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痩せたいデブは読んだ方がいい「嫌われる勇気」

もうずっと書店で平積みしてありますよね、「嫌われる勇気」。ずっと気になっていたんですが「自己啓発の源流」という言葉に食指が動かず5年くらい経ちまして。やっと今年の正月に購入したと思えば積読へ。
2月から抑うつでの休職、症状が軽快して転職活動も終え、退職の意思表示をしたこのタイミングで読めば転職先での働き方の指針になるかと思ってとうとう今日読みました。

哲人といわゆるコンプレックスに塗れたツン青年との会話を通してアドラーの教えを読み進めていくのはかなり面白かったです。
読みやすいし、青年の腐れ具合が非常に強いので読者はちょっと引いて読める感じの演出が効いてます。

「嫌われる勇気」というくらいなので、精神論的な内容なのだと予想していましたが、前半はデブの私にとって耳の痛い内容でした。読んでるので目玉が痛いっていうの。途中取れそうよ。

幸運なことに、私にはデブを隠れ蓑にした生活の不満はないのですが人並みに痩せたい。しかし、ダイエットが続かない、痩せられない、デブ維持状態。なぜか。

つまり人は、いろいろと不満はあったとしても、「このままのわたし」でいることのほうが楽であり、安心なのです。

ということだとはっきり自覚するに至ったわけです。

いま享受している楽しみーたとえば遊びや趣味の時間ーを犠牲にしてまで、変わりたくない。つまり、ライフスタイルを変える"勇気"を持ち合わせていない。多少の不満や不自由があったとしても、いまのままでいたほうが楽なのです。

哲人の容赦ない言葉が胸にグサグサと突き刺さります。
いま享受している運動せず食べたいものをたべる生活を犠牲にしてまで変わりたくないわけです。
しかも私には差し迫った理由なんてない。
なんならデブはデブでいることを目的とした生き方をしているのではないか、私は確かにこれじゃ痩せないわなという生活を送っています。

また、デブだから痩せようというのも、この体型について私がみっともないという意味づけをほどこし、みっともないという価値を与えたがために湧き上がっているということまで気付かされてしまったのです。

すべての悩みは「対人関係の悩み」である

宇宙にただ一人なら悩みなんてないよと哲人はアドラーの教えを語ってくれます。
そう、宇宙で私一人ならデブなんて知らないままです。
比べることで湧き上がる劣等感。
自分で選び価値を与えた劣等感。
これに苛まれ、そして勇気を持ち合わせてないために課題を目の前に足踏みしていたのかよ、私。
服やヘアスタイルにこだわっても、デブが台無しにしてしまい、萎縮することもありました。
開き直ってもどこか心は満たされない。
ショーウィンドウに映った自分と、隣を歩く見知らぬナイススタイルな女性を比較して勝手に落ち込むこともありました。
そうか、それも自分が選び取って自分に与えていた価値……。
憑き物が落ちかけたところで、それでも!人と比べなくても!私は痩せたい!
そんな私の気持ちもアドラーはカバーしてくれる。

健全な劣等感とは、他者との比較のなかで生まれるのではなく、「理想の自分」との比較から生まれるものです。

それな!

いまの自分よりも前に進もうとすることにこそ、価値があるのです。

それな!

今の自分より痩せている自分の方がよりよき。
理想の自分とのギャップを克服するのがよき。
そのための勇気がねー、ないのよねー。
この本はタイトル「勇気」とある通り、勇気がテーマと言って差し支えないです。
「勇気」って意外と持ち合わせてないもんです。

わたしにそれができますか?人生の嘘に頼らず、この刹那を真剣に生き切る"勇気"が、このわたしにあると思われますか?

終盤青年がデレるまさにその時のセリフです。
この私にはありません……。ちなみにここを読んだ瞬間哲人の脳内見た目が安西先生になってしまいました。

後半はダイエットのことを忘れてのめり込んで読みました。

私は抑うつが身体症状で現れたため休職しました。投薬で落ち着くまで会社が負担で疲弊していたとは気がつかなかったです。
落ち着いて蓋を開けてみるとやっぱり会社の対人関係が負担だったようです。
この本でいうところの「人生のタスク」のうちの一つ、「仕事のタスク」とうまく関わることができず、「敵」に「かけがえのない『わたし』の尊厳」が傷つけられたと嫌になってしまったんでしょう。

「人々はわたしの仲間なのだ」と実感できていれば世界の見え方はまったく違ったものになります。

「敵」という表現はちょっと強いなと思うけど、語感はどうあれ、感覚的にはそうだったなと納得。
そしてタスクから逃げてしまったのでしょう。
もし、身体症状が出る前にこの本を読んでいたら、「仕事のタスク」と向き合って、仲間だと実感できるようになって休職もしなかったかもしれないし、退職転職もありえなかったかもしれません。
青年もはやく知りたかった!!悔しい!!とデレ、いや悔しがるんですけど哲人は優しくて、いまのあなただから響いてる、あなたはいまこの話を聞くべきだったんだよ、言ってくれます。

確かに、休職というつまづきがなければこんなに響いてなかったかも……。

対人関係につきものの「承認欲求」も、あって当然な本能的な欲望で衝動的な欲望だというのです。なんならそれを求めるのは坂道を転がるようなもの。転がる自分を停止させて坂道を登れというのです。
ああ、哲人は優しく言うけれどやっぱり休職前に知りたかったかも。

他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを恐れず、承認されないかもしれないというコストを支払わないかぎり、自分の生き方を貫くことはできない。

確かに、孤高な高二病時代は自由だった気がする。
今まではただの黒歴史でしかなかったけれど、過去なんて主観で意味なんてころころ変わってしまうんですね。

読了時の正直な感想は、
これを実践するのってとんでもなく難しくてハードル激高!くぐっていい??
でした。

それでもダイエットと対人関係と転職後の生活が控えている自分にとっては最高のエールになる一冊です。

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