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ご褒美は人のやる気を奪う!?

一言でいうと

報酬で人のやる気はコントロールできない(むしろ逆効果になることも多い)

活用シーン

組織マネジメント、人事、教育

内容

1978年マーク・レッパーとデイヴィッド・グリーンという心理学者の研究。

幼稚園児を数日間にわたり観察し、「自由遊び」の時間に絵を描く子どもを見つけた。そして彼らを三つのグループに分けた。

A【賞がもらえることがわかっているグループ】
一人一人に「よくできました」と書いた賞状をみせ、「これがもらいたいか?」と訊ねた。描けたのちその賞状を渡した。

B【賞をもらえることを知らないグループ】
子どもたちにただ「絵を描きたいか?」と訊ね、絵を描き終えると「よくできました」という賞状を渡した。

C【なにももらえないグループ】
「絵を描きたいか?」と訊ねたが、賞を約束することもなく、終了後に賞状を渡したわけでもなかった。

それから二週間後の自由時間に、子どもたちに紙とペンを用意した。
B(賞をもらえることを知らない)グループと、C(賞をもらえない)グループは、以前と同様たくさんの絵を以前と同じくらい熱心に描いていた。

しかし、Aの賞をもらえることがわかっていたグループは、実験前より絵に対する興味を大幅に失っており、絵を描く時間も格段に少なかった。

予告してもらえた賞は、報酬となり、
絵を描くことは報酬と引き換えの交換条件になった
と考えられます。

『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』
ダニエル・ピンク (著)


仕事って、苦しい事でしょうか?
それとも楽しい事でしょうか?

実は、報酬は人のやる気(内発的動機)を奪うことがあると言います。
報酬を与えたときから、今まで「ただ楽しいからやっていた事」が、報酬と交換でやる「仕事」にかわるようです。

今よく「好きなことで食べていく」という事が言われますが、実はこれも報酬が伴うと、普通に「仕事」になるのかもしれません。そういえば、あるYouTuberが「自分達は遊んでいて報酬をもらってると思ってるかもしれないけど、けっこう大変なんだよ」と言っていたのを思い出します。

毎回ネタを考え、撮影し、編集する、というのはけっこう大変な作業。
さらに、再生回数が伸びる、伸びないというところで一喜一憂。
報酬とやることが結びつくと、その努力は苦労にかわるのかもしれません。

今回引用した研究は、モチベーションに関してとても有名な実験です。
すでに1970年代には「ニンジンをぶら下げる」というマネジメント手法はあまりうまくいかないという結論が出ているにもかかわらず、今もそれを盲信している人がいます。

それも無理もありません。
先輩はそうやってきたし、一時的にはそれで成果が上がるからです。
誰も違う方法を教えてくれないから、自分で研究しないといけないのですが、管理職の役割がちょっとズレて認識されているから誰も研究しない。
という事で結局、前時代的なマネジメントが繰り返され、今の時代はそのツケでメンタルヘルス問題がクローズアップされてきているんだと思います。

それを解消するすごーくシンプルな方法は、
会社やチームが、メンバー全員がコミットする目標に向かう、という事。
いいことをやろう!という会社やチームは、社内のモチベーションも高いのではないでしょうか。

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