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タサン志麻さんから学ぶ、ストレスの少ないつくりおきごはん


今から2年前の2019年。
私はこれから迎えるワーママ生活に備えて、仕事から帰宅後にスムーズに料理をしたいな…と思っていました。

そんな時に見つけたのが「つくりおきマイスター養成講座」という講座でした。

講師は、伝説の家政婦、タサン志麻さんと、家事代行タスカジの人気家政婦、スズキヨさんこと鈴木清美さん(現在志麻さんは講師を卒業)。
「2時間で12品つくりおきする」ことをレクチャーしてくれるのです。

家事代行界で人気の2人が教えてくれる、ストレスなくつくりおきできる技術とはどんなものなのか。どのくらい楽になるのか。

そんな期待や不安、興味本位を持って講座を受けにいきました。


そもそもつくりおきマイスター養成講座とは

そもそもつくりおきマイスター養成講座とはどんな講座なのでしょう?
講座のホームページではこんなふうに書かれています。

講座では、「基本のつくりおきメニュー」をマスターすることを目標に、
・献立の組み立てスキル
・調理手順の段取りスキル
・食卓を彩るスキル
・保存スキル
など、つくりおきならではのスキルを身につけることができます。

なるほど、料理が苦手な人だけでなく、料理が好きな人にとっても、よりラクに楽しく作れそうなスキルを教えてくれる講座かのかなあと感じます。


予想外の展開、実習ではなく座学だった

いざ受講することが決まり、しっかり受講案内を確認したら、なんと「がっつりと勉強」なのです。

それも朝から夕方まで座学とワークが5時間と盛りだくさん。

調理実習はというと…ありません!
料理を習うのに実習がない!そのことにまず最初拍子抜けをしました。

ここで思い知るのです。あ、これは単なる手先の技術を学ぶだけの場ではない、もっと壮大なことが始まろうとしているんだ…ということを。


座学ではワークをした

さて、いったい講座ではどんなことを学ぶのでしょう。

学んだ中で一番大きなことは、ストレスなく料理をするための仕組みや流れ、考え方。料理ってこれをお仕事にしてない人にとってはとてもプライベートなことです。

もちろん手際の良い人や感性の良い人もいますが、多くの人は仕事のように段取りやテクニックなどを常に追求して料理しているわけではないと思います。

しかし講師の志麻さんとスズキヨさんはプロとしてお仕事をしていて、仕事ならではの段取りやテクニックを持ち合わせています。その舞台がたとえ家庭の台所だとしても。

そのテクニックを私たちも再現できるようにと、まずは手元に書き出すワークをしました。

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(作業を書き出すワークシート)

写真は、料理の作業工程を書き出すワークシートです。横軸は作業場所、縦軸は作業時間(分数)になっています。

例えば3品作る時には、メニューごとにふせんで色分け。作業内容と時間を書いて、作業場所とタイムテーブルに落とし込んでいきます。

こうやって書き出してみると、何となくやっていた作業が、一目瞭然でいつ・どこで・どうやっているか分かります。

なんていうかもう、それはまるでパズルのようでもあり、脳内整理のようでもあり、そして仕事の棚卸しと全く同じなんです。

志麻さんやスズキヨさんの頭の中では、このシートの内容が常にワークしているとのこと…

すごい、ちゃっちゃと段取りよくやるってこういうことか!脳みその中をチラッとのぞき見させていただいた気分になりました。

とはいえ料理をするたびに、いつもふせんワークをするわけにはいきません。

この作業のように繰り返し段取りをシミュレーションをすることにより、最終的には頭に入れた状態で、手元が動けるようになることがマイスターとしてのゴールです。

くー!!自宅のキッチンで練習あるのみ…!


道具と感覚にこだわる

ふせんワークのような段取りは、スピードを上げることの一つとして大切だけど、志麻さんは特に適切な大きさの調理道具を使うことにもこだわってました。

大きい鍋やフライパン、小さい鍋にフライパン、それらには意味があってその大きさ。適切な大きさを選ばないと風味や仕上がり、仕上がり時間などに違いが出るんだそう。

ちょっと面倒でその辺に適当にある道具を使ったりしてしまいます。
私もたまにやってしまう…でも大は小を兼ねる、とは限らないんですね。
これはかんたんに取り入れられそうだと思いました。

もう一つの大切なことは、自分の感覚にこだわる、ということ。
目方やレシピ本の分量が必ず正しいとは限らない。これって疑うことがあまりないことのように思われますが、でもそうなんです。

正解って本当はない…自分の舌で日々味を確認して、自分なりの分量を感じることで目分量もとい舌分量が鍛えていかれるものなんだなあ、と。

味だったり、食材の組み合わせだったり、調理法のチョイスにしても「これをこうしたらどうなるかな」という好奇心が型に縛られない自由で自分らしいものを生み出すんだなあと思わされました。

発想の転換力にこだわる

そして、毎日の料理で多くの人の頭を悩ませることである「飽きない、ストレスない」のコツは、発想の転換力にこだわることでした。

そのひとつ、「常備菜=つくりおきではない」ということ。
つくりおきってどうしても常備菜のイメージがあるし、常備菜って飽きるし、日持ちが気になるし、おいしくなくなってしまわない…?って疑問に思う人も多いはずです。もちろん全部が常備菜で1週間日持ちするわけではないですし、夏場だとやっぱり痛みも早いですよね…。

講座で聞いて目からウロコだったのは、「半調理品や冷凍しておくものだってつくりおき」ということ。
改めてはっとしました。確かにハンバーグの種を作っておくこと、焼く前の下味をつけたお肉を用意しておくこと、それだけでも立派なつくりおきなのだ!そう思うと、ちょっと気が楽になったように思います。

そしてもうひとつ大切なことは、「味×調理法のパターンを作っておくこと」。

料理って実はシンプルです。①調理法×②調味料×③素材を掛け合わせたものだと思っています。

素材はそのままでも、①と②を一つでも何か変えれば、全く違うものになる!それを考えるのが億劫になっている人も多いと思います。

同じ鶏肉を調理するのでも
塩焼きにするか、塩蒸しにするか?
味噌焼きにするか、味噌煮にするか? 

これだけで全く違う料理が出来上がる。

難しい事をしようとしなくてもちょっと軸をずらすだけでいい。そのコツがわかれば長続きするのだなと思いました。

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(講座を踏まえて1時間で8品調理)

ストレスなく作るには仕組みと効率を知ることが大事


毎日の料理って特に誰かにしっかり習ったのではなく、なんとなく家事の一つだからみんな始めわけで、深く真剣に考えることってあまりないのかもしれません。だからこそ「ストレスなく楽に」を探すのって難しく感じます。

こうやって講師のお二人の話を聞いて感じたのは、料理を作ることに必要なのは、感覚や技術だけではなく、知識と仕組みなんだなと思いました。

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(この日は30分で4品調理)

食べることは生きること

講座の最後に、食べることは生きることであり、食卓は家族や友人、知人とをつなぐ豊かなツールであって、ストレスを溜めるものではない。どうかコツを覚えて効率よくなり、その空いた時間で豊かな交流を楽しんでほしい、という一言がとても印象的でした。

そうなんですよね。作りおきをすることは、そのことが目的ではなく、もっとその先にある豊かな時間に目が向けられるようになると、きっと目の前のこともストレスに感じられなくなるのだろうな。

志麻さんやスズキヨさんのテクニックももちろんですが、食を通じた深い人生哲学を学んだ、充実の1日でした。

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