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【小説】 紅(アカ) 別の世界とその続き 第23話
第23話
「ここの長老よ」
タコの長老は、僕らの方をチラリと見てアンナに言った。
「代わりの門番を見つけたのだな」
アンナは妖艶な笑みでゆっくり頷いた。
代わりの門番? どういう事だ?
アンナはリリーに「後は頼んだわ」と言うと、リリーはコクリと頷いた。
リリーが頷くのを見て、アンナは安心した様に優しく笑った。
そうしてアンナがタコの長老のそばに寄ると、タコの長老は手を一振りした。
アンナの鱗はボロボロと剥がれていき、僕らを囲っている水面にへばりつきキラキラと光を放ち、僕らを鏡の様に映し出した。
アンナ自身も粉々になって無くなってしまった。
リリーはアンナから聞いていたのか驚いた様子は無く、ただ静かに涙を流していた。
タコの長老が言った。
「さあ、扉は開かれた。どんな姿になるかはお楽しみだ」
そう言うと、僕らの体はキラキラと光りだし、僕の腕は鱗の様なもので覆われ始めた。
目の前では、リリーも姿を変え始めていた。
彼女が人魚だったら、この世の生き物とは思えないほどに美しいに違いない。
僕は変わっていく彼女の姿に息をのんだ。
彼女の体はみる見るうちに美しく光る鱗に覆われ……半身が、魚になった。
……いや、まだまだ変わり続け……顔の半分までもが……魚になってしまった!
あまりに予想外の事態に、僕は言葉を失ってしまった。
彼女は姿を変え終えると、すぐに周りに映し出された自分を見た。
「何で? これが私なの?!」
彼女の悲しい声が響いた。
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