自信

申し遅れたが、わが家では猫を飼っている。

生まれて間もない保護猫で、知り合いのそのまた知り合いの、犬と猫を多頭飼いしている家から来た。

もらったときは気づかなかったけど、水も餌も満足に与えられなかったのか衰弱していて、うちに来てすぐに餌も受けつけなくなった。大きな動物病院の獣医も匙を投げたが、さいわい 保護猫会のかたで引き受けてくださるかたがいらっしゃり、１カ月つきっきりで面倒を見てくださったおかげで、すっかり元気になって戻ってきた。今では、そんなことがあったのが信じられないくらい。

自我が形成される一番大事な時期に猫好きのかたに可愛がって育てられ、よくなつく性質の大型の長毛種が色濃くかかっていることも手伝ってか、本当に人なつっこい猫に育った。食べてるときと寝てるとき以外は甘えているといっても言い過ぎではないくらいで、こっちが何もしなくてもしょっちゅうゴロゴロいってる。

必殺技は いわゆる「へそ天」で、

①ひっくり返って腹を出す
②両手を胸の前で揃える
③こっちを見る

そういつも相手にしてられないし、朝なんかは時間がなくて無視することが多いけど、全然へこたれない。何度でも繰り返す。どきどき自分が何をしてたか忘れて、ひっくり返ったまま天井を見て考えごとをしてるときがある。すぐ横を通ると、

④甘えた声で鳴く
⑤両手で足首をつかむ

の連続攻撃があり、これに

⑥ 足を甘噛みし、舐める

が加わると、魅力に抗することがほとんど不可能になる。

風薫る

横になっているとすぐそばにきて体をくっつけて座る。ご飯を食べてると用もないのに食卓に上がって座る。出かけるときは玄関で見送る。帰ってくれば玄関まで迎えに来て鳴く。洗面台の前に立つと後ろでへそ天してる。飼い主は皆同じ気持ちだと思うが、もし「可愛い猫選手権」があったら、少なくともうちの町内くらいは軽いと思われる。タイトルを「自信」としたのは、他でもない、うちの猫の可愛さのことなんです。