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読書感想文 人類堆肥化計画 東千茅

~街中を離れて、米を作り、大豆を作り、鶏を飼って自給自足~

というと、なんとなくほのぼの、清貧、退職後、高齢者みたいなイメージだがそれを思いっきり裏切られる本である。

ちょうど土とはなんぞや、と思っていたところである。
家庭菜園を3年位やっているが、なかなか大きくならないし、他の生き物に食べられてしまう。花はうまく2年続いたのもあったが、こっそり絶えてしまったものも多い。
堤防や道端の雑草は、わずかな量の土しかないのに、あんなにお互いひしめいているのになぜ生えることができるのか?

土は、植物の死骸と虫や動物の死骸や糞、目に見えない多種の小さな生き物が欲望のままに生きることで出来ているらしい。
人間だけが沢山の食べ物を必要としていながら、このサイクルに存在しないので、参加する=堆肥化する。

この本の面白い所は、「人-間」と表現しているところで、いつもいつも人の間で生きていなくてもいいなと思える。
無人島で自分ひとりだったら、生き延びるのに必要なのは異種の生き物を利用したり共存する力である。
「人-間」とずっと一緒にいると疲れて、2週間とか1か月離れたくなる自分には合っている。気が楽になった。
山で暮らしている人が、「たまには人間と話したいな」と思うときだけ山から下りてくるような感覚なのだ。
生き方の感覚の合う「人-間」とは関わりがあるようだ。

筆者は70才超えの学者かと思っていたが、あとがきを読んで思ったより若いのに驚いた。
ものの見方が変わる一冊なのでおすすめしたい。




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