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ギリシャ2週間 <アテネ その2>


アクロポリス博物館

アクロポリスのすぐ近くにあるガラス張りのモダンなデザインのアクロポリス博物館2009年に開館した。
ホテルからすぐ近くなので、夕方、閉館前の時間に行ってみた。

アクロポリス博物館
アクロポリス博物館 夜景

博物館は遺跡の真上に建てられている。入り口あたりでもカフェに座っても、発掘現場がよく見える。

アクロポリス博物館 入り口下の発掘現場
アクロポリス博物館 遺跡はカフェのすぐ下にも見える

入館するとQRコードをスキャンして英語のオーディオガイドが利用できる。
ヨーロッパの建物は、ホテルでもそうだけど、日本の1階にあたる階はグラウンドフロアで、日本の2階が1階になる。入り口のグラウンドフロアから1階に行くにはアクロポリスの丘に続く坂道を表わしているスロープを歩くという趣向。床はガラス張りで発掘現場が見える。両側には古代アテナイの人々の生活で使われていただろう出土品の展示。

アクロポリス博物館 ニケ像
マスクを持つ子供のディオニソスを担ぐパポシレノス
ディオニソス劇場にあったとされる
パルテノン神殿屋根の部分か

パルテノン神殿の壁上部をぐるっと囲む一連の彫刻のレリーフはフリーズといわれていて、3階のパルテノン・ギャラリーには、それらのレリーフがパルテノン神殿と同じサイズの四方形で展示されている。目の高さにしてあって歩いて回れるのが良い。アテナイのお祭り、パナテナイア祭(「全(pan)アテナイの(athenaia)(祭り)」)の行列の様子がレリーフになっていて、当時の様子がうかがえるようになっている。

3階のガラス窓の向こうにはパルテノン神殿が見える。

アクロポリス博物館からの夕日とパルテノン神殿

なお、アクロポリス遺跡をいろいろと回りたい場合はこちらの記事に最新事情が詳しく書かれているので要参照。


シンタグマ広場

翌朝、ホテルのお姉さんのオススメに従って地下鉄でシンタグマ広場に向かった。地下鉄のシンタグマ駅はアクロポリスから一つ目。アクロポリスの地下鉄駅はアクロポリ駅といって、遺跡からの出土品の展示があったり、プラットフォームの壁がパルテノン神殿のレリーフのようになっていたりとかで博物館風、さすがアクロポリスの駅。

アクロポリ駅

シンタグマの駅を出るとすぐ広場があって、そこは国会議事堂前。無名戦士の慰霊碑があって、その前で慰霊碑を守っている民族衣装の兵士が2人、微動だにせず立っている。その2人が入れ替わる交代式が毎日1時間ごとにあって、朝9時に見学に行った。兵士達は機械仕掛けのような動作で動く。観光客が喜ぶ。日曜にはこの交代式が大規模になってもっと観光客が来る。がんばれ。

シンタグマ広場

シンタグマから歩いて15分ぐらいで古代アゴラ周辺の古い街並みに着く。途中、美味しそうなスピナッチパイ(スパナコピタ)の並ぶカフェやベーカリーは眺めるだけで通り過ぎ、道中現れたギリシャ正教会を横目にどんどん歩いていく。

下段が大好きなスピナッチパイ(スパナコピタ)
ミトロポレオス大聖堂

ちょっと肌寒いのに半袖Tシャツ姿だったので、近くのお店で長袖シャツを買うことにした。まだ10時前なので開いているお店があまりない。一軒開いていて、ちょうど欲しかった長袖のコットン白シャツが店頭に並んでいたので、それを買うことにした。驚いたことに、奥から出てきた店員さんが、なんとジブリ映画の老婆そのまんま。「ハウルの動く城」のヒロインの女の子ソフィーが魔女に呪いをかけられて老婆になった姿。その人が25ユーロだと言ってくる。しかも現金のみと言う。ちょっと高いなと言って立ち去るフリをした。でも、魔女の呪いでこんな姿になったのかもなんて「ハウルの動く城」思い出していたら笑えてきて、結局25ユーロで購入した。ちょうど現金もあって、支払うと、彼女は歯抜けの素晴らしい笑顔を見せてくれた。
途中ローマ皇帝だったハドリアヌスの図書館とかがあったけど、そこは外だけ見てパス。

ハドリアヌスの図書館

そんなこんなでダラダラと歩いてやっと古代アゴラに到着した。アテネの観光地は歩くと面白い。

古代アゴラ

ラッキーな日だった。その日、4月18日は国際モニュメントデーとやらで入場無料だった。アクロポリスとほかの遺跡とのコンボチケットを前もって買っておいたりするのもお得だけど、この日みたいに下調べせずに行って無料だったりすると嬉しさが倍増するのは間違いない。ほかにもある入場無料日を押さえておけば、混んでるかもだけど、無料で色々といけるので、一応ページ最下部にリストしておこう。

古代アゴラについても、以前少し書いた。アクロポリスが戦争の勝利を祝って建設された神殿の並ぶ聖域だったのに比べて、こちらは政治経済や文化の中心地だった。ソクラテスもここにいたんだなと思って歩いていると、ソクラテスと孔子が並んでる像があるではないか。冗談だと思うけど。西と東の聖人が人生について語る、そんな光景が本当にあったのなら。。。

孔子とソクラテスの像(ほんとに一緒にいたわけじゃないけど)


アッタロスのストア(柱廊)は1950年代に復元されて、中は古代アゴラ博物館になっている。もともとは紀元前2世紀に、現在のトルコにあったペルガモンのアッタロス王がアテナイで学問ができたことのお礼として送ったものという。この北部にもこのようなストアが古代にはあって、それがストア・ポイキレと呼ばれていたもので、ストア派哲学の発祥地になった場所。
このアゴラは様々な公共施設が配置された広場や市場で、アテナイ市民交流の場だった。ただし、アテナイでは市民は18歳以上の男性のみで、市民の中でも所有する土地の大きさによって等級が1から4まであって、第1級と第2級が貴族でこの人達は馬が買えるほど裕福だったので戦争では騎馬兵、第3級と第4級は平民すなわち農民だったので歩兵。女性は市民権はなく、奴隷も多くいた。
商業の中心地でもあったことからstoreという英語の語源もここからきている。

アッタロスのストア
アッタロスのストア内の古代アゴラ博物館
古代アゴラ博物館に展示の陶器

英語のceramics (陶器)の語源になっているギリシャ語のケラモス、その陶器で栄えたアテナイの一画の街ケラミコスがアクロポリスの北西にある。ここにも英語の語源となる言葉があった。そこからスタートしたのが毎年7月に行われたパナテナイア祭の行列で、その行列がこのアゴラを通ってアクロポリスのエレクティオン神殿まで続いたのだった。そうかこのアゴラは、日本で言うと門前町のような役割もあって、聖域まで続く道のりにあって庶民の楽しみの場所だったのかもしれない。この行列を思い浮かべると祇園祭が思い出される。お祭りの日には、女性や奴隷さん達もここに来て遊べていたのだといいけど。

古代アゴラからアクロポリスへ続く

この古代アゴラでも少し小高い丘にあるヘーパイストス神殿は、7世紀ごろから19世紀までギリシア正教会の教会としても使用されていたためか、建物は最もよく保存されているといわれている。古代ギリシャでは、この神殿には、炎と鍛冶の神であるヘーパイストスの像と工芸の女神アテナの像が並んでいたという。

ヘーパイストス神殿が遠くに
ドーリア様式のヘーパイストス神殿 
ヘーパイストス神殿

ギリシャの博物館・古代遺跡が入場無料の日

3月6日:メリナ・メルク―リ記念日
3月25日:独立記念日、一部博物館の入場が無料
4月18日:国際モニュメントデー
5月18日:国際博物館の日
9月第3週の土日:ヨーロッパ文化遺産の日
10月28日:オヒ・デー、一部博物館の入場が無料
11月~3月の毎月第1日曜日(国家所有の古代遺跡、記念碑、博物館が無料。アクロポリス博物館は国営でないので対象外)


続く。。。
ギリシャ2週間  <アテネ その1>
ギリシャ2週間<デルフィ>


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