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定期テストに向けて効果的なスケジュールは?

以下は、私が中学校で数学を教えていたころに
中間テストや期末テストに向けて行っていた
2種類の授業スケジュールです。

2種類のスケジュール

どちらも前提として、
単元①がテストの出題範囲になっていると考えてください。

スケジュールA(~2015年度) 
テストの数日前に単元①の授業完了
 ※前日に完了することもありました…

スケジュールB(2016年度~2021年度)
3週間から1か月前に単元①の授業完了  
テストまで、単元①の復習次の単元②の内容を並行して授業に組み込む 

テスト結果は、圧倒的にスケジュールBで実施したほうが良好でした。

しかも、スケジュールAの場合、定期テスト終了後、期間をあけると
単元①に関する知識を多くの生徒が忘れてしまう傾向にあるのに対し、

スケジュールBの場合は、テスト終了後でも
単元①の知識は忘れにくく、思い出しやすい状態をキープしている
傾向にありました。

「ツァイガルニク効果」と「レミニセンス現象」

考えられる理由は

スケジュールAの場合

・テストまでの準備期間が短いため、
 単元①に関する知識が整理できず、習熟度を高める時間がない
(内容を理解できても、その知識をうまく活用できるようになるためには
 練習が必要)
習熟度が高まらない状態では、知識や技能を使いこなせないため、
 少しひねった問題になると対応できない。
・テスト直近に一気に知識を詰め込むことになるため、
 記憶の干渉が起こりやすく、忘れやすい状態になってしまう。
・テスト終了後、「単元①の勉強が終わった」と意識しやすくなるため、
 ツァイガルニク効果により一気に忘れてしまう傾向になる。

※記憶の干渉
記憶同士が影響を与えあって知識が曖昧になったり、相殺されたりすること

※ツァイガルニク効果
達成できた出来事よりも
達成できなかった出来事のほうが記憶に残りやすい現象

スケジュールBの場合

・テストまでの準備期間が十分にあるため、
 単元①に関する知識を整理し、習熟度を高める時間がある
・次の単元②と並行して学習するため、単元②の新しい知識を理解する際、
 単元①の知識や考え方を脳が無意識に活用して理解を補助するので、
 知らず知らずのうちに単元①の理解が深まりやすい状態になっている。
・単元①の授業が完了しても、授業中に単元①の復習をしたり、
 定期テストが控えていることを意識したりするため、
 単元①の区切りがついていないから、ツァイガルニク効果によって
 記憶に残りやすい状態になっている。
・適切な復習で単元①の知識の活用を繰り返し、
 睡眠を重ねることによって、
 脳が無意識に単元①の知識を整理し、理解を深めていくので、
 レミニセンス現象が期待できる状態になっている。

※レミニセンス現象
学習したことが一定時間インターバルをとることにより理解が深まり、
そのパフォーマンスが向上すること。

などがあげられます。

もちろん、スケジュールBを実行しても、
テストまでに単元①の復習を適切に行わなければ
ただただ時間が経過するだけで、
単元①をすっかり忘れたころに定期テストを実施することになり、
結果にはつながりません。

定期テスト改革⁉

では、このように効果があるならば、
すべての教員がスケジュールBで実施すればいいのではないか
と考えたいところです。
実際、私も務めていた学校の先生方に推奨しましたが、

・教科の特性が違う。(授業の進め方やテスト範囲の決め方など)
・授業中に行う適切な復習の準備や設定が難しい。
 (復習プリントの準備、授業スタイルの再構築など)
 ※実際1コマに2つの要素を組み込むので周到な準備が必要になる。
・授業時数が足りない。(授業スタイルの再構築の必要性)
・今までの実践経験を否定できない。

などの理由で、広まることはありませんでした。

そこで、授業内容の改変が難しいのであれば、

1学期 中間・期末テスト 
2学期 中間・期末テスト 
3学期 期末テスト

という現行のテスト日程を

1学期 期末テスト 
2学期 中間・期末テスト 
3学期 中間・期末テスト

というように日程を後半にずらし、
さらにそのテスト範囲を

テスト当日から1か月以上前の内容に限定すれば、

レミニセンス現象が期待できる期間を確保できるのではないかと考え、
提案してみました。
しかし、これも学校行事などの兼ね合いで残念ながら賛同を得られることはありませんでした。

意識改革⁉

ならば、逆にテストを受ける側、
生徒たちの意識を変えればいいのではないか
と思い、次のようなアドバイスをしました。

(スケジュールBの利点であるレミニセンス現象について説明した後)
・教科書やワークなどを授業ペースに合わせるのではなく
 定期テストの1か月前程度にテスト勉強ができるよう、
 自主的にどんどん進めておくこと。
・授業はその予習した内容の復習に活用すること。
・テスト前には数回、
 教科書やワークを繰り返している状態にしておくこと。
・テスト当日までの3週間~1か月の期間に、
 テスト範囲の知識を習熟させるための時間がもてるよう
 スケジュールを管理すること。

などを提案しました。

与えられる状況に慣れている現代において、
生徒の自主性を伸ばし、
受動的な学習から能動的な学習へ変換するいい機会だと考えれば、
これはこれでありなのかもしれないと思いました。

ただ、あくまでもアドバイスであるため、
実行するか、どうかは生徒1人ひとりの判断に委ねることになるから、
どうしても差が生じてしまうという問題点があります。
その問題点を解決する前に退職することになってしまいましたが…

まとめ
レミニセンス現象の恩恵を受けようと思えば、
テスト当日まで、計画的に十分期間をとり、
じっくりコツコツ復習するというスケジュールBがベターです

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