がるのはいつしか小川以外の選手ばかりになっており、結局本選でもそこに彼の名前は無かった。
東京五輪世代期待のホープと称されていた小川は、代表落選という結末で五輪の時期を迎えていた。

少なからず縁を感じていたジュビロ磐田、そして何気ない理由ではあるもののサッカーを観始めるようになってから比較的早い段階で名前を認知した小川航基。
そんな彼が心機一転を図って現在自分が応援しているJクラブに加入してくる。薄らと不思議な巡り合わせを感じる彼を歓迎しない理由は無かった。
(ジュビロに縁感じるなら応援しろって思うよね。ごめんなさい。)

歓迎するとは言え、彼が近年で味わっていた挫折の数々。そしてサウロミネイロらブラジル人ストライカーがJ1で局所的に発揮していたポテンシャル。
そんな状況を踏まえ、正直なところ彼がレギュラーに定着するとは思っていなかった。今だからこその懺悔。
J2は外国人枠がJ1よりも少ないうえ、GKのブローダーセンとCBのガブリエウは試合に出れるようならば決して外せない序列。
そうなってくると前線の外国人枠を上手くやりくりする必要が出てくるため、小川は謂わばその際にCFへ日本人を据えたい時の埋め合わせとして需要がある存在だと思っていた。

そして迎えた開幕戦。横浜FCの応援に足を踏み入れてから3年目で初の開幕戦現地観戦。
スタメンには小川の名前があり、彼がレギュラーとしての序列を勝ち取ったことを察した。
そしてその試合で1ゴールを決めた。決して綺麗なゴールとは言い難かったが、何か彼の転機となる予感を感じさせる大きな1得点に思えた。

そこからの活躍は説明不要。
様々なパターンでのフィニッシュを多くの試合でかまし、横浜FCに新たな風を吹かせる選手として日に日に存在感を高めていった。
彼の活躍に対して次第にメディアや他チームのサポーターも騒ぎ出すようになり、彼がサッカー選手としての階段を駆け上がっていることは側から見ていても明確だった。

特に横浜FCにとっての十八番プレーだなと感じるのは長谷川竜也がサイドから斜め方向にクロスを上げ、ゴール前に入ってきた小川が頭でボールを押し込んでフィニッシュというもの。
その十八番プレーが(100%では無いが)もう見れなくなりそうなのは寂しいところではある。

結果的にその年は横浜FCも1年でのJ1復帰を果たし、小川個人はシーズン26点の活躍でJ2得点王、J2ベストイレブン、J2MVPの3冠を達成。
シーズン途中を含めてJ1クラブや海外への移籍の噂も浮上したが、少なくとも翌シーズンの開幕時には横浜FCにいることが決まった。

そして今年、2023年。横浜FCは相も変わらずJ1での戦いに苦しんでいるが、小川自身は今季ここまでで6得点を記録。
そして夏を迎え、来るべき時が来てしまったというのだろうか。オランダ1部・NECへの移籍濃厚との報道がリリースされた。

正直、想定内ではあったし何より彼の背景を知っているからこそ快く背中を押したいもの。

これ背中押してんのか…?



これは小川に限らずな話だが、横浜FCに在籍する生え抜き以外の選手はその多くがJ1常連クラブで挫折を味わったか、J2にずっと在籍し続けていた状況から挑戦しに来たかの2択に分かれると思う。
他のJ1常連クラブに比べると新興のクラブであり、プレミアリーグの一部クラブみたいにオーナーが石油王という訳でも無いため、クラブのブランド力や札束ビンタで獲得できるクラスの選手が易々来る立場ではない。

ただ、だからこそ「カッコいい」と思い、沼にジワジワとハマるのかもしれない。
もちろん異国の地で日々鎬を削るサッカー選手もカッコいいし、J1常連クラブとしてのプライドを背負って挑み続ける選手もカッコいい。
スポーツを応援する以上、そこには様々な形のカッコいいがある。
その中で筆者は横浜FCの選手たちが体現するカッコいいの形に惹かれているという話。

前はJ1上位を争うクラブに所属して準レギュラーのラインまで行ったが結果を思うように出せず、挫折した者。
アマチュア時代はJ1常連クラブのユースチームにいたが結局トップチームまでストレートで上がってくることができなかった者。
J1の舞台初挑戦の者。
なんて言うか全員、泥臭くてカッコいい。チャレンジャーかつリベンジャーであるその姿がとてもカッコいい。
まだまだ足場を固め切ってはおらず、J1とJ2を行ったり来たりするレベルのクラブはそういったカッコよさを含んでいると感じる。
彼らはきっと間違いなく今後も何回か壁にぶつかると思われる。ただ、彼らだからこそ壁を打ち破る素質はあると思う。何回だってカッコいい姿を我々に見せてくれる気がする。

話を戻すと、小川は言わばそんなリベンジャー軍団の一員として欧州への挑戦権を手に入れようとしている。
挑戦権を手に入れた後、彼もまた何回か壁にぶつかることはあると思う。
そうだったとしても、一度2022年は彼なりのリベンジを成功させている実績があるからこそ、そんな壁を打ち破ってくれる気がしてならない。

いつぞやにネットのどこかしらで見かけたサッカーについての書き込みがある。
「次回の2026年W杯。東京五輪世代が最も脂の乗った年齢として迎えるこの大会で、かつて東京五輪代表から外れてしまった小川航基が最後のピースとして日本代表にハマり、ベスト8に進むというシナリオを見たい。」
漫画みたいな話だけど、筆者もこんな物語を妄想しながら彼の背中を押し続けたい。

そしていつしか彼が自分の宣言通りに日の丸を背負って戻ってきてくれた時。
筆者が真っ先に思うことはお帰りや頑張れといった言葉じゃないかもしれない。
「カッコいい」

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