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嘘の手術が痛みを緩和した!?

一言でいうと

意味のない手術が狭心症の症状を緩和した

活用シーン

思い込み・プラシーボ効果

内容

1950年代、狭心症の治療として胸腔内のいくつかの血管を縛る手術をする、というものが一般的だった。当時は、そうすることで別の血管が生まれ、血液循環が良くなると考えられた。(のちにこの手術は何の意味もないことが判明する)

この治療法が有効と考えられていた1958年、ある実験を行った。
5人の患者に対して、胸を開いたものの血管を縛ることなく皮膚を縫合した。(今なら倫理的理由から認められないと思われる実験)
一方、13人の患者には実際にその手術を行った。患者には誰が本当の手術を受けたかは知らせなかった。

けっか、全体の76%が狭心症の改善を示した
さらに、見せかけの手術を受けた5人は全員が改善したという。

『しらずしらず――あなたの9割を支配する「無意識」を科学する』レナード・ムロディナウ (著)

本来、まったく意味のない手術。
これがそもそも76%もの割合で、症状が改善したという。
そして当時「正しい」と思われていた術式さえ行われなかった患者5人は、全員が症状が改善した…と。

なんとも不思議なのですが、これこそが、プラシーボ効果なのでしょう。実際に、薬などの治験において、プラシーボ効果は非常に重要視されていて、必ずその効果を前提としてその薬効が評価されるようになっています。

つまり、治った気になれば、実際に治る、ということが一定確率で起こるわけです。これは非常に興味深い話ではありませんか?すごく極端な言い方をすれば、病は気から、ということになってしまいそうです。


一方で、本論とは少し違う話ですが、当時、そんな手術がなんで行われていたんだろう?とちょっと不思議になってしまいます。胸腔内の血管を縛れば別の血管ができるだろう、そしてやってみたら、患者の痛みは改善したようだ。その後、患者が死亡したのちに調べたら、誰一人新しい血管など生えてなかった。あんまりにもずさんな気はしますが、それが1950年代の医学なのでしょうね。こういった手術をやれば、一件治ったように見えるからしばらく続けられていたのでしょうし。
治る確率は、「その人の自然治癒力」あるいは「思い込みの深さ」次第だったということなのでしょうか。

程度の差こそあれ、今の医学もまた、100年後からするとわりと勘違いとまではいかないまでも、「こんな治療なんでやってたの!?」ということも出てくるかもしれません。

私達は、自分に見えない世界を見ることができないのだから。


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